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悪魔は王子のステータスを見る

オーランド王子と別れた俺たちは何食わぬ顔をして酒場を出て、周りに気を付けながら通りに出た。

そして宿屋に戻って店主に明日王子と共にキュベレの町に向かうことを伝えて部屋に戻った。



皆の様子がおかしい気がしたが、宿屋に戻るまでの間も特におかしいところはなく普通に和気あいあいと話をした。

俺の気のせいだったのか?

「・・・クロ助はどう感じました?皆の様子がおかしくなかったですか?」

「ミャー?」

クロ助は隠蔽魔法で肩に乗って様子を見ていたのだが、特になにも感じなかったようで首を傾げてきた。


やはり俺の気のせいだったのか・・・?

・・・まあ、普段の様子が変わらないなら、様子を見てみるか。


それより今は最上級鑑定魔法のことをやりたい。




その数時間後に宿屋の食堂に集合してそれぞれ思い思いのものを食べたのだが、その最中から秘密裏にじいさんに鑑定魔法を多重魔法を使ってかけまくった。



俺はあれから部屋にいるときに一計を案じて、保留していた取得可能スキル1つを使い、多重魔法を中級から上級に上げた。

これにより中級は最大50だった多重が上級は最大100となった。

これでじいさんに鑑定魔法をかける時間は短くてすむ。


だがここで予想外のことが起きた。

鑑定魔法をかけると目の前にステータス画面が出るのだが、その画面が唱えた数だけ目の前に出てくるのだ。

目の前が表示できない#####だらけで、正直うざい・・・!

手で払うこともできるのだが、ステータス画面は俺にしか見えないので払いまくってたら不審に思われるし。

画面は触らないでおくとしばらくしたら消えるのだが、出てくる量が量だけに全身覆われてるくらいの量が取り囲んでいる。

おかげで飯も見えないわ会話もままならなかったが、なんとか食後の世間話をしてじいさんが部屋に戻った数時間の間に1万回鑑定魔法をかけることができた。



『最上級鑑定魔法の取得可能条件を全て満たしました。これより取得可能となります。』



そう頭に声が聞こえて文字が浮かんできたので、自分のステータスを開けて取得可能スキル一覧を見ると、確かに「最上級鑑定魔法」があった。

因みに「使役魔法」もあった。さすがテスター。

なにを使役できるようになるかは完全なランダムなようだ。


俺は残っていた取得可能スキルを1つを使って、最上級鑑定魔法を取得した。



名前:ユウジン・アクライ(阿久来優人)

種族:人間(魔法使い)

年齢:24

レベル:55

HP:1970

MP:3240(×4)

攻撃力:436

防御力:530

智力:677

速力:569

精神力:299

運:201


超適性:罠魔法

戦闘スキル:上級短剣術・中級剣術・双剣術

魔法スキル:上級罠魔法・(取得)最上級鑑定魔法・アイテム収納魔法・中級火魔法・中級水魔法・中級風魔法・上級土魔法・初級雷魔法・中級光魔法・拘束魔法・隠蔽魔法・剣魔法・(取得)上級多重魔法


取得可能スキル:1



ここまで来るまでにちょこちょこ魔物を倒していたおかげでレベルは2つ上がって55になっていた。

よし、明日の朝じいさんと会ったときに早速試してみよう。


俺はまた寝る前にいつもの日課と化した操剣魔法の練習をして寝た。




そして翌朝、食堂でじいさんら皆と会ったので挨拶ついでにじいさんに鑑定魔法をかけてみた。



名前:マリルクロウ・ブラック

種族:人間(剣士・黒の一族元当主・ランク元S冒険者)

年齢:71

レベル:125

HP:4240

MP:4680

攻撃力:1085

防御力:762

智力:900

速力:781

精神力:668

運:311


適性:火魔法

戦闘スキル:上級剣術・中級大剣術・上級体術

魔法スキル:初級鑑定魔法・上級火魔法・中級水魔法・中級風魔法・上級光魔法・隠蔽魔法・上級結界魔法・中級強化魔法



お!じいさんのステータスが見れた!

ていうか、本当にレベル125だったのか!

確かにスキルはお披露目の時に言っていたものがその通りにあった・・・。

よしよし、これでオーランド王子のステータスが見ることができるな。

「うん?どうしたユウジン、なんかええことあったんか?えらい上機嫌じゃのう?」

「ええ、ちょっといいことがあったので。大したことではないですよ。」



朝食後、宿屋を出た俺たちは馬車に乗ってオーランド王子との待ち合わせのためサビザの町を出た。

町のすぐ南の森の前で待ち合わせをしているのだ。

オーランド王子はどこかの貴族のボンボンのフリをして、俺たちはその護衛ということで一緒に南のキュベレの町に行くということになっている。

森の前には貴族の馬車っぽい、少し豪勢な馬車が停まっていた。


「皆さん、おはようございます。」

馬車の扉の前で周りを見張っていたカルディルが馬車の中にいる王子に声をかけると、オーランド王子は颯爽と降りてきてにこやかに挨拶してきた。

「おはよう。急についていくと言って悪かったのう。」

「いえいえ、マリルクロウ様に来ていただけて、とても光栄です。」

挨拶もそこそこに、南に向けて出発した。

因みにオーランド王子の馬車にはオーランド王子・カルディル・ヘンリスと御者兼護衛の男女2人が乗っている。

オーランド王子以外は商人や冒険者の格好をしている。




オーランド王子の乗る馬車に後続して、俺は1人で御者席に座って馬車を走らせる。




あ、ダメだ。

ニヤニヤが止まらない。




挨拶したときにオーランド王子に鑑定魔法をかけてステータスを見れたのだが・・・。


ああ、思い出しただけでもおかしくてたまらない。


俺は不審に思われない程度にうつむいたりして落ち着くように努めた。

王子のステータスを見た瞬間に、納得した。


あの一瞬の目眩の原因も、皆が様子がおかしいと感じたことも・・・。

マスティフが「人当たりがいいように見えてそうじゃない」と言っていたことも、あながち間違いではなかった。

このステータスは、これからの内紛をますます面白い方向に持っていくかもしれない。

そう考えるとオーランド王子派になってよかったかもしれない。



悪魔教のことは一旦置いといて、これからの内紛のことを考えることにしよう。

王子をうまく利用すれば、たくさんの絶望を見れるかもしれない。

でもたくさんの絶望もいいけど、特定の奴を期待させて絶望させるのもやりたいな。



・・・そうだ、信頼された人に裏切られたら、王子はどんな絶望をするんだろう?

いいよな、元から王子は皆を裏切っている(・・・・・・)んだし。


・・・そうだ、ついでに王の絶望した顔も見たいなあ。





*********






「・・・うわっ、ユウジン絶対なんか企んでるぞ、あの顔。」

「だ、大丈夫かしら?・・・誰か追い詰めたりしちゃわないかしら?」

「・・・追い詰めるくらいですめばいい方かもしれません。」

俺たちは馬車の窓から御者席に座るユウジンを見ていた。

ユウジンはなにか考えているようで、うつむいてはものすごい狂気の笑顔をしている。

うつむいて隠していると思われるが、角度的にこちらには見えている。


「ん?おぬしらどうしたんじゃ?」

じいさんは呑気に俺に聞いてきたので、指でクイクイとユウジンを指した。

じいさんはユウジンの笑顔を見て少し驚いていた。

「・・・じいさん、俺は勘が鋭いから、わかるんだ。」


ユウジンを初めて見たときからピンときたから、俺は無理矢理友人になったのだ。


「・・・あいつは人を殺すのは嫌っているのに、人が死ぬのはなんとも思ってない狂人だ。・・・もしかしたらこれから、たくさん人が死ぬかもしれない。じいさんも、あいつには気を付けてくれ。」



誰かが近くで止めないと気が狂った悪魔になるかもしれないと、あいつの近くにいるが・・・。



あいつはもう・・・悪魔かもしれない。



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