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悪魔はシェブーストに着く

マシリの町から東に馬車で1週間ほどかかって、ヴェネリーグ王国の首都シェブーストに辿り着いた。



道中、魔物と遭遇しまくるわ盗賊の襲撃は日に何度もあるわで、その度に馬車を止めなくてはならず、その割にはそこまでレベルの高い敵が出るわけでもないしでさすがに皆げんなりしていた。

この頃には俺は御者に慣れて1人で馬を扱うこともできるようになり、馬を扱いながらに片手間で罠を魔物にはめたりといったこともできるようになった。



首都シェブーストは街の中央に赤い王城がものすごく高くそびえ立っているのが遠くからでも見えて、塀もトリズデンの首都とは比べ物にならないくらい頑丈そうで分厚いし高さもあった。

近づくにつれて商人や首都を訪れる人が大行列を作っていて、俺たちもそれに馬車を並べたのだがなかなか進まなかった。

近くの商人が教えてくれたのだが、どうやら出入りがものすごい厳戒体制がとられているそうで身分証の提示はもちろん、出入りの目的など色々と質問されるそうで、1人通るのに10分以上はかけているらしい。

そこで少しでも怪しまれたら尋問を受けて最悪そのまま捕まったり首都に入れなかったりすることもあるそうだ。

並んでる間も引っ切り無しに兵士が巡回していて、不審者がいないか見張っているようだった。


だがまあ、俺たちは比較的早く通れるだろう。

俺たちの中には有名人がいらっしゃるからな。



「「マ、マリルクロウ・ブラック!?」」


出入り口にいる警備兵が驚く姿をもう何回見たことか。

ということで、じいさんという有名人がいるおかげで他の人たちよりはあっさり首都に入ることが出来た俺たち。


首都シェブーストはマシリの町の3倍は大きな規模で、首都のすぐ裏手は山々に囲まれていて、その山々は北にずーっと広がっておりトリズデンの南側にまで続いている。

街の感じもそこまで暗い感じではないし街の人も普通に行き交い商店も賑わっているようだが、街の中も引っ切り無しに兵士が巡回していて、物々しい雰囲気を感じてしまう。


「とりあえず、宿屋を探すかのう。オスロが手配してくれた宿屋が近くにあるそうじゃからのう。」

マシリの町を出る前にオスロに挨拶に行くと、オスロは王城で渡す紹介状と一緒に宿屋の手配もしてくれたようでその宿屋への地図もくれた。

宿代はオスロが払ってくれるようになっているようなので、せっかくのご厚意に甘えることにした。


地図を頼りに進むと豪華な建物が多く立ち並ぶエリアに来てしまい、見つけた宿屋はゴテゴテの装飾だらけの宿屋だった。

「うわあ・・・、モロ金持ちしか泊まらねえ高級宿屋だな。」

マスティフは外壁の装飾にドン引きしながらそう呟いて、アシュアもレフィも頷いていた。

俺も同意するわ。


宿屋の中も信じられないくらいゴテゴテで、ホールの真ん中になぜか噴水があってイカの魔物クラーケンが10本の足から水を噴き上げている像が飾られていた。

「いらっしゃいませ~。」

アパレルショップ店員のような甲高い声で受付カウンターにいた女性はそう声をかけてきた。

なんだこの宿屋。コンセプトどうなってんだよ。


俺たちは終始ドン引きしていたが、じいさんは気にしてないようでさっさと受付の女性にオスロの紹介だと言うと、女性は慌てて誰かを呼んで数分後に宿屋の店主がすっ飛んできた。

思いっきり金持ちのイメージを体現したような小太りチョビヒゲのタレ目おじさんの店主はペコペコしながらじいさんのご機嫌を伺いまくりながら部屋に案内してくれて、マシリの町の宿屋と同じ部屋割りとなっていた。

うわあ・・・、天外付きベッドとか落ち着かねえ・・・。

でもベッドはとんでもなくふっかふかで、クロ助はフミフミして感触を楽しんでいるようだった。


宿屋の夕食の時間までまだ1時間以上あったので一旦自由時間として、夕食の時間に食堂に集まることになっている。

俺は「神様監修:世界の歩き方」のシェブーストの町についてのページを軽く読んで、街に出てみることにした。




シェブーストは上から見ると横長の長方形の形をしていて、中央に王城があって城の周りを頑丈そうな塀と堀が囲んでいて、王城を中心に東西南北に大通りがある。

北に行くほど貴族の豪邸やらがあり、南に行くほど庶民の家やスラムだったりがあるようだ。

それに合わせるように店も北に行くほど高級店があって、南に行くほど激安店があり、東の方に食品関係の店や宿屋、宝飾品関係の店が多く西の方に武器防具屋や日用雑貨関係の店が多いようだ。

因みに冒険者ギルドは東の大通りに面したところにあるとのことだ。


一応厳戒体制がしかれているみたいだがもしものことがあるので、クロ助はいつもの肩に乗ってはいるが隠蔽魔法をかけておいた。

本当はシャドウダイブで影の中に入っててもらった方が安全だしと言ったのだが、街を眺めたいようで肩に乗るとミャーミャー鳴かれた。



とりあえず西の武器防具屋を見に行ってみたが、種類も数も結構な量があってトリズデンの武器防具屋と比べてお客も多いように見える。

それだけ物騒で売れているということか。

買いたい物がなかったので武器防具屋から高級な宝飾品店に行ってみた。


この店にはマジックアイテムが売っていて、実用的な効果のあるものを中心に見てみたのだが・・・お、面白いのがあるなあ。

様々な効果のある指輪やネックレスなど色々あるなか、面白いと思うものがいくつもあって値段もそこまで高くなかったので買ってみたりした。

そのうちのひとつを買ってすぐに右手の人差し指にはめた。


この指輪は金色のシンプルなもので『倍加の指輪』というものだ。

身に付けているものの効果を倍にする指輪だそうで、これを指にはめたら『回復の指輪』(HP・MPの回復速度上昇と疲労軽減・疲労回復の速度上昇、状態異常の軽減)が倍になるからいいなと思ったのだ。

ついでにステータスを見てみたら・・・お!MPのところの(×2)が(×4)になってる。

ということは防具セットの魔法の威力が上がる効果も倍になってるということか。

また魔法を撃つときに調整しないとえらいことになるかもしれない。

因みに値段は10万インだった。

100万イン200万インがゴロゴロあるなか、それらに比べたら安い方だ。




そろそろ時間かなと帰っていると、宿屋近くでアシュアとレフィが男たちに絡まれていた。

え、助けた方がいいのか?とか思っていたらものすごい打撃音が聞こえて、レフィがゴミを見るような目でボコボコにしていた。

アシュアは男たちの存在に気付いてないかのようにソフトクリームを食べながら倒れた男たちを踏んで宿屋の方に向かって行っていた。


男たちは顔を腫らしてピクピクしていた。

絡まれただけでここまでボコボコするとは恐ろしい・・・。



まあ、問題は絡んだ男たちが兵士ということか。



兵士が絡むってことは、やはり兵士が正義とは限らないということか。



俺は倒れている男たちを拘束魔法でまとめてあげて「俺たちは女性に絡んで返り討ちにあったアホです」と紙に書いて張っといた。




「ちょっとユウジン聞いて~!すぐそこでブッサイクな男たちに絡まれたのよ!危ないわよねえ!」

「ええ・・・、危ないですね。色んな意味で。」

「?」



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