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8.突っ込んでくんでヨロシク!

 そろそろやばい。奴隷達に何をさせるか決めなくては。


 取り合えず、この世界で通用しそうな現代知識の洗い出しをしていくか。


 まず一番人気のオセロ。普通に存在した。


 それから農耕は以前にも話した通り既に自給率100%超えてた。しかも、家畜の飼育糧込みで。魔法しゅごい!


 次に人気なのは石鹸か?ふむ、動物性と植物性どっちも存在するが、まだ工業化に至っていなそうだ。


 これは資金が出来次第始めるか、パッパにお願いして資金提供して貰えば直ぐ始められそう。


 石鹸は、利権でガチガチぽいので製法が一般に普及しておらず、調べた限り3社で独占しているっぽい。


 因みに使い心地は可もなく不可もなく、匂いもあんまりよくない。ってか石鹸の泡立ちが普通に悪い。


 でも、手っ取り早くないので後回し。次!


 鉄鋼業はどうだ?と調べて分かった事は、現在順調に発展している最中なので、下手に手出しても資金が足らず、大勢するのに時間かかりそうって事だな。


 精錬と製錬どっちも国家事業ぽいし知識料で稼ぐか。


 どんどん大きい物に思考が行ってしまったが、手っ取り早く7人で成果を出すには、もっと小さくなくては。


 ここは一つ、便利グッズ王、ネコ型ロボットさんからヒントを得よう。


 それから1分程考えすぐ答えが出た。


 それはズバリ!


 せ・ん・ぷ・う・き~♪


 未来のネコ型ロボットよ閃きをありがとう


 機関車が走っているくらいだからあると思っていたが、こちらに来てからの生活を思い返してみても存在していない。


 使用人が魔法を使ってどうにかしているのが現状だ。


 動力は魔石でいいし、電化製品ならぬ魔化製品でも作るか。


 うーん、それから少し考え取り合えず図面を引いてみるが、問題はなさそうだな。


 完全な思い付きだったので粗探ししてみたが全部解決できそうだしな。


 早速試作品を作ってパッパに資金提供してもらおう。


 治療が終わり屋敷で手伝いをしていた奴隷達を集め行動に移すか。ついでに契約の件もここで全部話しておこう。


 購入した時と比べ見違える程に全員の状態がいい。


 まぁ、この俺が治療したんだから当たり前だ!ワハハ!






 俺の名前はラース、リザード種のラースだ。


 この日、10年間奴隷として生きてきた俺に新しい主人からのお呼びがかかり、奴隷全員が集められた。


「よし、全員揃ったな。レイモンドたち少し外してもらえる?」


 新しい主は聞くところによると5歳の人間の少年だ。部屋に通され、見れば本当にまだ幼い少年だった。


「かしこまりました、アル坊ちゃま。直ぐ隣に控えておりますので」


 使用人の男達が恭しく頭を下げ、全員退出していくと少年は話し始めた。


「さて、今回みんなを集めたのは改めてみんなと契約をする為だ。でも、突然呼ばれてみんな不安だろうから、まずは僕の考えをみんなにだけ話しておこうと思う」


 やはり、治した後に追加で契約をするつもりだったか、しかし何故使用人を全員下げ奴隷だけに話をするんだ?などと考えていると、少年がとんでもない事を言い出した。


「僕はね、将来”奴隷の解放”を行いたいんだ、、、、」


 奴隷の解放?俺たちを自由にしてくれるってことか?





「全世界の奴隷のね」





 全世界?、俺達7人ではなく?、全ての!?


「そんなのどうやって?って思ったでしょ?」


 あぁ、思った!思ったとも!、だが、そんな事出来るはずがない!!一体世界に何千何万の奴隷がいると思っているんだ!?


 貴族ってのは本当に頭の中がお花畑みたいな連中なんだな。世界の厳しさを知らないガキの戯言だ。俺はこんな馬鹿な奴らの為に軍人になった訳じゃない。


「まぁ、馬鹿な子供の戯言だと思って話だけでも聞いてみてよ」


 ッ!、心を読まれたか!?いや、表情に出てしまったか


「順を追って説明するね。まず、資金集め、それから人気集め、その次は選挙に立候補、そして資金力に物を言わせてまたまた人気集め、第一党を目指し、政党内での発言権を増し奴隷解放運動を起こす、ここまで来たら国内はほぼ終わり。次は世界を目指す。まぁ、平たく言えば奴隷解放を掲げた独立戦争を仕掛けるんだ。」


 今言われた事が何一つ理解できず困惑していると、、、


「一つずつ説明するからよく聞いてね。まず資金集めだけど、これは貴族って事でどうにかしようって事じゃなく、実際にみんなに働いてもらって稼ごうとおもっている。」


 そう言いながら少年が大きなボードに背伸びをしながら”資金集め”と書き込んでいく。


「資金集めに関しては、この後君たちに作ってもらうものを見てから判断してもらいたい。」


 そういうと少年が何やら設計図を見せてきた。


「これは、僕が考案した扇風機って道具の設計図なんだけど、これは魔法を使わなくても涼しい風が流せる魔化製品なんだ。動力は魔石だから寝苦しい夜でも快適に過ごせる便利グッズなんだよ」


 その話を聞いて食いついたのが、ネコ種のおっさんダフだ。こいつは確か元技能奴隷だったはず。


「設計図だけじゃ分からないと思うけど、この後作ってみようと思ってるから話を先に進めちゃうね」


 そういうとまたボードに背伸びしながら”人気集め”と書いた。


「人気集めに関しては、ぶっちゃけ奴隷からだけでいいんだ、だって僕はこれから沢山の奴隷を買うからね。あぁ、それとこの計画は僕の人生をかけた計画だから結果が出るのに10年、20年と物凄く時間がかかるって事を覚えておいて」


 いやいや、お前さんの人生をかけた所で全世界の奴隷は解放されない。だが、”奴隷解放”なんて言葉初めて聞いたな、、、


「奴隷のみんなから人気を集める方法なんだけど、それは凄く簡単、買った奴隷を解放し、僕の会社で新たに雇い直す契約を結ぶんだ。勿論、無給で働かせたりしないよ。奴隷の時の借金は給料から天引きだけどね」


 やはり、話を聞いても良く分からない。買った奴隷を解放し、給料をやりながら働かせる。それはいったい何人までだ?人数が100を超えたらもう立ち行かないとしか思えない。


 しかし、もし100人を超え、1000人を超えても会社がその条件で存在するとしたら、それは国家事業を手掛けるしかないだろう。


 いや待てよ、この少年は仮にも貴族の息子だ、、、もしかして本当に可能性があるのだろうか?


「借金を返済し終えた従業員に関しては、引き続き会社で雇ってもいいし、別の会社に転職してもらっても構わない。ただ覚えてくれさえすればいいんだ。僕の考えを」


 確かに、そんな事が可能なら元奴隷の奴らはこの少年の考えに賛同し、支持を集めることが出来るだろう。可能であればだが、、、、


「次の選挙に立候補だけど、これは多分早くても15年後になると思う。だから、まずはこの15年の内にやる事を説明するね。」


 15年、気の遠くなる話だ。俺なんか明日も知れない身だってのに。でも、そうか、仮にも俺はこの少年に身体を元通りにして貰ったんだよな。今なら1年後くらいなら想像できそうな気がする。


「僕は貿易会社を立ち上げるつもりなんだけど、最終的な雇用人数は200万人を想定している。と言ってもやる事は貿易だけじゃないけどね。」


 貿易、、、貿易ってのはあれだ、確か他の国と取引するんだ。交易とは違うのか?いやそれより、今200万人って言ったか!?そんな数の奴隷を解放し雇用するってのか!?


「最初の1年で100人くらい雇って、4年目の終わりくらいには1000人が目標かな。そこから10年目くらいまでに10万人くらいは雇用しておきたいと思ってる。」


 眩暈がしそうだ、4年目の終わりで1000人はまぁいいとして、10年目には10万人!?桁が1つ飛んでやがる。普通に考えて1万だろ!?言い間違いか!?そうだよなぁ!?


「まぁ、みんなこんな話をいきなりされても信じられないと思うから、まずは1年僕の下で仕事してみてから判断してもらいたいな」


 1年か、そうだな突然の事でごちゃごちゃ考えちまったが、俺はこの少年に恩がある事に変わりない。


 ならば、答えは単純だ。1年と言わず10年くらいなら付き合ってやるのも悪くない。それくらいの恩が確かにある。


 この時感じた恩が10年後どうなっているか今から楽しみな気がした。


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