湖のダンジョン .7
「!!」
主様の振るう尾に、みんな吹き飛ばされて、水の壁に激突する。
動きが、先程よりも速くなり、コハクのガードも突き抜ける。
「あはは。ぞくぞくさせてくれるねぇ」
コハクは、それでも強がるのはリアのことを安心させるためか。
更に主様のアクアブレスで、一気にHPが削られる。
「雷撃之祝詞!」
「オーラショット!」
「ブレイブザンバー!」
しかし、主様の鱗は堅く弾き返される。これは、さっきまでの主様と違う。
「……カーストアップかもしれないね」
「コハクさん、なにか知ってるの?」
「ああ、リア。覚えておいで。どんな魔物にもあることだよ。
突然、覚醒してレベルアップする現象さ」
「!……それってこの地方に似てますよね?
「そうだね。この地方全体の魔物がカーストアップするなんて、不思議な現象だね」
「セイントヒールウイング!」
風に乗り僕たちの傷が癒される。プラチナか。
「う~ん。みんなは下がってて。さすがに今のみんなじゃかてないよ」
困ったように笑うプラチナに主様が迫る。
「あぶなっ!」
しかし、僕の声は届く前にプラチナが、尻尾でぶっ叩かれて……効いてない。ピンピンしてる。
そして、プラチナは、尻尾を掴んで、ブンブンと振り回す。えーーーー!?
心の中で、叫んでしまう。そのまま、空中に放り投げると、手をかざす。
「メテオバースト!」
巨大な炎に包まれて、主様が叫ぶ。
その様をみんな、ポカンとしてみている。
プラチナが強いのは知っていたけど、まさかこんなあっさり。
「ぬ、主様!」
ミコガ、いち早く我に返り駆け出す。その背中に声をかけるプラチナ。
「あ、大丈夫だよ?手加減したから」
そして、困ったように微笑み僕たちを見る。
「あんた、とんでもなく強かったんだね」
信じられないものを見るような視線。好奇な視線。
人によってはそれを珍しがったりして対等には見てくれない。
コハクは、どうだろうか。しかし、それは杞憂だったようだ。
「いや~、助かったよ。それにその羽根はなんだい?コスプレかい?」
「あちゃあ。隠すの忘れていたよ~。実は私、天使なんです」
「……へ~、そりゃあ凄いね」
「あ~!今の目!不憫な目で見なかった!?」
「み、見てないさね」
サッと視線を反らす。見てたんだね。
まあ、天使と言っても誰が信じるんだってとこか。
「うわぁ!お姉ちゃん凄いなぁ!」
リアは、嬉しそうにびょんぴょん飛び跳ねている。
信じてる子が、ここにいたね。うん、素直な良い子だ。
リアを撫でていると、とても嬉しそうだ。
「主様、大丈夫ですか?」
「……おお。ミコか。私は……………そうか、襲いかかってしまったのだな」
「もう、大丈夫ですよ」
「お詫びに回復するね……セイントヒール!」
プラチナの魔法のお陰で主様の傷が癒える。
「おお。この魔力は天界のお方か?」
「あ、分かる?」
「わしは、この地を守るように光の女神様に仰せつかったのだ」
「そうだったんだ。知らなかったよ」
光の女神と聞いて、転生する前のことを思う。あの慈悲深いきれいな人か。
抱きしめられて泣いてしまったっけ。思い出すとちょっと恥ずかしいな。
「これを守れと言われたのだ」
主様が、水の中から現れたのは、一つの盾。龍の意匠が施されている。
「主様、それは……」
「ミコにも黙っておった。すまなかった。お主たちの村を守るためではなかった」
「……いえ。それでもあなたのお陰で、平和で暮らせていたのです」
ミコは、うつむく。なんて声をかけて上げればいいのか。
「さて。この盾は、リアよ。そなたが持つに相応しい」
「え?いいのかな?」
「うむ。勇者の装備だからな。誕生した今、渡さなければならぬ」
話しを聞いてて思った。ああ、これって魔王を討伐する流れじゃないよね?
つづく
勇者の盾―選ばれたものしかその力は発揮出来ない。
いかなる魔法も吸収して自分の魔力にしてしまう。




