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悪魔は話し合う


それから俺たちは情報交換しながら昼食をすませた。



ヴェネリーグ王国は大昔から領土もそこまで変わらず、ほとんど戦争に関わることもなく数百年続いているそうだ。

気候も安定しているため農作物も海産物も豊富で北西の国イルヴァルナスと貿易も盛んで他国とのいざこざもない平和な国だったようだ。

その平和な国に突如として領土拡大を掲げたのが国王だった。



国王はグラエム・ファース・ヴェネリーグという50代の厳ついおっさんだそうだ。

元々短気で好戦的な性格なため、20年前の王様になったときから内政よりも領土拡大に力をいれるようになり、数年に1度は他国侵略を提案してその度に大臣たちに止められていたそうだ。

それでも領土拡大は諦めきれなかったようで、今年はついに軍の予算まで大幅に増加させ兵士も多数国内から採用して増加させたらしい。

それにまた反対した大臣たちは半年前に事故が原因で次々と死亡してしまい、新しい大臣たちは王様の息のかかった者たちがなったため、いよいよ領土拡大に乗り出すと噂されたそうだ。

それを大々的に反対し、結果的には反旗を翻すこととなったのが第三王子のようだ。


グラエム王には3人の息子がいて、長男で王位継承権1位で次期国王が確実視されている第一王子ユースギル・ウェズン・ヴェネリーグは父親に似て好戦的な性格で結構横暴な態度と噂されている。

次男で王位継承権2位の第二王子ヒースティ・エレウス・ヴェネリーグは王政に興味がなく、平和主義で首都から離れたところに暮らしているという。

そして三男で王位継承権3位の第三王子オーランド・ガレス・ヴェネリーグは熱い性格で正義感があり、人望があって頼りになるとされていて、今回の内紛の首謀者となっている。



「・・・とまあ、私たちが聞いてきた基本的なところはこんなとこかしら。因みにユースギル王子とヒースティ王子が第一妃ダリア王妃の子供で、オーランド王子だけが第二妃ジュリアン王妃の子供なんだって。ジュリアン王妃は5年前に病気で亡くなってるそうよ。国民としてはやっぱり人望があるオーランド王子派が多いかなって感じ。」

「だったらオーランド王子が有利ってことか?」

「でも兵士や城の関係者は王様に忠誠を誓ってる者も多いから、そっちはグラエム王派が多いって感じ。貴族もグラエム王派がほとんどらしいわ。」

侵略を進めて短気な王様と正義と人望がある王子の戦いね。

分かりやすい対立構造だな。

これもテンプレ展開だろうか?


「王族はそれで全部なんですか?」

王の家族構成はわかったが、王の親や親族はどういう位置にいるんだろうかと俺はアシュアに聞いてみた。

「それが全部みたいなの。グラエム王が王子の時は結構いたみたいだけど、前王と前王妃が病死してから後継ぎの覇権争いで次々と事故とかで死んじゃったみたいよ。不自然なくらいにね。」

確かにそれは明らかにおかしい。

絶対にグラエム王がなにかやったに違いないと思われても不思議ではないのに、今も普通に王様やってるのがなんか恐ろしいな。


「そうですか・・・。では、王族だけに使えるという使役魔法というのについては?」

「おお、それについてはわしが調べたぞ。」

少し考え事をしていたじいさんが口を開いた。

「わしが話を聞いた情報屋に魔法に詳しい者がおって、その者の情報じゃと、使役魔法というのはなんでもかんでも使役できる魔法ではないそうじゃ。なにかの種類を1つだけらしい。例えば花とか風とか。」

「確か・・・トリズデンの首都のギルマスは王は魔物を使役できるという噂を教えてくれたのですが。ということは、グラエム王の使役魔法は魔物にだけ効くということでしょうか?」

「その通りじゃ。グラエム王は魔物を使役できるそうじゃ。そしてユースギル王子は虫、ヒースティ王子は鳥を使役できて、オーランド王子だけが使役魔法を持っとらんかったそうじゃ。これは公式に発表されたそうで間違いないと言うとった。」


「つうか、覇権争いの事故に半年前の大臣たちの事故とかおかしいだろ。それについては冒険者たちも色々噂してたぜ。絶対にグラエム王の仕業だってな。」

「絶対にグラエム王がなにかやったんでしょうね。」

「・・・覇権争いの事故はわかりませんが、大臣の事故はグラエム王の仕業ですよ。当時の大臣から話を聞きました。」

「「は!?」」

俺の言葉に全員驚いて俺を見てきた。

「当時の大臣って全員死んだんじゃなかったんかよ!?」

「ちょっと偶然スラム街に行って、気になる浮浪者がいたから話を聞いたら、自分は大臣だったと話してくれたんです。その時一応鑑定魔法もかけたので間違いありません。」

「そうなんだ・・・。で、なんて言ってたんだ?」

「グラエム王は軍事力の強化に乗り出していたそうで、反対していた大臣たちはその実験台(・・・)にされたと言ってました。みんな死んだそうですが、その人だけ生き残ってしまったそうです。その人は侯爵だったそうですが、家からは死んだとして簡単な治療だけ受けて放り出されたと言ってました。そしてその人の腹は大きく傷があって、不自然なくらいにへこんでました。・・・まるでなにか(・・・)に食い破られたように。」

俺の言葉にアシュアはさっと青い顔をした。

「もしかして・・・魔物に!?」

「その可能性はありますね。グラエム王は魔物を使役できますから。」

「それに実験台というくらいじゃ、なにかの実験をしている可能性は十分にあるのう。思ったよりも危険な人物なようじゃな・・・。」

じいさんは苦い顔をしていた。


「・・・それで、これからどうするんです?じいさんの目的は悪魔教の手がかりを探してきたのでしょう?グラエム王が怪しいということでここまでとりあえずは来ましたが、内紛のこともありますから、こんなゴタゴタの時に城に行っても会えないかもしれません。どう動くんです?」

「うん?そうじゃのう・・・。」

じいさんは腕を組んでしばらく考え、ニコリと笑顔になった。


「しばらくはここに滞在して、依頼をこなしたりここら周辺の魔物を狩ったりするかの。」

「え?どうしてだよ、じいさん?」

「わしらはそもそも内紛とは関係なく偶然来たことを見せんといかん。そのためにも町の周辺で魔物の討伐とかをやっておればよい。ちょうどわしがおぬしらを鍛えるために来たことになっとるし、口実通りに鍛えようかの!」



は!?


俺も含めマスティフもアシュアもレフィも驚いた顔をしてじいさんを見た。



「明日からしばらくわしの特訓に付き合ってもらうぞ!」




さっきまで最高の気分だったのに、最悪だ!




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