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23.エルグラード高等魔法学校、入学式

主人公15歳になりました

学生編スタート

章の設定がいまいち分からなかったので、章の切り替えしてないです。

 俺は15歳になり、高校に通う年齢になった。


 中学校へは行かなかった。会社を大きくする事が忙しすぎて、それどころではなかったからだ。


 会社の規模はこの10年で順調に拡大しており、今や軍から兵器の製造を依頼されるまでに至った。


 俺の計画がスタートしてから早10年。俺がここまで早く会社や工場を大きくする事が出来たのにはとある秘密がある。それは、魔法だ。


 以前にも話したが、この世界の魔法はイメージが大切だ。その為、俺は前世の記憶を完璧に思い起こす為に、この世界にある、相手の記憶を読み取る魔法を習得し、それを俺自身に掛けた。


 その時、俺がイメージしたのはインターネット上の検索エンジンだ。


 俺は魔法を発動する時に、Goo〇le先生を思い浮かべ、自分の記憶の中にある情報を検索出来るようにイメージした。


 そのイメージにより、鮮明に情報を引き出す事が可能になった俺の前世での記憶を使い、内燃機関や、鉄鋼業を早期に発展させる事が出来た。


 前世で色々調べた事が役に立って何よりだ。普通だったら、絶対に思い出せない事も、魔法によって思い出す事が出来た。


 嫌な記憶もついでに思い出してしまったが。


 そんな事より、今日は高校の入学初日だ。


「アル様おはよう!」


 元気に声をかけて来たのは、可憐な少女へと成長したナタリーだ。


「ナタリーおはよう、それとルナマリアさんも」


「ママはまだ寝てる♪」


 何やらナタリーは朝から上機嫌な様子だ。


「ナタリー、朝から機嫌いいね」


 普段どんなに起こしても中々夢の中から起きて来ないのに、今日は朝からやけにご機嫌だ。


「だって、今日は入学初日だもん!友達いっぱい作らなくちゃ!」


「あぁーそうだな、友達は100人作らないとな!」


 確かに、この屋敷で15歳まで過ごした彼女には友達が少ない。


 ――俺も一緒やんけ、、、


「アル様は緊張とかしないの?今日アル様、新入生代表挨拶ってのするんでしょ?」


「うーん緊張か、あんまりしないんじゃ無いかな?俺これでも会社の社長だし、今さら2000人の前で喋るくらいわけない」


「えーーナタリーは絶対緊張しちゃうな~やっぱりアル様はマジ凄い!」


 おぉ、今日も朝からナタリーが褒めてくれて気分が良いぞ!ワハハ♪


 フッ、そんな事ないよ と流した俺はナタリーを連れ食堂へと向かった。


 食堂に付くと、メイド達が料理の配膳を行っており、席にはフレア姉さんとマリン姉さんが座っていた。


「フレア姉さん、マリン姉さんおはよう、他の皆は?」


「パパとママは中央、ノエルねえは会社、サーラは芸能事務所で昨日から帰って来てないわよ」


 そう言ったフレア姉さんもこの後、会社へと出勤するのだろう。


「アル、あんた今日暇?私早く餓狼剣鬼伝の続き書きたいんだけど」


 そう言ったのは一番下のマリン姉さんだ。彼女は現在漫画家として、俺の書いたネームを元に漫画を描いている。


 内容は、補助魔法の身体強化しか使う事が出来ない男の物語である。この魔法が存在する世界で、身体強化しか使えない男が、馬鹿デカい剣のみを武器に復讐の為に闘う物語だ。


 ちなみにこの本、俺の想像以上にヒットし、この時代になんと2000万部も売れた。しかも現在7巻まで出ている上に絶賛連載中だ。マリン姉さんに頼まれて試しにシナリオ書いてみたけど、何が流行るか分からないものだ。


 ついでに言うと、マリン姉さんはこの本で滅茶苦茶稼いだ。だからちょとっした小金持ちだ。


「マリン姉さん、今日俺達入学式なんだけど」


「あんたなら無難にこなすでしょ!ナタリーになら気を使ってやってもいいけどね」


 そんなナタリーはというと、ルナマリアさんが寝ているのをいい事に、相変わらず野菜をフォークでぶっ刺し俺の皿へと入れてくる。まぁ黙って全部食べますけど。ハムハム・・・


「・・・ゴクッ・・・マリン姉さん最近俺に当たり強くない?」


「あんたが、さっさとナタリーとくっつかないからでしょう!」


 あーーーうん。それね、、、、、、どうしようね。


「ナタリーは何時結婚してもいいよ♪」


 ははは、、、と苦笑いを浮かべた俺はあの日の事を思い出していた。


 その日はまだ2人とも幼く、9歳になった辺りであっただろうか?ナタリーが俺を無邪気に褒め、俺が笑って返すとナタリーが『しょうらい、なたりーとけっこんしてくれりゅ?』と問いかけて来たのだ。そこで俺は深く考えずに『うん、いいよ』と返したのだ。


 正直、9歳の頃のやり取りなど忘れているだろうと思っていたのだが、ナタリーは忘れておらず、尚且つそれを姉連中に相談したらしい。


 ガッデムッ!――9歳児の記憶力舐めてたぜ


「うーん?どうかな?俺まだ15歳になったばだし、まだお互いに早いんじゃないかな?それにこの国では18歳にならないと結婚出来ないしね、、、はは」


「ナタリーは18歳で結婚出来ればいい、それにアル様が今の内から考えてくれたらそれだけで嬉しい」


 後3年か、――俺は内心ダラダラと汗を流し、何とかする方法を考えたが、いい方法は浮かんで来なかった。これは3年間の間に俺よりカッコいい人に出会ってもらうしか、、、、、、俺よりカッコいい人?


 そんな奴いる訳ねぇーだろ!!!


 じゃーやっぱ俺がナタリーと結婚するしかないじゃん!


 なぁーんだそういう事か、、、、、、、、、はぁ。マジどうしよう




 その後、何とか食事を飲み込んだ俺は学校へと向かう為、ナタリーと一緒に玄関へと向かった。


「アル坊ちゃま、おはよう御座います。」


 そういうと執事のレイモンドが恭しく頭を下げ、続けてナタリーへ挨拶した。


「レイモンドおはよう」「レイモンドさんおはようございます」


「アル坊ちゃま、本当に最新のメドナスRシリーズで登校なされるのですか?」


「うん、最初のインパクトって大事でしょう?それにこの車うちが作ってるんだよ?」


 ふふ、なにを隠そうこのメドナスR3は現行モデルで一番高級なスポーツタイプの車だ。速い=カッコいい!だからこそこれで登校するんだぜ!


「せめて、Sシリーズになさいませんか?座席も広いですし。護衛も同行出来ます。」


 うーんSシリーズはセダンタイプで高級感はあるんだけど、カッコよさで言ったら断然Rシリーズなんだよね。それに、Rシリーズより遅い。やっぱSシリーズは無しだな。


「無理、却下、Rシリーズ速い、」


「アル様、あまりレイモンドさんを困らせちゃダメだよ?」


 ぐぬぬ、ここで何故レイモンドの味方をするんだナタリー?お前にはこのRシリーズのカッコよさが分からないのか?


「じゃ、今日だけこれで行く――明日からSシリーズでいいから」


 ホッ、っとした表情のレイモンドが、護衛用の車に乗り込んで行くのを見送り、俺はナタリーと2人でメドナスR3へと乗り込んだ。


 この車、俺が会社を立ち上げ4年目を迎えた頃から制作を始めたのだが、この性能になるまでたったの6年しか掛かっていない。


 それもその筈、完成形を知っている俺が金に物を言わせてデザインと設計を行ったのだ。間にあるいくつもの技術革新をすっ飛ばして作られている。


 最先端を行き過ぎて、軍から購入制限が設けられるほどの出来だ!それでも、創業者である俺には勿論所有権があるので、所有しているのだが、後からちゃちゃを入れられない為にも、軍のお偉いさんにゴマすり用の車を何台か送っておいた。


 俺は機嫌よくアクセルを吹かし、カッコよく片手で車を運転する。いい子のみんなは真似しちゃダメだぞ!


「アル様、この車って高いの?」


「えーとっね、これ高級モデルだから多分3億くらいだったはず」


「えっ!?」


 こいつ馬鹿じゃないの?見たいな顔でナタリーがこっち見て来るんですけど、、、


「そんなビックリしなくても大丈夫だよ、小さい傷とかリペアの魔法で大体直っちゃうし」


「・・・え、うん、それならいいんだけど、、、値段は?」


「・・・え?3億でしょう?そんな高くなくない?本当は10億くらいの奴作りたかったんだけど、まだそこまでする程の出来でもないしな」


「・・・ナタリーと一緒でもアル様には高くないのか・・・」


 何やら、ナタリーがブツブツ呟いていたが、エンジン音にかき消され上手く聞き取れなかった。


「ナタリーなんて?」


「・・・ううん、なんでもなーい!」


 と元気に返してくるから、本当に何でもないのであろう。俺は気にせずに運転を続けた。


 その後、学校の校門へと乗り付けた俺達は車から降り、護衛用の車で付いて来ていたミゲルに車を預けた。


 まだ車が高級品扱いな為に一般にあまり普及しておらず、法整備は終わっても学校に駐車場などはない。


 その為、せっかっく乗って来た車を護衛に乗って帰って貰わないといけないのだ。ちょっと悲しい


 護衛に見送られた俺達は学校の校門を潜り抜け、クラス表を探すことにした。


「ナタリークラス表の確認に行こう」


「うん!、、、一緒のクラスだといいね♪」


 楽しそうなナタリーを引き連れ、新入生達が集まっている場所へと向かった。大体こういう時は人が集まっている場所に必要な情報はあるもんだよね。


 どれどれ、、、ほうほう、、、俺はA組で、、、ナタリーはB組か


 残念だが、クラスは別々みたいだ。


「ナタリー残念だけど、クラスは別々みたい」


「えーーーそっか、ざんねん。――アル様、他の女の子とイチャイチャしたらダメだからね!」


「え?うん、そんな予定は今の所全然ないけど」


 何を言い出すかと思えば、そんな事を心配していたのか。――うーん、でも正直チヤホヤはされたいから、カッコ付けはするけどね。ニッ!


「ならいい!・・・」


 その後、クラス表の確認を終えた俺は、あんまり納得していない様子のナタリーと別れ、新入生代表挨拶の準備をする為に職員室へと向かった。





 ――― コンコン ―――



「失礼します。新入生代表のアルフレッド・エアハートです」


「アルフレッド君よく来たね、さ、さ、こっちへ」


 そう言って出迎えてくれたのは、恐らく人種の男性教諭だった。


「先生初めまして」


「はは、私は君のクラスを担当するマルダート・エヴァンズだ。よろしくね」


 エバンスじゃなくてエヴァンズね。ヨシ!間違えないようにしないと。


「はい、エヴァンズ先生よろしくお願いします」


「君の噂は聞いているよ、この学校でも君は既に有名人だ」


 おお、それマジですか先生!なんだか照れるな、、、いかんいかん気を引き締めてと、


「いえ、私などまだまだ若輩の身です。先生方のご指導を受け、1日でも早く立派な人物へなりたいと思っております。」


「・・・そうかい?それはとってもいい心掛けだね。」


「ええ、ですから、厳しいご指導宜しくお願いします」


 その後、挨拶を終えた俺は新入生代表挨拶の原稿を先生に見てもらい、軽く添削してもらってからクラスへと合流した。




 ふむ、1クラス50人もいるのか。それが、10クラスもあるとはかなりデカい高校だ。全校生徒約1500人教員や事務員などを含めると1800人の大所帯。大学なら分かるが、高校でこれはかなりの規模だな。


 取り合えず、このクラスの代表は俺と既に決まっているので、皆に挨拶しておくか。


「みなさん、初めまして、私はアルフレッド・エアハートです。1年間よろしくお願いします。」


 掴みはそこそこ良かったようで、皆が口々に挨拶を返して来てくれる。俺が新入生代表挨拶をする事をみんなに告げ、自分の席へと付いて入学式の時間が来るのを待った。






『・・・えー本校は今年で創立70周年を迎えた伝統ある学び舎として、これから新しい時代を担う、若者達の・・・』


 どうして、世界が変わっても校長先生の話というのはこうも長いのであろうか?催眠魔法がかけられていそうな長文を先程から聞かされ、在校生の中には船を漕ぐ者が幾人か見える。


 早く終わってね、と思いながら、俺は無心で前を見つめていたのだが、何やら左の方から視線を感じる。あっちは確か、ナタリーのいるB組だったはず。


 俺のイケメンフェイスに見とれた可愛い子ちゃんかな?なんて思っていたのだが、感じる視線は何やらそうではなさそうだ。


 険悪な雰囲気がひしひしと伝わって来る、そちらを見るのは辞めとこと思った俺は無視して、ありがたい校長先生のお話を静かに拝聴した。


 南無南無。早く終わって~




『―――新入生代表!アルフレッド・エアハート君!』


「ッ、はい!」


 すぐさま返事をした俺はスっと立ち上がり、在校生の間を通り、壇上へと昇って行く。


 壇上へと上がった俺はマイクの前までいき、あ、これうちの会社の奴じゃんなど考えながらも、思考を切り替え新入生代表挨拶を行った。


「―――新入生代表、アルフレッド・エアハートです。この場を借りて挨拶をさせて頂きます。やわらかな春の・・・」


代表挨拶書くのめんどくさくなった訳じゃないよ?本当だよ?

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