プロローグ
------熱い熱い熱い熱い熱い!
お腹から焼けるような熱さが伝わってくる。
確認のために手をお腹に触れてみた。
そこには数年間も剣道で鍛えたシックスパック...とまではいかないがある程度は筋肉の付いた肌があるはずだが触れた...感触は、ドロッとした生温かいものだった。
「は、ははぁ...ゔ!」
口から感情のない笑い声と大量の血の塊が滝のように勢いよく流れ出てくる。
何故か?
俺は真実を知っていながらも考えるのを止めたくなかった。
なぜなら俺は今狼の皮を被った怪物に腹を切り裂かれたからだ。
身体をなんとか動かそうとしても臓器のほとんどが引き裂かれて手を上にあげる事がやっとのことだった。
逃げられもしない。声を上げることもできない。
何度腹に触れても結果は変わらない。
自分の周りが血の池に変わってきたた。
これがすべて自分の血だと思うとその量に背筋がゾッとする。
目の前がぼやけ始めてきてついにはもの輪郭が分からなくなってきた。
死が着々と近づいていることを身に染みて感じる。
死への恐怖で全身が震えてくる。
------死にたくない、死にたくない、死にたくない!
鼓動が刻々と速く、大きくなっていく。
「大丈夫...?」
突然聞こえたその声は透き通るように綺麗で、それでもってとても安心を与えてくれるくらい力強かった。
力をふり絞って声の元を探した。
声の元の主は雪のような真っ白な髪に一本の刀を腰に刺した黒い軍服を着た少女だった。
それから間もなく俺は意識を失った。
ご覧いただきありがとうございました。
作者のロガ―です。
まだ小説を書くのに慣れていませんが、3日最低でも1週間に一回は投稿していくので楽しみにしてください。