異世界.1
こっちはのんびり投稿です。
気づいたら、草原に立っていた。どうせなら街の近くにしてくれればいいのに。でも、それだと変な騒ぎが起きるか。静かに吹く風は、日本のとは違い空気が美味しい。
ん?なにか違和感がある?現実世界の服装とは違うみたいだ。コスプレ?背中に背負っているものを取り外す。矢の入った矢筒だ。苦い思い出がよぎるが、今はどう言うことなのかを考える?
「………ホントに転生したってことか」
「こんにちわ」
「うわっ!」
いきなり声をかけられたのでびっくりする。隣に銀髪の美女が親しみ良く微笑んでいる。小柄で出るとこは出てる。て、じろじろ見てたら失礼か。
「えと、あなたは?」
「私は、プラチナです。光の女神様から案内を頼まれました。ちなみに天使です」
「はあ…僕は、風見疾風です。どうぞ、よろしく」
「はい。よろしくお願いします。素敵ななまえですね。速そうな名前ですね」
「名前負けするんだけどね」
そんなに足は速くない。
「疾風くんて呼んでいいですか?」
「まあ、どうぞ」
こんな美人になんて答えて良いか分からない。
豊かな胸に目が行きそうになるものの我慢する。
優しく微笑むと手を差し出して来るので握る。暖かい。
手を離すと説明してくれる。この世界は、地球とは違い魔物がいること。自由に生きていいこと。
「……自由と言われてもな。あ、この世界に本はあるのかな?」
「ありますよ。もちろん、光の女神様のご加護で読むことが出来ます」
そして、ウインドウについて教えてくれる。念じると出るらしい。ホントに出た。薄い緑みたいな透明なウインドウだ。ゲームか!
ハヤテ
年齢 20才
称号 ぼっち
職業 弓使い
Lv.500
HP4128
SP3450
STR5128+3280
DFF2147+3219
SPD7083+3400
LUK4589
射程15
装備
疾風の弓―一呼吸の内に二射出来る。
疾風の矢―射速が速い。
レンジャーアーマー
レンジャーハット
疾風のマント―素早さUP。
女神の矢筒―レアアイテム。不思議と矢が失くなることがない。
スキル
ぼっち―寂しいから誰か癒してね。
集中力―命中率が上がる。
スナイパーズアイLv.1 ―命中率とクリティカルがUP
フラれマン―傷ついてるので、悲しくなってくる。
女神に助けられし者Lv.1―HPが減ると自動的にヒールがかかる。
オーラショットLv.1
魔法矢Lv.1 気配察知Lv.5 スナイパーショットLv.1 二連射Lv.1 一射絶命Lv.1
「なんか、すごいことになってるけど!?」
ゲームを一人で良くプレイしていたけど、これがチートと言う奴だ。
弓使いなのも、昔、弓道部だったからか?まあ、中学の三年間だけだけど。しかし、コツコツとレベルを上げるのは今は古いのかな。
それとも、ヒーローみたいに強くありたいからそう言うラノベが多いのかもしれない。
「光の女神様のお心遣いですよ」
「……そっか。ありがたいな」
前世では、ろくなことなかったから。これで楽しく生きてほしいってことなのかな。まあいいや。歩こう。
「では、行きましょうか」
「……どこへ?」
「まずは、近くの街で冒険者登録しましょう」
「あ、冒険者って奴ですか?」
「はい。私も最初はお手伝いしますね」
にこりと笑われてドキッとしてしまう。美人には弱い。
「それはどうもよろしくお願いします」
「これはどうもご丁寧に」
くすりと笑ってお辞儀をかえされる。
晴れて天気もいい。ふと見上げたら鳥みたいな大きいのが飛んでいる。あれは、なんだ?鳥かな。
どれ、アーチャーとしての腕を試して見るかな。
狙い射つ!矢をつがえて放つと、矢は風を切り裂いて弾丸のように飛んでいく。手応えがあったか?鳥みたいのが落ちて………でかっ!?
物凄い地響き立てて落ちましたよ!それは、鳥と言うよりは龍。ドラゴンだよね。
「あの、これは……」
「凄いですね!初めてでワイバーンを仕留めるなんて!」
プラチナは、きゃっきやっとはしゃいでいる。天使って弾けてるね。
「……これ、どうします?」
「あら、倒したのですから、そのアイテム袋に入れてギルドに持っていけば換金してくれますよ」
「こんな小さい袋に入るんですか?」
「ええ。天の者だけが持つことが出来る素敵な袋です」
確かによく見たら、光の女神様がプリントされてるね。かわいいけど。
恐る恐るワイバーンに近づいて、アイテム袋を近づけると吸い込んでなくなった。おお、凄い。しかも、スキルのレベルが上がってる。ワイバーンだから経験値が多いのか。
「さ、行きましょうか」
「はい」
改めて凄い世界に来てしまったな。強くて良かった。コツコツは、ゲームの中だけでいいよね。
まあ、歩きながら説明書を読むか。ウインドウを開き、説明書をタップする。うん、長い。紙媒体の方が好きだなー。
街道沿いにのんびりと歩いていると、気配を察知する。それは、僕の気配察知のスキルのおかげか。
魔物か言うのだろうか……いや、人同士みたいだ。
「あのプラチナさん」
「呼び捨てで結構です」
「じゃあ僕もさん付けはいいです」
「じゃあ、ハヤくんで」
「え?なんで?」
「ほら、ハヤテくんだから。後ろの文字を取ってハヤくんで」
それなら、名前で呼ぼうよ。
「出来れば名前で……と、そうだ前方で誰か襲われてますよ」
「ええ?ホントだ」
プラチナは、どこか抜けているのだろうか。のんびり空を眺めて歩いていたものだから気づかなかったみたいだ。
「人間が襲われてますね。盗賊かもしれません」
優しいプラチナの表情が険しくなるよ。やっぱり天使だから悪いことは許せないか。
「助けに行きますか」
「そうですね……あの」
「はい。どうしました?なにか、バトルのコツでも?」
「いえ、あの、敬語止めてもいいですか?」
なぜかモジモジしてる。なんで?
「はい。いいです……いいよ。僕も止めるよ」
「はい!ありがとう!」
なにが嬉しいのか、走って行ってしまうので、慌てて後を追う。足はやっ!
いや、天使なら飛べばいいのでは?
つづく
プラチナは人間の友達が出来て嬉しいんだよ。