17.ルナ・マリアとナタリー
短めなので2話投稿です
俺は現在、金髪幼女こと人間とエルフが不思議パワーで合体したちょっと物語が始まりそうな少女ナタリーちゃんとの話し合いをしていた。
「あの、たしゅけてくれてありぁあと…です」
「気にしないで、貴族としての務めを果たしたまでだから」
フッ、ようやく俺が真にカッコ付けれる相手キタな。コレ!
「えと、き・じょ・くぅがなにかわかりゃないけどマジありゃあと…です」
ところで何故君はそんなに舌足らずなんだい?僕と同年代だよね?…あれ?でも普通の6歳児ってどんなもんだっけ?俺基準で考えたらダメか?
「そっか、貴族分からないか―――ルナマリアさんに変われたりってするのかな?」
うーん全然話進まなそうなので、ルナマリアさん出て来てくれない?
「えっと、、、、、、、、、ママは、たびゅんねむりゃないとはなしぇないの…です」
そっかそっか、ルナマリアさんがお母さんなのか、それと寝てないと交代できないんだね。うんうん
「スリーピングフォレスト!」
「あぅ…z…z…z…」
ふぅ、我ながら素晴らしい判断の速さだ。俺じゃなきゃってやつだ。
「ねぇ!ちょっとナタリーの扱い雑じゃない?」
「おはようルナマリアさん」
「チッ!…まぁ、いいわ。昨日の話の続きをしましょう」
今舌打ちした!?まぁ、俺もおふざけは止めてちゃんとお話しするか。
「ルナマリアさん、初めに1つだけ教えて下さい。他種族を恨んでいますか?」
これだけはどうしても初めに聞いておかなければならない。それに後ろに控えているレイモンドからの視線が痛い。
「ふん!…えぇ、そうね。でも、幸か不幸か私は”冷静”な方だから私の本体程ではないわ。それに悪いものは全てもう1人の私が引き受けてくれたしね…」
「それを聞いて少し安心しました。それと、本体はやはり、元の肉体の方なんですか?」
「どうかしら?正直私にも分からない。元の身体があっちだから、私の認識ではあっちが本体だと思うだけよ。それにしても貴方よくこんな話スラスラと飲み込めるわね」
うん?あーこっちの世界には某有名魔法少年映画ないから分霊箱の概念とか某有名漫画で激ヤバ呪物の指とかの概念が今はまだ一般的ではないのか?日本人ならこの話7割以上が理解できると個人的には思っているんだが。
「ええ、まぁ僕は少し特殊な訓練を受けているので…はは。因みに起きていられるのはナタリーちゃんが寝ている時だけなんですか?」
「そうね、ちょっと話が長くなるけど構わないかしら?」
「えぇ、今日は時間をたっぷり取ってありますのでお構いなく」
それじゃ、といい話し出した彼女の話をまとめるとこんな感じだ。
彼女の意識は俺に目を治してもらうまで完全に途切れていたそうだ。彼女が最後に覚えていた記憶は、魔術師達がナタリーの目を取り出そうか話し合っていた所までしか無いとの事だ。
それと、目の崩壊は3年をかけて起こったそうだ。最初に目が見えなくなっていき痛みもなく時間をかけて目が崩れ落ちたそうだ。うん、想像してみたけどちょっとしたホラーだ。
ルナマリアさんの意識は目の崩壊と共に途切れたはずだったが、不思議な事にそれ以降の出来後も目が治った瞬間に正しく把握したという。
ルナマリアさん曰く、ナタリーが聞いた音や肌で感じたモノを目の復活と共に共有したそうだ。うーんファンタジーだ!今の俺には原理とか分からん!ただ、日本文化のおかげで理解はできているけどね。オタク文化マジ感謝
そんな不思議パワー(ルナマリアを添えて)が宿ったナタリーちゃんの肉体は、何やら徐々に変質を起こしているらしい。
ナタリーちゃんの肉体は、ごく一般的に見ると魔力が多い方だ。大体俺の肌感覚で今7万くらいかな?これは確かに将来有望な子供だ。それに、俺が昨晩感じた魔力はもっとヤバかったしな…
そんな将来有望なナタリーちゃんは左目に宿ったルナマリアさんのせいで、肉体の魔力許容量が全然足りていないらしい。
仮にもエルフであるルナマリアさんの魂が入ってしまっているせいだな。そのせいもあって、ルナマリアさんは彼女の肉体に負担をかけないよう、彼女が眠りにつくまで表層意識には出てこないようにしているらしい。
それから、変質を起こしているのは肉体全体らしく、ルナマリアさん曰く、恐らくナタリーはそう遠くないいつの日か身体が完全にエルフになりそうだとの事。
マジか!?部分的に不老不死の実験成功しちゃってるじゃん!なんかオマケで別の人格付いてくるけど・・・
ただし、これには条件があるそうだ。てか、この条件恐らく貴族かそれに準ずる力を持った者しか解決出来そうにない。
ルナマリアさんの感覚では、ナタリーの成長と共に再生魔法を何度も何度も使い肉体を最適な状態に保たないと、いずれまた崩壊が始まりそうだとの事。
だが、いずれ適応が進めば再生魔法を使う必要性も無くなるだろうとの話だ。うん、今までの話から大体の事は想像できてた。
俺の中二病知識がここでも役に立つとはな。
「この屋敷に奴隷として買われたのは正直運が良かったわね」
「確かに、話を聞く限り我が家以外だと、恐らく助からなかったかもしれませんね」
「多分、これはナタリーのおかげね。だって私に運なんてものはなかったもの」
確かに、200年以上も囚われ続けたルナマリアさんが言うと説得力あるな…
「再生魔法の件は分かりました。魔法が必要な頻度はどれくらいですか?」
「私も意識を覚醒させたばかりだから正確には分からないけど、毎日って程ではない事は確かよ」
「分かりました。正確に把握出来るまでは一応毎日診察する事にしますね」
「えぇ、お願いするは」
「それでは2人の話は一旦ここまでにして、次は僕の提案を聞いてくれませんか?」
彼女達がどういう存在なのか最低限の事は知る事ができた。それに、彼女達からは俺を害するような意思は感じられない。何よりレイモンドが俺を止めないのがいい証拠だ。
俺の中では彼女達の扱いについてもう答え出ている。それならば、次はさっさと俺の計画を話して、お互いに協力関係を結ぼう。
その後、俺は現在行っている奴隷解放計画についてルナマリアさんと話し合った。
「―――今現在僕が行っている計画については以上です」
「そう、エルフを含めた奴隷の解放、、、それも全世界のね、、、正直そんな事を考えている人達がいる事に凄く戸惑っているわ。だって…貴方達に何もメリットがないじゃない?」
「あれ、ナタリーちゃんの中で聞いていませんでしたか?僕最初に言いましたよ、貴族としての務めを果たしている。ってね」
「ふん!そんな事が信じられるほど私は耄碌してないつもりなんだけど…でも、まぁいいわ。貴方以上の好条件に巡り合う可能性なんてなさそうだし」
「恐れ入ります。ところで、ナタリーちゃんってなんであんなに舌足らずなんですか?ルナマリアお母さん?」
考えたんだけど、やっぱり6歳児てもっと喋れるよね?そこんとこどうなんです?ナタリーちゃんのお母さん
「そんなのまともに話し相手がいなかったからに決まっているじゃない!ナタリーはね……チッ!それと、私をお母さんて呼ばないで!!」
「確かに、そうですよね。僕の配慮が足りませんでした。申し訳ない。それにしても、お母さん呼び嫌いなんですか?ママの方が良かったです?」
「……私が言いたいのはね、母親扱いするなって事よ!ナタリーも私の事をママ何て呼んで、、、私はあの子の母親になったつもりなんて無いのよ!」
おっと、これはかなりの地雷ぽい。俺にこれをどうこう出来る対人スキルはないぞ!完全に藪蛇つついた、、、どうしよ。
「あ、、、ちょ、ナタリー」
取り合えず謝罪して、いやいやそんなのスマートじゃないし、ここは別の話題を提供して一まず話を別の方向に持っていった方がいいか?いや、でも…うん?
「、、、まっ、、、z…z…z」
何て返答しようか思案していた俺をよそに、ルナマリアさんが突然そう言うと、彼女の今まで赤く光っていた左目が元の金色へと戻っていく。すると両目が閉じていき再び開かれ、
「うわぁあぁぁぁぁ、、、ママぁぁぁぁ、、、ママなのに、なたいーのママなのに、、、なんえいつもいつも、、、うぅ、、、ママはママなのに、、、」
聴こえたのは幼い少女が何度も母を呼ぶ悲しい声だった。
正直、俺は見ていられなかった。ナタリーを娘と認められないルナマリアさんの気持ちも理解出来るし、ママと呼びたいナタリーの気持ちも良く分かったから、
「スリーピングフォレスト、チャーム・セウン」
完全に俺のせいだ。もっと配慮して話すべき事だった。エルフに会えた事で舞い上がってしまっていた。それに彼女達の特異性を聞いて胸が弾んでしまったんだ。
いや、全部いい訳だな。ちゃんと反省しよう。なんかすげー悪い事した気分。いや、実際そうなんだけどさ、はぁ。
それにしても、気が動転していたが1つ気になる事がある、今ナタリーはいつもと言った。ルナマリアさんは目が再生するまで、意識は無かったと言っていたのにだ。
これはどういう事だろうか?ルナマリアの意識が眠っている間も、ナタリーはルナマリアさんを感じる事が出来ていたという事なのだろうか?
それとも単にルナマリアさんが嘘をついたのか?でも、レイモンドがいる限り恐らくそれはないよな?そうすると、ルナマリアさんには分からないけど、ナタリーには分かる事があるって事だろうか?
うーん、眠ちゃったし日を改めるか。
「レディーを泣かせるものじゃありませんよアル坊ちゃま」
「うん、凄く反省してるから、、、レイモンド姉さん達に言わないでね…」
金髪幼女ナタリーちゃん6歳、ルナマリアが覚醒すると左目だけが赤くなる物語の主人公の設定のような幼女です。




