10.お勉強の回2
気付いたら1年が経っていた、、、、
1日が物凄い速さで過ぎ去っていく。
朝起きて、
ご飯食べて、
マナーのお稽古して、
教養のお稽古して、
その後飯食って、
休み時間に奴隷治して、
音楽と美術のお稽古して、
魔術と魔法のお稽古して、
最後に運動のお稽古して、
夕飯食べたら残り時間は会社をどうするか何時間も考え気付いたら寝る時間になっている。
うん、1日1日が濃密だ。
今も、1日のスケジュールを消化し終え、ちょうど部屋に戻って来た所だ。さて、今日もやるとするか。
最初に会社を作った1年目は、普通にパッパにお金を出してもらって運転資金にあてた。自分で稼ぐ所から考えたんだけど、金あるし時間の無駄だと思ったので普通にお願いしたら、失敗しても気にしなくていいと普通に出してくれた。パッパいつもありがとう。
因みに最初に借りたお金はまだ返してない。なんなら追加でもっと借りた。
商品は順調に売れているんだけど、生産する場所も、人も何もかも足りていないのが原因だ。それに最近稼いだ資金でバカでかい土地を買って工場と団地を建設しているからな。まぁ、最初の見通しが甘すぎたんだよね、、、
俺の中ではもう産業革命起こった後だと思っていたんだけど、そんな事なかったので完全に俺のリサーチ不足だ。
普通、機関車とかラジオとか作れるくらいだから、もう生産工場が機械化してると思うじゃん。エネルギー革命は魔石の存在があるから昔からあったとしても、機関車で交通革命が起きたら産業革命も起ってると普通思うじゃん。
なんで全部マンパワーで解決してるんだよ、、、
どの分野でも一般人が普通に魔法を使うもんだから、生産力を現代の1900年代で考えるのが間違っていたみたいだ。
だからもう、産業革命は俺が一気に起こすことに決めた。
今まで技術を独占し、安い賃金で労働者から金を巻き上げてきた商人どもめ震えて待っていろ!駆逐してやる!!
という訳で絶賛工場を建設中だ。
工場を作り作業を機械化する。すると何が起こるのか、今まで以上に安価に大量生産が出来るようになるという事だ。マンパワーで解決していた問題も機械が解決する。
例えば本、この世界では民間の会社が転写の魔法を使って1ページずつ転写し、50人くらいで本を作っているようなのだが、
1人が1日100ページ転写して200ページの本だとしても日産で25冊しか作れない計算だ。そのせいか本はめっちゃ高い。実際はもう少し多いかも知れないけど。
その為、機械化するだけで従業員を減らす事ができ、人件費が物凄く安くなる理由がわかるだろう。それに加え労働者の賃金は逆に上がるんだ。
仕組みは簡単、本の値段が1/10になったとしても、1日に1000冊だろうが1万冊だろうが作れるようになるのだから。
仮に従業員が半分の25人になったとしても、機械化の恩恵で会社売り上げは上がり、1人辺りの賃金はむしろ上がる。
本を書く側の人間は今以上に儲かる、出版社も儲かる。だが、一番悪影響を受けるのは生産工場で働く一般階級の労働者達だ。
なので、ここで気を付けないといけない事は、解雇された従業員に新しい仕事を与え、恨みを買わないようにすることだ。
だが、これについては全然心配していない。前世の知識がある俺なら、失われた職に代わる新しい職を提供するだけの知識があるからな。
だから、手っ取り早く自前で工場を建てる事にした。
今度こそ、この世界の技術レベルを完璧に把握し、計画を修正していかなくては。
2年目にやる事はまず、後回しにした石鹸だな。いい加減泡立ちの悪い石鹸にイライラしていたところだ。ここらで独占している会社に代わる安く高品質な石鹸を作るとするか。
それから先程話に出した本だが、文芸書、歴史書、絵本などが多く、新聞はあるが雑誌は殆ど作られていないようだ。
読み捨ての雑誌は現状安価に作れないからだろうな。
ファッション誌でも作るか?
ついでだし漫画も広めてみるか?
待てよ!
、、、漫画か、、、情操教育に使えないか?
例えば、かの有名な3原則「友情」「努力」「勝利」を掲げた漫画とかどうだ?
奴隷を主人公にするのではなく、あくまで脇役、物語のスパイスとして不幸を描き、主人公とのすれ違い、読者の心に残る人物が登場する物語、、、
『…昔必ず助けると約束した小さな奴隷の女の子、主人公との約束を胸に日々懸命に生きる少女、小さな希望と日々の不幸、大人になっても約束を守ろうと必死に戦う主人公、人知れず大人になった少女、残酷に過ぎる時の流れ、約束を守らなかった主人公に絶望し悪の手先に落ちる少女、闘いの中再開し愕然とする主人公、絶叫し突撃してくる少女、瞬間絡み合う視線、少女に必死に言葉をかける主人公、それを見ている敵のボス、一瞬視界から外れた事を確認し主人公を殺しに迫る、刹那の瞬間、庇い、倒れる少女、抱きとめる主人公、仕留め損ね消えるボス、助けようと必死に魔法を使う主人公、最後だからと呟く少女、零れ落ちる手、最後の言葉を聞き絶望を胸に復讐を誓う主人公、、、、、、、』あ、なんかみえた。
漫画の中で涙を誘う展開を描き、俺が政治家になる同年代や大人世代に奴隷を解放するイメージを今から植え付けていくんだ。思いが芽吹かなくても芽吹いてもいい。心の中に奴隷への哀れみがほんの少しあるだけでいいんだ。
いや、ちょっと待て、前回思い付きで痛い目みたからな、今回はもっと慎重に細部まで練ってから動いた方がいい。
漫画よりまずファッション誌だな。
ファッション誌は姉連中に協力して貰えば何とかなりそうだ、最先端の服を着せモデルとして起用する。
そうだ!服だ!産業革命と言えば生糸だ!
製糸産業の発展を時間に任せるのではなく、最初から正解をぶち当て、一気に服の量産と種類を増やす!産業革命が起きれば、ファッション誌とか俺がやんなくてもそのうち誰かがやるだろうけど、、、
やっぱどっちももう少し練ってからやるか。
今手作業で作ってる製品の工場が完成したら、石鹸と印刷と製糸と服の工場を追加で作るか。
やっぱり金も人もまだまだ全然足りない。
そういえば、奴隷ばかり気にしていたが、一般人を雇っても問題ないよな。
奴隷を国が管理している以上、俺が解放しようとも書類上は奴隷のままだが、毎月ちゃんと支払いをすれば工場でどんなに酷い扱いをされていようとも逆に良い扱いをされていようとも気にしない組織だ。
借金を返し終わるまでは奴隷のままだが、一般人の中に彼らが紛れ込んでも奴隷とすぐに分かる訳ではない。奴隷達は足枷を付けている訳でも、奴隷紋があるわけでもない、何故なら魔術が彼らを縛っているから。
俺は最初、奴隷と一般人を会社ごとに分けるつもりで考えていたが、将来的には奴隷と元奴隷と一般人が働く会社にしてもいいんじゃないか?
コンコン...
「はーい」
「失礼します。アル坊ちゃま就寝のお時間です」
レイモンドに言われ時計を見やれば22時を回った所だ。後1時間起きていても全然いいのだが、寝ないと身長が伸びないからな、高身長イケメンになる為にもぐっすり寝なくては。
「分かったレイモンド、おやすみ」
「はい、おやすみなさいませ、アル坊ちゃま」
こうして今日も1日が終わる。




