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7.ミリアリア

7番目の女性の視点です。

 悲劇は突然やって来た


 その日は何時ものように空が晴れ渡り時折吹く風が肌に心地いい夏の終わり、少し汗をかきながらエアーズ高等魔法学校から足早に家に帰ると、家の前に見知らぬ者達が待ち構えていた。


 そこから私の地獄が始まった。


 両親は個人商店を営んでいたが、知人に騙され連帯保証人となり多額の借金を背負わされた。


 借金取りが店を抑え、私は国で管理される奴隷となった。


 背負った負債の額は総額2700万ディラ。


 家族3人で一人頭約900万の負債だ。


 奴隷商館で性奴隷を強く勧められたが、まだ男を知らない16歳の私には選ぶことが出来ず、奉公年数が増えてしまうが身体を売る気になれず犯罪奴隷(借金奴隷も含む)を希望した。それが悲劇を生むとも知らず。


 最初に私を買った商家では、持ち前の明るさと中央の高等学校にも進めた頭脳で商人からの覚えもめでたく、最初の1年を乗り切った。


 私は商家に100万で買われたが、残りの800万は奉公で返さなくてはいけない。これは長く安定して搾取する為の仕組みなんだろうと思う。


 年数にして約10年無給で働き続けなくてはいけない。でも10年すれば自由にはなれる。


 逃げようとしても無駄だ、この国で奴隷は合法だ。警察機構も奴隷を助けたりしない。


 奉公が終わるころに私は26歳になり高等学校の時に夢見ていた仕事などには着くことは出来ないであろう事を悟り、私は人生に絶望した。


 2年目に差し掛かったある日、商家にある魔術師がやってきた。その男は私が通っていた学校の先生に匹敵する程の魔力を有していた。


 その男と目が合った、多分私の魔力が一般人にしては多い事に気が付いたからだろうか?


 その日から度々男が店に訪れるようになり、いつの間にか商人は私の事を男に売り渡していた。


 国が管理しているのは金の流れだけ、私が違法に別の人物に譲渡されようと金が毎月ちゃんと振り込まれている限り取り締まりなんてしないのだろう。


 魔術師に買われた最初の夜、私は無理やり犯された。


 頑張って少しでも早く自由になろうと意気込んでいた私の思いはもろくも崩れ去った。


 男は「ここがいいのか?アリシア?何とか言えよ!」と吠えながら獣のように毎晩私を犯した。


 私はアリシアなんて名前じゃない!


 私の反抗的な態度が気に食わないのか、1週間も経つと、男が私に魔法をかけるようになった。


 魔法はどんどんエスカレートしていき、遂には魔術を私の身体に施すようになった。


 魔術は循環する特徴があり、対象者に魔力がある限り発動し続ける。


 私は魔術で感情を抑制され、表情を変えることも出来ず、ただ男に犯されるだけの人形になった。


 3年目を迎えると男は私の身体を切り刻み始めた。


 私が発狂して壊れようとも男にはどうでも良かったのだろう、、、



 いや、本当は分かってる。



 男は私に永遠の苦しみを与えたかったのだ。だから最初にあの魔術を私に施した。私が発狂して壊れないように、身体を切り刻まれるのを”冷静”に私が見れるように。


 男が私に執着した理由が分かったのは、もう目も見えず、手足を切り落とされ、内臓を弄りまわされた後だった。


 男は言った。


 昔好きだった女がいた、そいつはあろうことか俺の告白を断った。そしてお前はその女に似ている、、、と。


 あぁ、ここは地獄だ。


 商家での生活を10年続けるのが絶望だと思ったが、そんな事が生易しく感じるだけの地獄だ。


 私が奴隷になったのも、私がこんな目にあったのも、全部私のせいではない、強いて言えば私の顔がその女に似ていた。ただそれだけの理由で、、、


 何故両親は騙されたのか、何故商人は私を違法に売ったのか、、、全部”商売人”のせいだ。


 一度考えだしたらもう止まらない。


 無限に湧き出てくる憎悪が私の心に渦巻くが、感情に身を委ねてみても、心は”冷静”なままだ。


 









 地獄に光が射したのは、もうどこを弄られようと、痛みすら感じなくなっていた身体に痛みを感じた時だった。


 あれからどれ位経ったのかハッキリしないが、


 どうやら私は助かったようだ。


 身体の感覚が徐々に戻っていき、傷つけられた身体が1日毎に戻っていく。


 耳を澄ませ、話を聞けばどうやら私は貴族様に買われ、身体を治してもらっている最中のようだ。


 どうして貴族様が私なんかをわざわざ買って治すのだろう?奴隷なんてもっと状態がいい者が他に沢山いるのに。


 ひょっとして、私に恩を売って何かして欲しいのかな?いや、そんな訳ないか。貴族様なら何だって手に入れられそうだし。


 私を治して、壊して玩具にでもするのだろうか?いや、あるいは、、、


 未だ”冷静”な頭で考えるが答えはでない。


 1週間程治療が続いたある日お風呂に入れてもらえた。身体を隅々まで洗われ不快感が温かいお湯に流されていくのを感じる。


「おいパーシー、次は髪を洗うぞ」


「分かった。ミゲル頭支えといてくれ」


 ただし、洗ってくれたのは男性だった。羞恥心などとっくに無くしてしまっているが、何故メイドじゃないんだろう?


 下の方までしっかり洗われ、流石に少し恥ずかしかった。


 それからの毎日は怒涛の日々だった。


 体力を付ける為だと、日に5食ご飯を食べさせられ、治療用の部屋に入る度に魔法で眠らされる。


 私はこの先一体何をされるのだろうと、一抹の不安を覚えた。


 でも、1日毎にお腹の調子が良くなっていき、毎日出される食事も暫くしたら苦も無く完食できるようになっていった。


 そんな生活が1ヶ月程続いたある日 「ミリアリアさん今日は目の再生をしますね」と初めて、治療を開始する前に説明を受けた。


「それと、痛覚が戻っているので、先に補助魔法かけておきます。寝て起きたら治療はお終いです」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 よし、早速始めるとするか。睡眠魔法をかけ、麻酔用の補助魔法をかけ、ついでにこの俺を1か月間悩ませた魔術を取り除いてくれる!


 どうやら感情抑制用の魔術が施されている事を突き止め、除去する方法を思い付くまでにひと月掛かってしまったが、まぁいい、良い勉強になったと思っておこう。


 なにしろこれを除去しなければこの女、俺に心の底から感謝しないだろうからな!


 物のついでに、悪いとこ全部完璧に治してやるから俺に存分に感謝し、崇めるがいいぞ。ワハハ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 眠りから醒め、思った事は、瞼開ける感覚って忘れるんだって事。


 精神的に10年以上閉ざされ続けたように感じる目を開ける事が上手く出来ない。


 ようやく目を開き、周囲を見渡す。


 鏡が目についた。


 見ようか迷い、手を伸ばした。


 私の顔は、、、目は、、、




 最初に思った事は、泣き顔でも私は可愛いってことだ。




 涙があふれ、両頬を伝う。記憶の中にある姿から少し大人になった自分の顔が涙でべしゃべしゃになっているが、今はただただ、嬉しかった。



 ようやく落ち着き、”冷静”さを取り戻すと、今まで”冷静”ではなかった事が分かり、


 理解した。


 それからはまた泣いてしまった。


こういう視点の需要はありますか?

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