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トナの村にて. 3

「村的に今、どれが一番困っていますか?」

「……どれも、ヤバイですけど……ワイバーンかな?」

小首を傾げるルリを見て思う。美人てなにやってもかわいいな。

それだけ注目されてストレスたまんないのかと。

「……そんなに見詰めちゃ、惚れちゃうぞ?」

ずきゅーん!じゃなくて。話しが進まない。いや、ルリの背後で青筋立てている女性を発見。いつの間に!?

「こんのビッチ!男とイチャついてないで仕事しろ!」

両腕で頭の横を挟んでぐりぐりしている。

「いたいいたい!止めてくれー!止めろー!」

ある程度ぐりぐりした後でルリを放すと、僕たちをを値踏みするように見る。

「……あんたらは?いや、私はこの貧乏ギルドのギルドマスターをしているガレットよ」

狐の耳と尻尾が生えている。獣人か。もふもふしたいって言ったら、変態扱いされるだろう。

「ルリ。いくら、可愛い坊やだからって彼女持ちから奪っては駄目よ」

「でも、最近流行りのネトるってありますよね?興奮しません?」

「……ばか!坊やたちがドン引きしてるじゃないの……ごめんね、この子はいい男を見ると狩人になるのよ」

ホントにすまなそうにガレットさんは謝る。

「だって、この村には、みんな逃げてしまってお年寄りしかいないじゃないですかー、ねぇ?」

「……ねぇ、とこっちに言われても」

プラチナに話しを振って来たので苦笑する。

「でね、でね?この方々はなんと、冒険者志望なんですよ~」

「それはそれは、この村の事情を聞いて冒険者になるとはね。クレイジーな奴等だよ」

「あ、どうも~」

「プラチナ、褒めてないと思うよ」

「まあ。こっちの受け取り方の問題ですー」

なんか、ムスッとしてない?ルリと話してから不機嫌になってる?

「ま、ともかくワイバーン退治してきますよ」

「待ちなFランクでいきなりワイバーンなんて無理だ。まずは、村の周りにいるメガスライムを倒してみな」

「メガスライム?」

「ええ。この辺のスライムたちがクラスアップした奴です。主に魔族のの世界に出現する生き抜いたスライムよ」

ルリが、説明してくれる。レベル500と知って安心のようだ。

まあ、ガレットさんが納得してくれるならそれもいいかと建物の外に出たとこで悲鳴が聴こえる!?


「きゃあ!助けて下され!」

それは、空からやって来た。ワイバーンが何匹か。

怯えて村人たちが建物内に隠れる。

「あいつら!巣に帰る時にこの村の住民を、餌と思って狩ろうとしてるのさ!」

ガレットは、背中の長銃を抜き構える。

「ぶっぱなしてやる!ルリ、住民の避難を!」

「はい~!みなさん!こっちです!ギルドの建物はボロいですけど、少しはマシです!」

ボロいんじゃ、駄目じゃん。

「わしゃ、わしゃ~、ルリちゃんの胸に顔を埋めて寝られたらそれでええ!」

「じじ……おじいちゃん、こっちです」

ルリさんが、キレませんように。おじいさんを誘導している。


「ちっ!固いね、相変わらず!」

ガレットさんの長銃はしかし、ワイバーンの羽根を撃ち抜いている。

しかし、それで怒らせたのか、ガレットさんに狙いを定めたようだ。

「ギャアアアアア!」

「行け!」

僕のスキル、集中力とスナイパーアイ。風を切り裂いてワイバーンの首を射抜く!そのままドシンと落ちてくる。

「いぇ~い!」

近づいて来たプラチナとハイタッチ。


続けて他のワイバーンを射抜く。これなら、信じてもらえるだろう。ガレットさんを見ると、ポカンとしている。

「あれ?なんかまずかった?」

ガレットさんが我に帰ると近寄って来る。なにか、怒ってる?

「あ、あんた、ちょっとこっち来な!」

「え?え?」

歓声を上げる村人たちに手を振り返す。

「わあ!ハヤテさん、やっぱり強いんですね!あの、彼女とかいますか?」

頬を赤らめてそんなことを尋ねて来る。あれ?もしかして、モテてる?

「黙りなビッチ!あんたはそのワイバーンの解体だ!」

「え~?プラチナさん、手伝ってくれます?」

「は~い」

なんだか軽いな。まあいい。ギルド内に入ると避難してきた村人たちがいて、僕たちを見てくる。

「みんな、ワイバーンはイワしといたからもう帰って大丈夫だよ」

「おお。さすが、ガレットさん。頼りになるのぅ」

「ほんとじゃ。あんたのロングバレットは凄いのう。わしの銃もまだまだ、現役……」

「じいさん、下ネタはいいから、早く帰んな」

苦笑して、老人たちを追い払うけど、楽しげなのは、これがこの人たちのコミュニケーションなのだろう。


「……いいか。あんたがなにもんなのか知らないけど。その力はひけらかさない方がいいよ」

「そうなんですか?」

個室に案内された後、面と向かって言われた。

プラチナも来て、ルリがお茶を運んでくる。な、なんか潤んだ瞳で見てくる?

「そんな圧倒的な力を持ってるのは、勇者とか光の巫女とかだからね。ただのアーチャーがそれじゃあね」

「駄目ですか?」

「そうじゃない。大国に目をつけられれば、利用されたりするだろうし、利用できなければ、脅威となるから暗殺されるかもしれない。そっちのかわいこちゃんが人質に取られるかもしれない」

チラリとプラチナを見ると、なぜか照れている。褒めなれてないのか!



つづく

ルリは、いい男を発見したと思ってるよ

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