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プロローグ(加筆訂正版)

のんびりウォークと同じ世界です。

こちらは、のんびりと投稿する予定です。

空はこんなに快晴なのに、僕の気分はイライラしていた。僕は弦音疾風。

親も大層な名前を着けてくれたものだ。ま、親はもういないんだけど。たまの休みに街に繰り出したものの、回りはカップルばかりで、今日びのガキもイチヤついてるもんだからつい、睨みつけてしまう。ぼっちの僕としては休みの日は帰って気が滅入るだけだ。家族がいるのを見ると羨ましくなってしまう。その癖先日彼女にフラれたばかり。




「将来性の無い人とは付き合えないの」

彼女はそう言って去っていった。まあ、僕にはもったいない美人か。

休みの日に通ってる地元の図書館の司書で僕が借りる本と実来との趣味があったのか。君から声をかけられた。まあ、最初は些細な挨拶を交わすくらいだったけど。

本屋に誘ってみたのは僕で、お互いに読んでもらいたい本をプレゼントしたりした。



付き合い始めてからも上手く言っていたと思う。彼女の誕生日やなんとか記念日もちゃんとしたし。

でも、底辺の存在は駄目なのかな?いつまでもうだつが上がらないから、振られたのか。



趣味と言えるものは、本を読むことばかり。なので、いつものように本屋で二、三冊購入して帰る。基本的には文庫本ばかり。読んでる間は空想の世界に入り込めるからだ。

カフェのテラス席に座りコーヒーを注文する。それで、文庫本を読み耽る。そして、幸せな人たちを見ないようにする。





秋風が吹いて身を竦める。寒くなってきた。ふと、回りの客を見ると家族連れやカップルもいて目を背けたくなる。また、独り身になったものだから尚更だ。彼女はどうせ新しい男に抱かれてるんだろう。嫌な考えに首を振る。ふざけるな。なんで僕がこんなことで苦しまなきゃ行けないんだ。店を出て信号待ちでいつまでも青にならないからイラつく。


その時。猫が駆けてきた。そのまま、赤信号をわたる。馬鹿っと思ったときには、車が近づいていた。

反射的に飛び出す僕は、猫をかばうなんて。凄い衝撃。転がり、意識が遠退く。


ああ、こんなんで俺の人生は終わりかと思いつつも、退屈な人生がらやっと終わるとも思っていた。

ぼっちは、死ぬときもぼっちなのかと自嘲する。意識を失いながら、猫は大丈夫なのかなと思いながら、意識は遠ざかった………。






気づけば、なんだろう?真っ白な部屋にいた。目の前には美しい女性がいる。

ロングヘアの天使?羽根生えてるし。

「あなた、女神さまですか?」

「ええ、そうですよ。その辛かったでしょう?」

「……はあ」

もしかして、僕、同情されている?今までの人生が今更ながらに思い起こされる。ああ、確かに辛かったなと。

でも、寂しい人生だったけど、五体満足だっただけマシか。

それでも、その女神様に抱きしめられて僕は泣いていた。

いい大人が、情けないけど泣いていて。人の暖かさを死んでから知るなんてな。




「……落ち着きましたか」

「はい。すみません、子供みたいで。暖かったです」

「素直に言われると、照れますね」

満更でもない感じだな。いいんだけど。




「僕は、死んだんですか?」

「そうですね」

「そっか。良かった」

「良かった?」

「僕の人生知ってます?」

「ええ、まあ。その……」

言いにくそうだね。そうだよな。親に捨てられて、親戚からはたらい回し。

なんとか高校までは通わせてもらえた後は、家を出てその場凌ぎの日銭を稼いで生きてきた。


やりたいこともあれば別なんだろうけれど。すれ違う人々は、誰かとおしゃべりしていて、そっち側が羨ましかったな。


「まあ、生き抜けてホッとしたと言うか。もうこれで寂しさで苦しまなくてもいい」

「えと。その、ごめんなさい」

「え?なんで謝るんですか?」

「あなたを異世界に転生させないと行けないんです」

ホントにすまなそうに言うので、文句も言えない。しかし、死んだら天国とか地獄とか行くのではないのか?

「えと、それはどうして?」

よくあるラノベの展開だね。どうしよう。このまま流れに任せていいのか。なにか、させられるんだよな。


「あなたの魂が呪われているからです」

「呪い?」

「そう。あなたの星、地球ともうひとつのワールドウォークは繋がっていて、その世界を支配する魔神が地球を支配しに行けない腹いせにたまに、地球の人に呪いをかけるんです」

「……性格悪い奴ですね」

「そうなんですよ、ごめんなさい」

なぜか、謝られた。この人が悪い訳じゃないだろうけど。まあ、いいや。

「それは、断れないんですね?」

「そうなの。ごめんなさい」

「はぁ。仕方ないですね。じゃあ、せめてお願いがあります」

「な、なんでしょう」

「……なんでそんなに身構えてるんですか?」

「あ、いえ。男の子はどスケベじゃないですか?」

「はい?まあ。そうですね」

事実なので、隠しようがない。だからと言ってなにかする訳でもない。

「あんなことやこんなことを要求……」

「しないですよ、別に。好きでもないのに」

彼女のことを思い出して、首をブンブン横に振る。苦い思いが広がりそうになる。

「そ、そうですか。そうですよね?」

「なんか、寂しそう?」

「そんなわけありません。とにかくあなたを転移させます。とんでもなく強くして」

「えと、チートってことですか?」

「はい、チーターです」

それは、動物だよと、突っ込むのは止めておこう。この女神天然なのかな?

「では、行きますよ?」

「あ、待って!あの猫は大丈夫!?」

「猫?猫になりたいんですか?」

「違います!僕が助けた猫です!」

光に包まれて消えかける。美しい女神も見えなくなる。

「ええ。大丈夫です。無事、お家に帰りましたよ!」

そうか。ならまあ少しは僕の人生も報われたか。ほんのちょっとだけど。


次の瞬間には、意識が飛んでいた。

次の人生では幸せでモテモテの人生とかにならないかな。



つづく


よろしくお願いします!

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