自称ドクター
プロローグの投稿から3日を超え4日目になってしまいすみません。
今回のお話は少年が次に目を開けた時から始まります。
「お父さん、お母さん行かないで!!」
暗い家の中俺は知り合いのおばさんに抑えられながらもドアの向こうに去っていく親に手を伸ばし掴もうとする。
父はその様子を見て何を思ったのかサクサクと戻ってきて青色に輝くペンダントを俺の首に掛けるとまたドアの方へ今度は小走りで向かっていく。
そしてドアの前で止まりこちらを向くと誰かの名前を叫んでいた。
たしか...
「すず....れ...。」
次に目を開けたらそこは木造の部屋の中の鉄パイプ丸出しの昭和感溢れるベットの上にいた。
その部屋に見覚えが無かった俺はさっきまでの事の経緯を思い出すことにした。
確か、おばさん家から父がお世話になっていた人たちが住む家に引っ越す事になっていて...それから荷物を見送ってから地図の通りに路地に入って......そこからが思い出せない。
路地に入った後俺はいったい何をしたのかどうなったのかその経緯が全くと言っていいほど覚えていない。
「んー....ッ!」
それでも思い出そうと頭を捻っていると突然ベットを囲むカーテンが開きおもむろに私は医者だと言わんばかりの白衣を身に着けた眼鏡のちょび髭中年男が近づいてくる。
正直、俺は逃げたかったが動こうとした瞬間に全身に激痛が走ってベットの端に移動するのが精一杯だった。
「あー。あんまり動かないで。」
「針で縫った場所がまた開いちゃうよ。」
男は首をポリポリとかきながらこちらに近づいてくる。
そして俺が寝ていたベットの近くに置いてある丸いパイプ椅子に腰を掛けると淡々と自己紹介を始めた。
「俺はこの施設の医師の今凱 累だ。気軽にドクターとでも呼んでくれ。」
「それじゃあ、俺の自己紹介が終わったところで君の自己紹介へといこうか。」
自称ドクターの男が自分の紹介が終わると手で君の自己紹介をどうぞと言わんばかりにこちらに手を出している。
俺は一瞬怪しいこの男に名前を名乗っていいものか悩んだものの相手も自己紹介して自分がしないのも考え結局答えることにした。
「僕は結城 海です。16歳で高校生です。」
「...はぁー。..............。」
俺は出来る限りの情報だけの提示をした。
ここで無駄に情報を出すとこの男の人が俺に危害を加える時に有利になってしまう、そう思った。
そんなことを考えていると、自称ドクターの男は深いため息を着いて顔の前に手を組みそこに頭をくっつけるとなんとも言えない表情になった。
自称ドクターが黙ってしまい自分で話しを切りだすのも危険だと思い自分まで黙ってしまった。
カーテンで仕切られた空間の中、長い沈黙が流れた。
最初に話しを切り出したのは自称ドクターの方だった。
「それは本名でま...間違いないんだね?」
「は、はい....。」
「君は両親と最後にあったのは10年前かい?」
「え、.......。」
「君のお父さんの名前は結城 庵、お母さんは結城 鈴かい?」
「.......。」
彼は何とも言えない表情のままこちらを見ていくつか質問をしてきた。
なぜ父と母の名前を彼が知っているのか検討も付かない。
たとえ父と母を知ってたとしてどうゆう関係なのかが分からなければ迂闊に答えようがない。
「なるほど...君が答えないと言う事は、そうゆう事なんだろう。」
「そして君は今私が君のお父さんとどのような関係か知りたいんだろう。」
自称ドクターはこちらの考えを見透かしているかのように話を進めていく。
「私は君のお父さんである庵と昔ながらの親友だったんだよ。」
だったというところを強く協調しながら自称ドクターは悔しそうな顔で自分が今一番知りたい質問に答えた。
その言葉に俺はびっくりした。この髭眼鏡の男の人が自分のお父さんとむかし親友だったと言う事に...ならばなぜあの日お父さんとお母さんが帰ってこなくなったのか知っているのではと思った。
そこで今度はこっちから質問する事にした。
「貴方がお父さんの親友だったなら10年前に2人がいなくなった理由を知ってるんですか...。」
「あぁ....知っているよ。でも知っているが今君に話す事は出来ない。だがいつかその答えを知る事が出来る日が来るかもしれない.....。」
(パン!)
「ま、まぁこの話はこのくらいにしてお腹がすいただろう?飯を取ってこよう。」
自称ドクターは申し訳なさそうにそう答えるとパンと手を鳴らし暗い話から話題を逸らし、飯にすることにした。
結局いなくなった理由は分からずじまいだった。
でも分かるかも知れない.........。
「いつ...か、かぁー.....。」
それは自称ドクターがカーテンの向こうに行ったあとボソっとつぶやいた。
呼んでくださりありがとうございます。
プロローグに引き続き主人公は知らない世界で生きています。
今回出てきた自称ドクターはこの後も主人公を支えてくれるでしょう。
まだまだ物語は始まったばかり。
これからの彼にご期待ください。
謝罪
これからはしっかりと3日に一回を厳守していきたく(思って)おります。