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64、悪魔はヴェネリーグ王国に向かう

あのあと俺は、二つ返事でじいさんの誘いに乗った。



じいさんはなんともあっさり了承したことに首を傾げていて、マスティフは驚いて固まっていた。

どうやら2人とも・・・特にマスティフが、俺がごねるか乗ってこないと思っていたようだ。


「俺としてもギルマスに相談するくらいは気になってはいましたし。」

と、2人には言っといたがしばらく絶望する顔を拝めてないから、そろそろ行きたいなとは思っていたのだ。

ヴェネリーグ王国の街の人たちはどんな状況なんだろう?

どんな怯えや恐怖で震えているんだろうか?

ちょっと楽しみだな。



それから宿屋の食堂で朝食を食べながら話しているのだが、じいさんはさすが"黒の一族"というか、すぐにマスティフから詳しいことを聞いてこの国の王様に即行で会って掛け合って、「誘拐未遂事件の調査依頼」をするということにして、その一貫として南のヴェネリーグ王国に行く許可を取り付けたそうだ。

そしてヴェネリーグ王国には距離があるため馬車で移動することにして、ギルマスから馬車を借りたらしい。


「要りようなものは買って来るとよいぞ。お金も出すぞ。」

あ、移動に関しては重大なことをじいさんに言わないと。


「じいさん、お金は俺も蓄えがありますから大丈夫です。そして荷物は俺が持ちます。アイテム収納魔法持ちなんで。」

そう言ってアイテムからポーションを出して見せたら、やっぱりものすごく驚かれた。


「なんと!?ものすごい魔法を持っとるのう!」

「ユウジン、そんな魔法持ってたのかよ!?よ、要領は?」

「えーと、50m×50m×50mくらいです。」

「「はあ!?」」

2人は同時にすっとんきょうな声をあげた。

あ、そういえば前にフラヴィーナの領主がマジックバッグ10m×10m×10mでものすごく自慢してたから、俺の要領はずば抜けてるんだと思った覚えがあったな。

しまった、適当なこと言っとけばよかった。



・・・ていうか、なんで何気にマスティフ、話に加わってるんだ?


あまりの衝撃に固まってる2人におーいと声をかけた。

「・・・とにかくじいさん、食料とか必要になりそうなものはこれから買いに行ってきます。出発はいつです?」

「あ、明日の朝8時を予定しておる。わしはこれから王様に行くことを報告しに城に行かねばならん。明日、西側の出入り口の出たところで待ち合わせでええかの?」

「はい。大丈夫です。」


ここで話は終わったが何やらマスティフが難しい顔をして、うんうん唸りだした。

「どうしたんです?マスティフ。」



「・・・・・・や、やっぱり俺も行く!」

「は!?」

「むう?あんなに嫌がっておったのに、どうしてじゃ?」

「ユウジンが行くなら絶対なんか起こるだろうなって思ってさ。それに、お前性格悪いからなんか心配で。」

なんで性格が悪いからと心配されないといけないんだ?

「これマスティフ!人様に向かって性格が悪いは失礼じゃぞ。それにユウジンは真面目でいい若者ではないか。性格は悪くないぞ。」

「じいさんこいつの本性知らないからそんなこと言えるんだよ。とにかく俺も行くことにするわ。」

「でもマスティフ、"黒の流星"はどうするんです?ヒスランもカルドも連れていくんですか?」





「実はな・・・"黒の流星"解散したんだよ。」




「はああああ!?」

俺はめちゃくちゃ驚いて思わず叫んでしまった。


「い、いつです!?いつ解散したんです!?」

「先週の頭に。」

「なんで解散したんです!?とても仲の良いパーティーだったと思っていたんですが。」

「実はヒスランとカルドがだいぶ前から付き合っててさ。カルドが実家の農業を継ぐことになったみたいで、それを機に結婚することになったらしいんだよ。んで、2人で実家に住むことになったからって、相談してきてさ。だったら解散しようとなったんだよ。因みに2人は数日前に首都を出てったぞ。」

そういえば先週2人がマスティフに真面目な話があるって言ってきて、どっかに行ったことがあったな!

それから妙に2人を見ないと思ったが、そういうことか!


「ていうかユウジン、マジで気付いてなかったのかよ・・・。」

「先週2人が真面目な話があるって言ってきた時には気になりましたけど、パーティー内のことをあれこれ詮索するのは失礼かと思って聞かずにいたら、特訓の依頼を受けたので忘れてました。」

でもせめて見送りとかやってもよかったんだがなあ。

「マスティフこそ、なんで言ってきてくれなかったんです?」

「いやあ、ユウジンをビックリさせてやろうと思って今まで黙ってたんだよ。」

このアホも性格悪くないか?



「でさ!ユウジン・・・俺とパーティー組まねえ!?」

「嫌です。」


俺は秒で断った。




それからじいさんは城に行ってしまい、俺とマスティフが買い出しに行くことになってしまった。

とりあえずヴェネリーグ王国内の状況がわからないので、王国内に行っても食料を買わなくても大丈夫なくらいはあった方がいいかと飲食店に掛け合ったりして結構な量の食料を買った。

それを人目を避ける形でアイテムにバンバン入れていって、調味料や生活用品などもあった方がいいかなと思うものはとりあえず買って入れていってた。


途中でモメントの錬金術屋に寄ってヴェネリーグ王国に行くことになったと話してポーション・MPポーションなど必要そうな薬を買って、ホムンクルスをちょっと見て店を出た。

次来るときは多分ホムンクルスが意識をもった後だろうな。


それから俺の用事で武器屋に寄ったりして、夕方一旦解散した。




そして翌朝8時ちょっと前。





西側の出入り口から出ると、馬車が1台停まっていた。

馬車のそばにはじいさんとマスティフと・・・あれ!?




「アシュアとレフィ!?」



「あ!おはよう、ユウジン。久しぶり!」

「・・・おはようございます、お久しぶりです。」

相変わらず元気いっぱいのアシュアに無表情で一礼してくるレフィ。


「お、おはようございます。なんでいるんです?」

よく見たら2人とも宿屋でよく会った時と同じ冒険者の格好で荷物をそれぞれ抱えている。


・・・ものすごく嫌な予感がする。



「昨日マリルクロウ様と国王の話を聞いちゃったの。ヴェネリーグ王国に孫と孫の友人と行くって。孫はマスティフのことだから、孫の友人って言ったらユウジンだと思ったら行きたくなっちゃって!無断で来ちゃった!」

アシュアはテヘッとおどけて見せたので、俺はものすごく呆れた表情をした。

「レフィ、なぜ止めないのですか?あなたそれでも護衛ですか?」

「止めて止まるようでしたら止めてます。」

レフィはものすごく遠い目をしてそう言った。

今までなにがあったか聞かないでおこう。



それから一応説得してみたものの、アシュアは断固としてついていくと言い張ったので、連れていくこととなった。

じいさんが同行をすでに了承していたのもあったので、なんかあったらアシュアはじいさんに押し付けよう。


「よし、それでは出発するぞ。」

じいさんは御者席に座るとそう声をかけてきた。

どうやら御者は出来る者が交代でやるようだ。

ちょうどいい、御者を教わってみようかな。

「「「「はい!」」」」




こうしてヴェネリーグ王国に向かって馬車は走り出した。




因みに出発前に俺がアイテム収納魔法持ちと明かして、アシュアとレフィの荷物をアイテムに入れると2人はものすごく驚いていた。





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