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6、悪魔はニタリと笑う

ちょっと短いです。

町へ戻った俺は冒険者ギルドへ向かった。



昨日と変わらずたくさんの冒険者が酒場で酒を飲んでいて、入ってきた俺をチラっと見るが、興味をなくして酒を飲み進めていた。




え?昨日あんなことやらかしたのに、冒険者たちの反応が昨日と変わらないって?

しかも昨日の今日で、冒険者ギルドに行くって、気にならないのかって?


俺としては気にはなってはいたが、それは隠蔽魔法を習得したことで一気に解決した。



そう。今、俺は隠蔽魔法で顔を隠蔽しているから、俺が誰かは認識できないようになっているのだ。

これも考えて、隠蔽魔法をとることにしたのだ。


俺はさっさとカウンターへ移動した。

カウンターには今日は男性職員と思われる若い男性が座っていた。

「すいません。ギルドって、剥ぎ取りとかやってますか?」

「いらっしゃいませ。剥ぎ取りやってますよ。建物の裏手に剥ぎ取り小屋があって、そこに持っていっていただけると待機している職員が有料で剥ぎ取りを行います。」

「そうですか。有料とは、いくらくらいになりますか?」

「魔物の種類と大きさと量によりますが、だいたい1体あたり50インです。」

「なるほど。剥ぎ取り後は買い取りとかやってますか?」

「はいやってますよ。ただし金額はその場で剥ぎ取りを担当した職員と交渉となります。」

「わかりました。小屋に行ってみます。」


そう会話を終え、裏手の剥ぎ取り小屋に行こうと再び酒場を横切ると、ものすごい勢いで酒を飲んでるグループが目についた。

あ、俺に絡んできたグループだ。

よく見たら火だるまになったあいつがものすごい勢いで酒を飲んでいた。

なんか大袈裟なくらい包帯だらけだなあ。


「くそっ!!あいつ見つけたらぶっ殺してやる!」

「まあ、落ち着けよ。火傷治ってねえんだから。」

「俺らもさっきまで町中探し回ってたんだけど、いないし。」


俺のこと探してるのか?

あいつのキレ具合から、仕返しとか考えてそうだな。

やっぱり昨日のあれは俺の仕業だとバレてるか。

俺は隠蔽魔法で気付かれてないのを利用して、近くの空いている席に座って聞き耳をたてた。


「それがあいつ見ない顔だったから、観光客かと思って宿屋を1軒1軒しらみ潰しに探したら、やっと見つけてさ。"金鶏の夜明け亭"に泊まってるってよ。」

「え!?あそこ結構高いけどめちゃくちゃいい宿屋って評判のところじゃねえか!え、あいつもしかして金持ちなのか?」

おっ、俺の泊まっている宿屋の名前だ。

ていうか、結構高いけどめちゃくちゃいい宿屋だったのか・・・。

確かに清潔感はあったが、値段は妥当だと思っていたのに・・・。


「明日にでも出てきたところをつけて、1人になったところでやっちまおう。」

「そうだな。」

「うう!早くやりてえ!」

「おいおい、声がでけえって。」


俺はその会話を聞いてつい、ニタリと笑ってしまった。

ふうん、俺を明日やっちゃうんだ。へー。

いいこと聞いた。

新しい魔法も習得したことだし、それを試してみるのにいいカモ(・・)だな。


そうと決まれば、また町の外へ小細工しに・・・行く前に。

剥ぎ取り小屋に行かないと!

危ない危ない、忘れるところだった。



ギルドを出て、裏手に行くと、ギルドの建物に隠れるように木造の小屋があった。

ドアを開けるとムアッと、臓物の匂いというか血の匂いというか、それらが混ざった匂いが強烈にきた。

思わず眉をしかめてしまったら、それを中にいた職員に見られてしまった。


「ああ、ごめんなさいね。今大物の解体が終わったところだったから、急いで換気するわね。」

ものすごい返り血を浴びた女性職員はにこやかにそう言って、風魔法で換気してくれた。

「すいません。ありがとうございます。」

小屋の中は皮や肉が吊るされていたりするが、血が飛び散ってる訳でもなく、むしろ結構キレイに保たれている感じだ。

解体をしていた作業台を見ると、見事に肉と皮と角と骨と臓物に分けられた牛のような大きな魔物があったので、ムアッときたのは本当にこれの解体した直後に来てしまっただけだろう。

女性職員は血のついたエプロンを血が散らないよう丁寧にくるんで篭に入れ、顔についた血をタオルで簡単にとると、こちらにやって来た。

赤の長い髪をポニーテールにした、同い年くらいの明るい雰囲気の女性だ。


「見ない顔だけど、剥ぎ取り小屋にくるのは初めてかい?」

「あ、はい。剥ぎ取りをお願いしたいのですが。」

「なんの魔物だい?」

「ホーンラビット4羽とキャタピラー3匹です。」

「それならすぐにすむよ。モノは?」

「アイテム収納魔法の中に入ってます。」

「へえ!?あんた、珍しい魔法持ってるんだねえ。まあいいや、とりあえず全部こっちの作業台に出して。」

そう言って女性職員は空いている作業台を指差した。

「はい。わかりました。」

俺はアイテムから魔物の死体を全部出した。


「ふんふん、なるほど。全部血抜きはすませてくれてるんだね。だったら全部で30分くらいで終わるよ。買い取りはどうする?」

「それもお願いしたいのですが。」

「了解。じゃあ、魔物全部で7匹解体で350インもらうよ。それから買い取りは、ホーンラビットは人気の肉だから1羽200インで4羽で800イン、キャタピラーの肉は人気ないから1匹50インで3匹で150インの合計950イン、解体料の350イン引いて600インでどうだい?」

「それでお願いします。」

「よし、じゃあほい、600イン。」

女性職員はすぐさまお金をとってきて、600イン渡してくれた。

これでおまかせしていいってことか。

料金はちょっと安いけど、面倒が省けるからいいかもしれないな。


「ありがとうございます。俺はユウジンと言います。また利用させてもらうかもしれませんので、よろしくお願いします。」

「また利用してちょうだい。私はこの剥ぎ取り小屋担当のイルミよ。こちらこそよろしく。」

俺は一礼してそう言うと、イルミはにっこり笑ってそう返事してくれた。




俺は剥ぎ取り小屋を後にすると、辺りは夜になっていたが、門番に忘れ物をしたと言って町の外に出た。

門番は「夜は魔物が活発になるから早く戻ってこいよ。」と言ってくれた。


因みにラノベでは、夜は町の出入り口は魔物対策で閉めたりしていたが、この世界は閉めたりしないようだ。


俺はまたまた森にやって来ると、昨日魔法を使う練習場所にした少し開けた場所に来ると、ある小細工をした。



約1時間後



・・・よしよし、これで後はあいつらをうまくここに誘導したらいいだけだ。

さーて、帰って宿屋の夕食食べようっと。

今晩はなにかな~?





宿屋に帰ると、ララは手伝いの時間が過ぎたということでいなかったが、主人のティーラさんが対応してくれた。


夕食のオススメはなんと牛肉っぽい魔物の肉がゴロゴロ入ったカレーライスだった。

いくら神様がテスターの要望で食文化を取り入れたといっても、スパイスとかどうなってるんだ?

因みに様々なトッピングカレーを数十年前に広めた人がいたそうで、その時にこの世界で一時カレーブームが巻き起こったらしい。

そしてそれきっかけでカレーが国民食並に定番化して、こうして宿屋でも普通に出される人気食になったそうだ。



うん、絶対そのテスター、某カレーチェーン店マニアだな。


そしてグッジョブだわ、ありがとう!




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