3.奴隷商館①
馬車で奴隷商館(国営企業)の前まで乗り付けると俺の到着を待っていたかのように商館の者達が店前で待ち構えていた。
「ようこそお越しくださいましたアルフレッド様」
そういって頭を下げたのは我が家にも出入りしている契約魔術師(前世の弁護士みたいなもん)のミリヤだ。
「こんにちは、ミリヤさん!、早速で申し訳ないんだけど、案内お願いします。」
「かしこまりました。こちらへどうぞ」
俺はお供の執事を連れてミリヤさんに案内されながら奴隷商館に入っていった。
「アルフレッド様、本日はどのような奴隷をお望みですか?」
「うーん、突然だったからあんまり考えてないんだよね。今この商館にはどんな人たちがいるのかまず教えてもらえる?」
「左様でしたか。ではまず初めに、この商館では5種類の奴隷を扱っております。1つ目は戦闘奴隷、2つ目が技能奴隷、3つ目が愛玩奴隷、4つ目が犯罪奴隷、そして5つ目がその他諸々を含んだ欠損奴隷となります。」
「最初の4つはだいたい分かるんだけど、5つ目の欠損奴隷っていうのは?」
「そちらは言葉の通り、戦争や魔獣被害などによって手足等を欠損した奴隷の事でございます。」
「戦争や魔獣被害など、っていう事は他の要因もあるって事でいいのかな?」
俺がそう問うとミリヤがバトラーのレイモンドを一瞥したのを見て俺はすかさず割り込んで隠さず話すように言った。
「ミリヤさん気にせず話して大丈夫だから。ね、レイモンド?」
「・・・わかりました。後で御父上にはご報告致します。よろしいですね?」
「いいよ。レイモンドも気遣いご苦労」
俺は尊大に頷いてミリヤに話の続きを促した。
「それでは私が今まで見てきた欠損奴隷についてですが、基本は戦闘で手足を無くした者達が大半です。ですが、中には魔術師に買われ実験の被検体にされた物達も含まれております。そういった者達に多いのが眼球の欠損です。古来より目は魔法と深い関りがあるとされてきましたのでその為と思われます。他にも内臓が片方ずつない奴隷などもそれなりに見ます。」
「後は申し上げにくいのですが、性的な趣向で乳房を切り取られた女性や性器を加虐趣味や辱める目的で傷つけられたり、切り取られた者達もおります。」
うん。いやーこの世界、文明は確実に発展しているのに思想はまんま中世の大開拓時代となんも変わらんやんけ!、やってる事がコロンブスじゃん!。
「それってこの都市で出た奴隷達なの?」
「いえ、過激なものに関しては基本王都が中心で流れて来ております。」
成程ね、うちの屋敷でそんなやべー現場見た事なかったので家の家族にそういった趣向の者達はいなそうな事がわかり少しホッとした。
それに今の話をよくよく考えれば欠損奴隷って結構いい事ずくめな気がした。
たとえば他の奴隷に比べて価格が安そうだし、欠損治してあげたら俺の事を褒め称えよいしょしてくれる者達が俺の周りに沢山できそうだし。
奴隷達が俺に感謝の言葉を述べる中俺は”貴族の義務だ”とか言って崇められ内心では悦に浸るのだ。ワハハ!
いい!、凄くいい!、その未来が目に浮かぶぞ!
それ以降深く考える事を辞めた俺は浅い考えのまま思考を打ち切り他の奴隷は全部無視して欠損奴隷を全部見せてもらうようにミリアにお願いした。
おっとその前に、
「ミリアさん、欠損奴隷は他の奴隷に比べて安いのですか?」
これはちゃんと聞いておかないとな。
「えぇ、通常の値段の半分以下の者達が殆どです」
「因みに今は何人ぐらいいるのでしょうか?」
「現在は7名おります。男が5人女が2人です。」
「それでは300万ディラで足りますか?」
「ええ全員購入いただいても足りております。」
ふむ、話を聞いてみると大体高級になりやすい愛玩奴隷が1人300万相当とのことなので、親父は愛玩奴隷1人分の値段をよこしてくれたみたいだ。
戦闘奴隷に関しては1人100万相当とのことなので戦闘奴隷を基準に考えると半分で1人50万相当になるが、欠損具合や年齢を加味して変動するとの事でギリ300万で足りそうである。
「それではこちらの部屋でお待ちください。奴隷を連れて参りますので。」
そう言って違う部屋に入っていったミリアを見送り俺は部屋に置いてあるソファーで寛ぎながら奴隷たちを待った。