2.異世界の魔力事情
あれから5年たった。
いや、早っ!と思ったかもしれないけど子供の頃に特にこれといったイベントは起きなかったのでしょうがない。
ああ、それからメイドがいる事で気づいた人もいるかもしれないけど転生先は貴族のお屋敷だった。
ただし、今まで一人っ子だった俺にはこの世界で沢山の姉弟が出来た。しかも全部姉である、更には全部で4人もいる。現状末っ子の俺は唯一の跡取り候補として蝶よ花よと育てられた。
しかも前世の知識がしっかりあるおかげで3歳にして魔法を使い始めた息子を両親は完全に天才だと思ってか、猫可愛がりしてくれる。
お陰で転生したばかりの頃にあった、胸のもやもやとした感覚を完全に忘れて有頂天になっているが、細かい事は気にしない。
そんなもんは、、、、、多分、前世で死んだ時の最後の後悔かなにかだろう、、、、
魔力に関してはしっかりと習得する事が出来た。何故か補助系統の、身体強化魔法や、回復魔法しか使えないけどまだまだ5歳のこの身には関係ないと特に気にしていない。
いや嘘、気になったので親父に聞いてみた所、どうやら年齢にして8歳ぐらいまで成長をしないと神経回路の成長率が足りないせいで攻撃系魔法は発動が難しいらしい。
それに無理やり魔法を発動しようとすると神経に麻痺が起こる可能性があるので、絶対に練習ですらしようとするなときつくいわれた。
俺がこんなに物事をしっかり判断できる子供だとはさすがに思っていなかったらしく、急遽魔術の先生が俺に付けられた。
この時点で、こっそり覚えていた補助系の魔法が全部親にばれたが、両親は我が家の未来は安泰だとか、我が家の待ちに待った男児は麒麟児だとか、さらに甘やかされるようになったので個人的にはオールオッケイだ
執事やメイドも会うたびに、齢5歳の俺に尊敬の眼差しを向けてくる。ワハハ、素晴らしきかな♪
魔力の量に関しては今まで出会った人の中では少し多いぐらいには5歳で到達することが出来た。
そんなことより今日はめでたく5歳を迎えた俺に両親がお付きの者をつけてくれるというので専属のメイドを3人程選んだ。
因みに全部男だった、いや執事じゃねーかと思ったが姉連中が女のメイドを俺にあてがうのを全力で拒否したのでしょうがない。
まぁ個人的にこの年齢で女にもてはやされようが男にもてはやされようがどっちでも単純に嬉しい年頃なので気にしない。
子供の身体と精神って最高だな~っと思っていると、何やら親父が俺を少し可哀そうに思ったみたいで小遣いをくれた。しかも結構いい額貰った。
親父が言うにはそれで奴隷を買ってこいってことらしい。奴隷なら契約魔術で縛っているお陰で万が一にも子供の俺に手出ししないだろうとのことだった。
いやいやそんな事あるわけないやろと思っていたのだが、バトラーのレイモンド曰く、
「アルおぼっちゃま、貴族の皆様は魔力に優れます。それはアルおぼっちゃまを見れば一目瞭然、平民も確かに魔力を持っていますが、その限界値には隔絶とした差があります。」
「それってどれくらい?」
それからレイモンドがした話をまとめると、俺のイメージの中では大体こんな感じだ。
まず、魔力量は貴族を300万~100万ぐらいだとすると、鍛えた軍人や魔術師で30万~10万、平民が1万程とのこと。
ふむふむ、思ったより平民でも魔力あるんだな、それに思ったほど貴族って普通な気がする。軍人10人と同等って感じかな?
それによって一番の恩恵を受けるのは回復魔法らしい。
なんでも熟練した貴族ならば皆欠損を治す程の魔法を扱うだけの魔力を身に着けるとのこと。
その為、平民の者が貴族の男子に子供を孕ませてもらおうと迫ってくることはよくある事らしい。
そのおかげで貴族は争いの力もあるが、概ねその回復魔法で指示を得ているとのことだ。
マジか!、俺からすれば貴族に生まれたってだけでかなりのアドバンテージなのに、生まれた時から皆にチヤホヤされるのが確定した生活とか俺得すぎるやろ!
それから馬車で奴隷商館へと向かう道中暇になり外の風景を眺めながら思う。
やっぱ、思ったより文明が進んでいるなと。移動こそ馬車ではあるが、街には街頭があり原始的な炎ではなく魔法の灯りがともっている。
これは化石燃料に頼らない資源の存在?、魔石による恩恵かな?
それに建築物も高いもので地上7階建てに相当する建物も見受けられる。
道幅も広く整備されており街全体を覆う外壁も高く堅牢な印象が見受けられる。
しかも町じゃなくて街だ、めちゃ広い。人口1000万以上いるんじゃないか!?
それに屋敷には上下水道も完備されていた、前世の中世ヨーロッパよりも衛生的な都市だと思う。
そして一番進んでいると思った原因は時折聞こえてくる日時と時節を告げるラジオ放送だ。
個人的な意見だが、この星の文明は昭和初期程に到達しようとしている真っ最中なのではないだろうか。
などと考えているうちに目的の奴隷商館についた。