番外編14∶娘の恋と、止められない罰〜カナデ視点〜
みなさま、お久しぶりです!
中原カナデこと、ジェニエットです!
相変わらず私は――
絶賛、旦那様の推し活中でございます。
ええもう、今日も素敵。尊い。好き。
……なんて、のんきなことを言っていられるのも、平和だからこそなのですが。
さて、我が愛しの娘ジュリア。
自由に育てすぎた結果、まあ見事に“おてんば”に成長いたしました。
野を駆け、館を抜け出し、好きなことしかしない。
……うん、元気でよろしい。
――とはいえ。
この国では、十五歳といえばもう立派な婚姻適齢期。
現代日本の感覚だと「まだ子どもでしょ!?」って言いたくなるけど、ここは異世界。文化が違う。
母として、そろそろ何かしないといけないわけで。
ということで。
開きましたよ、宴。
それはもう豪華に。
グラヴィスの権力フル活用で、将来有望な貴族の子息たちを厳選して。
――結果。
ジュリア、誰にも興味なし。
でしょうね、知ってた。
……と思っていたのですが。
あの夜会以降、ジュリアの様子が少しだけおかしいのです。
ぼんやりしていたり、急に顔を赤くしたり。
これってもしかして――恋?
きゃー!母としては大事件なんですけど!?
……と、思って問い詰めてみても。
本人は「そんなことないわ」と知らん顔。
まぁ、無理に聞き出すのも野暮よね。
恋なんて、本人のタイミングがすべてだもの。
運命の人が現れるまで、気長に待ちましょう。
――そう思っていたのに。
ジュリア、失踪。
いや、ちょっと待って?
どこ行ったのあの子!?
館はちょっとした騒ぎになり、当然――
グラヴィスは、激怒。
ジュリア付きの侍女、ピナに責任があるとして、鞭打ちの罰を与えると。
……ああ、もう。
「やめてください」と、私は何度も止めた。
でも、あの人は止まらなかった。
グラヴィスはね、怒鳴るタイプじゃないの。
本気で怒っている時ほど、静かになる。
だから――余計に、怖い。
ねぇ、ジュリア。
あなた、今どこにいるの?
無事でいて。
どうか、無事で。
そして――
これ以上、誰も傷つきませんように。
(……お願いだから、間に合って)




