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8/10

他者に頼るな

鬱を治すのは

自分自身だから



クソボケが、早く死んでしまえ



人間に石を投げるな

勝手な妄想を広げるな

生きていることを馬鹿にするな

どいつもこいつも被害者面しやがって…

お前らはオレのなんなんだ?

親か?

管理者か?

執行人か?

五月蝿い、喚くな

どうあがいてもお前らは赤の他人だろうが

オレが消えれば、お前らは喜ぶだろ?

逆も然りだよな?

オレはお前らが消えてくれると助かる

少なくとも家に居るときは安らぐ



クソボケが、早く死んでしまえ



いちいち騒音を立てるな

わかっているのか?自分が何をやっているのか

低取得

無趣味

1日1食生活

ルールに従う

家賃・水道・光熱・ガス

滞納しないオレが

何故、責められなければならない?



クソボケが、早く死んでしまえ



ほっといてくれよ

赤の他人の癖に

身勝手に持論言いやがって

しつこいんだよ

時間を無駄にしてる癖に

陰湿に追いかけてきやがって




クソボケが、早く死んでしまえ




今日も吐き出す

何を?

オレの体内から出たアレ

ゴポゴポと息を吸うアレ

少しずつ少しずつ肥大化するアレ

汚れを落とすアレ

アレがあるからオレが居る

アレはオレの善意

悪意はオレの頭の中




2024/4/22 pm7:21

「…とまぁ、悪いがお前と東君で動いてもらうかもな。我慢してくれ」

「あんなやつ居なくたって、俺ひとりで…」

「ちょーしのんな。対世人経験は主水の方が無いだろうが。タイマンでやってみろ」

1枚の写真を渡される。

「名前は…」

「性犯罪者みたいな顔だな」

「……どうするかはお前に任せる。ちゃんとやれよ?」

「明日には報告します」

写真をポケットにしまう。

「1個、いいことを教えてやる」

「何です?」

「格下相手だからって、手抜いたら死ぬのはお前だからな?」

「…死ぬのはコイツだけですよ」

「だったらいいな…」

さて、情報収集だ。

どうせこんなヤツ、ロクデナシなんだからさっさと殺すが吉だ。

………なんだ?

自分が自分じゃない気分がする


弱いね、キミ


「どうした、主水?」

「…別に」


半年経つのにその程度?ざっこ


黙れ。

「ちゃんと寝てんのか主水?話聞いてたか?」

「…」

「ったく…」


どーせ、オマエはお荷物なんだよ


うるさい。

アイツより………いてて。

「返事くらいしろ!クソガキ」

「…すみません」

宇津井さんに鼻を摘まれた。

「いいか?今日は寝ろ。急ぎの用じゃないからな?睡眠も食事も、大事な体作りなんだからな?わかったら返事」

「………わかりました」

「よくできました」

そのまま宇津井さんと別れた。




世人ポテンシャル【粘】

自律するスライム。正確には、世人本人が吐き出した痰である。

日に日にその大きさは増していき、推定20kgまで肥大化した。

彼の被害に遭った者達は、窒息死・溺死扱いで発見。彼の住むマンションでも被害者は居たが、特に事件性は無いと放っておかれている。

子供3名、成人7名、老人2名が犠牲になっている。




2024/4/22 pm11:47 某コンビニ

「どうして!お前は!無能なんだ!」

品出し名簿で頭を叩かれる。

「嫌がらせか?嫌がらせだよなぁ!?レジ締めの管理、いつになったら覚えるんだぁ!?あぁ゛!!?」

それは、オマエの計算能力が低いから合わないだけだろうが。何一つ間違えてねーよ。

「またやらかしたよなぁ、お前?さっさと辞めろボケ!給料泥棒がよ…」

オマエは未成年のケツ触りまくりの色ボケジジイだろうが。

「なんだその目は?文句あんのかぁ!?あぁ゛!!?」

デカい声出してれば、強いと思ってる能無し。

「…すんませーん。トイレ、詰まってるんっすけどー…」

「掃除もまともにできないのか?やってこいボケ!」

弱々しい蹴りを受けつつ、トイレへ向かう。


店内には客が1人だけ。

「早く直せよなー…」

万引きしたくてうずうずしてるな、この馬鹿。

「お客さん」

「あ?」

「時間かかるので、レジとか近づかないでくださいね…」

「お、おう…」

レジ近くの扉は従業員控え室。下手すりゃ聞かれるかもしれない…どうでもいいか。


「ったく…アイツは今日も無出勤扱いにしてやるか…」

缶コーヒーを飲む。

「…ん゛!?」

咽せる。

「ごっ…!ごご………!!!」

倒れる。

吐き出そうとする。

出ない。

「ごっ…!!!」

もがく。

助けを呼ぼうと、携帯に手を伸ばす。

「ごがっ!?」

口から何かが伸びて、腕を止める。

天井のスプリンクラーから、ねっとりとした何かが、顔に向かってゆっくり落ちてくる。

「……ごっ…ごっ…」

息が吸えない。

終わり。


「マジかよ…盗めってことだよなぁ?」

小声で男は喜んでいた。

………遠くで物を漁る音が聴こえる。

防犯カメラがあるのに、よくまぁ衝動を抑えることができないやつだ。呆れる…


どさっ。


ん?何か落としたな…それとも別の客か?いや、入店音がしないから違うな。


テレレレレレン テレレレレレン


帰ったか…


テレレレレレン テレレレレレン

テレレレレレン テレレレレレン

テレレレレレン テレレレレレン


なんだ?

トイレと店内入り口は対角線上にある。

従業員控え室の扉は、開けないと中の様子が見れない。

あの男は何をしている?

音は鳴り止まらない…トイレから出て店内を見渡す。

…自動ドアが何度も開閉している。何か引っかかって………

目の前に男が倒れた。

正しくは、男の頭が転がって止まった。

それを踏みつける黒い何か。

「復讐代行?」

「………コロス」

得物を取り出し襲いかかってくる。


クソボケが、早く死んでしまえ


「護れっ!」

スライムが紙一重で得物を包み、壁としてオレを護った。

復讐代行はスライムを引き裂こうともがく。

こんなに野蛮なヤツだっただろうか?

あの時の動画は、知性を感じる男のようだった気がした。

それとも偽物か?

「コロス…コロス…コロス…」

顔が見えないから、余計に怖い。

この場から逃げるべきだが………真っ暗な顔が、こちらを凝視している。

スライムが得物を離さないことにイラついているのだろうか?スライムまみれの得物に固執しつつ、視線を外さない。

「…?」

得物から手を離し、少し距離を取った。

「明かりが…!?」

電気が消えるのではなく、覆い被さるように明かりを包む。

凝視された視線が、闇に消える。

奇襲の予感。


早く死ねよ


足元からの奇襲。

スライムはそれを防ぐ。

「そのまま窒息してしまえ!」

復讐代行をスライムが飲み込む。


死ね


「うぅ…頭が痛い…」

逃げよう。

逃げるんだ。

ここは凌いだ。ここに居続ける必要はない。

足止めはできてる。

さっさと逃げよう……




2024/4/23 am4:52

やっぱり弱いじゃん

下手すりゃ死んでたよ?

何で意地張ってるの?


黙れ。


オマエは世人として最弱だよ?

誰もオマエを世人として恐れない

オマエを恐れるのは、弱い人間だけだから


黙れ。


オマエは気取った殺人鬼

ロクデナシの癖に、正常だと言い張る異端者

オマエは人を殺してみたかっただけのガキ


黙れ!!!

スライムに包まれる前に、ロケット花火に火を点けて爆発させて脱出できた。

奴が離れたからか、スライムは動かなくなった。

だが、これは本体のスライムではない。

水分を多く含んだ、スライムの外膜に違いない。

奴はおそらく、自宅に帰った。

このコンビニから近いマンション。

足取りは簡単にわかる。


イキってる?


黙れ。

「居るんだろ、性犯罪者野郎?」


勝手に決めつけんなよ


黙れ。

「…いくら積まれたんだ?」

「お前にそんな価値ないだろ?」

「そりゃそうか」

扉越しのやりとり。

「殺すんだろ?オレを」

「…」

「スライムの対策、考えたのかよ?あんな野蛮な…」

扉から真っ直ぐ、刃物が投擲されて体に刺さる。

「ズルくね…?」

意表を突かれてスライムに命令することができない。

自律はしているが、餌を食べることぐらいしか動こうとしない。

無音で部屋に入る

「く、クソボケ…早く、死ねよ…」

「お前が死ね」

取り出したのは、短刀。

今まで使わなかった、刀のひとつ。

「…やっとだ………やっと、死ねる」

世人は死ね。


オマエも世人じゃん


死ね。


特別だから、許されるとでも?


俺は正しい。


強者のフリするの辞めろよ


俺は強い。


ただの人間を殺すことしか脳がない無能


「黙れえぇぇぇ!!!」

「…何やってる主水」

宇津井さんが俺の腕を止める。

「まだ、コイツは、死んでない!」

「死んでるよ。何回刺した?顔の原型が残ってない」

2時間超、短刀で刺し続けたのであろう。

「何言ってるんですか?コイツは世人だ…念入りにやっとかないと、コイツは死なない」

「主水、お前寝てないな?」

「俺は、負けない。強い…誰よりも…あんな奴なんかに、遅れたりしない…」

植野主水のデメリット。

デメリットであってメリットでもあるモノ。

負の感情を抱くと、所持している刀が強化される。

刀によって起きるものか、能力として起きるものかはっきりしないが、火力不足の主水にとって武器強化は喜ばしい。が、それを終わらすには自分ではどうにもできない。

「もう帰れ。あとはやっとく」

「大丈夫だ。まだ、やれますよ?次は…誰を殺せばいい?」

「お前の物差しで、人を殺すのか?」

「コロス…世人は、全員…」


オマエも死ねよ


「うぅ………頭が、痛い…」

「帰れ」

(植野主水…使いもんになんねえな…いつ暴走するかわかんねぇ…メンタルケアは、ナツの専門外だしなぁ…若いもん同士で何とかできねぇかね…)


進化する度に、何かを失っていることに気づかず、気づいた者を迫害し、これが正常だと言う。

植野主水は自信を失った。

勝つイメージが浮かばない。

東と金城に勝つイメージが。

あまりにも劣っている。

力が。

おかしいのは自分だろうか?

間違っているのは他者。

そうじゃなきゃ、おかしい。

基準は俺。

異常者は排除すべき。

植野主水の悲劇まで………あと、6日。

最後までご愛読いただきありがとうございます。

壊れていく主水。

それを霧島は予見していたのか?

次回まで寝て待て

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