5.精霊との特訓
「体の中心に力を集めるイメージ。」
「っこう、ですか、?」
「うん、そんな感じ!!」
「君の属性は、炎魔法かな。
僕は炎系の精霊だし。」
「そうなのですね!
たしかお父様も炎属性と耳に挟んだことがあります。」
「炎魔法は治癒ができない唯一の特性だから、気をつけないと」
「今日はダンジョンに行こう」
「ええ!先日習った記憶操作を使って、不審がられないようにしますわ」
「このアフベアってどう処理したらよろしいんでしょう?」
「彼らの皮はとても硬く、普通のナイフでは切り裂くことができない。外側は防弾性軽く炙ってコートにするといいよ。」
「あら、今のがボスだったんですね。」
「そう。ここまでできたら上出来だな。
ノエルのレベルだったらもっと上レベルのダンジョンに行ってもよさそうだ。」
来る日も来る日も魔法をルチルに習い、余った時間で戦術を学んだ。
かれこれ5年。
「これで僕の教えられることはすべてだよ」
「まだまだ学ぶことはあります。空気の循環させ方、殺気を読み取る技。まだルチルのレベルに至れていません。」
「いいや、ノエルの火力は精霊である僕にも勝る。ここまでできるなんて想定外だった。」
ルチルに素直に褒められてとても嬉しく思う。
「これで僕の役目は終わりかな?」
少し悲しそうに微笑むルチル。
そうだ、私がルチルから魔術を教えていただく契約はこれで終わりだ。
「待ってください!
契約更新はできますか?」
「まぁ、できるけど…」
「じゃあ!
ルチルが飽きるまで、私とそばに居てください。」
少し焦るように目を見開いたあと、
「もちろん」
と少年らしくほほ笑んだ。