62、悪魔はレベルアップさせる
朝。
バチッ
今日は久しぶりに仕掛けていた雷魔法で目が覚めた。
「う、う~ん・・・。おはようございます、クロ助。」
「・・・ミャー。」
俺の首元にすっぽりはまって寝ていたクロ助がふあっと欠伸をしておはようと鳴いた。
あれ?
今日はマスティフが来なかったな。
まあ、いいか。
どうせあのじいさんに朝から連れ回されてそうだ。
あのアホのことは忘れよう。
久々にゆっくりと寝れたから気分がいいな。
神様に会って色々と話せたし。
・・・あ!
「クロ助、神様のところに行ったの覚えてますか?」
「ミャー!」
もちろん!という感じで鳴いた。
「やっぱり寂しい思いをさせていたんですね。すいません。」
そう言って頭から背中までを何度も撫でるとゴロゴロと喉を鳴らして気持ち良さそうにした。
「あなたのレベルを上げたら解決するそうですし、今日はあなたのレベル上げの日にしましょうか。」
「ミャー!」
クロ助は賛成!という感じで元気よく鳴いてスリスリしてきた。
例によって食堂でローズさんの熱烈歓迎を受けて、BLTサンドとヨーグルトの朝食セットを食べると冒険者ギルドに向かった。
向かっている道中。
「うわあああぁっ!」
ものすごい涙目でものすごい勢いで街中を走ってくるマスティフが先方から見えた。
なにかから逃げているようで、後ろを度々振り返りながら走っている。
なんだ?と思っていたら、マスティフと目があった。
「ユ、ユウジン!?ちょうどよかった!助けてくれえっ!!」
「は?」
そう言ってマスティフは俺の後ろに隠れたが、マスティフはマッチョなので全然隠れてない。
でも俺の後ろで青い顔をしてガタガタ震えるマスティフにその事は指摘しないで置いた。
「くおらああぁっ!マスティフー!どこじゃああっ!!」
と、マスティフの逃げてきた方向からそんな怒号が飛んできた。
・・・うん、なんかめんどくさいのに巻き込まれた予感。
そして賑わう人をかき分けて、怒号の主が俺にも見えるところまで来た。
「おお!ユウジンではないか!おはよう!」
「・・・おはようございます、じいさん。」
やはり怒号の主はじいさんだったか。
じいさんは俺の背中から思いっきりはみ出ているマスティフをチラチラ見ながらこちらににこやかに話してきた。
「夕べ孫に無事会えてのう。久々に孫に会ったからどれだけ成長しているかと朝、叩き起こして模擬戦をやってみたら・・・そこまで成長を感じれんかったから、特訓してやろうとしごいていたら逃げ出しおっての。」
朝叩き起こして模擬戦するのはあんたの遺伝か!
「それはいけませんね。逃げ出すなんて精神がなまっている証拠です。徹底的にしごくのがよろしいかと。」
俺は日頃の安眠妨害の復讐にそうじいさんにアドバイスした。
マスティフは俺の後ろでものすごく慌て出した。
「ちょっ、ちょっと!ユウジン!なんでよりキツくしてんだよ!?助けてくれよ~!友達だろ!?」
「朝叩き起こして模擬戦をする人は友達ではありません。じいさん、追加で首都の周囲20周とかどうでしょう?」
「ほう!体力作りにええのう!」
「じいさんも話に乗んないでくれよ!?」
「はい、うるさいです。」
俺は無詠唱で拘束魔法を使ってマスティフの口と体をロープでぐるぐる巻きにするとロープの端をじいさんに渡した。
マスティフは一瞬驚いていたが、すぐにモガモガ言い出してロープをほどこうと体をくねらせ、じいさんは急に孫がロープでぐるぐる巻きになったのに驚いていた。
「拘束魔法で縛っときました。じいさんが許可したら外れるようにしときましたのでどうぞこのまま連れてって下さい。」
「ほうほう!さすがユウジン!気が利くのう。ほれ、行くぞマスティフ!」
「んんー!」
そうしてじいさんはマスコミを引きずってどこかに去っていった。
マスティフに合掌。
すぐに忘れることにして、冒険者ギルドに改めて向かった。
ギルドに着いたらすぐに箱の依頼を見て、あらかじめ目をつけていた依頼書を手にとって受付に向かった。
目をつけていた依頼は「南東の鉱山近くにある鳥の巣3つ採取」というものだ。
南東の鉱山というのはグリフォンのいたあの鉱山のことだ。
そこの近くには鷲に似た固有の鳥がいるらしく、その鳥の巣が錬金術で使うそうだ。
依頼人は錬金術師だが、モメントではない別の錬金術師だ。
この依頼なら今日中に帰ってこられるし、道中に結構魔物が出た覚えがある。
なのでクロ助のレベル上げのことを聞いてこの依頼を思い出し、今日はこれを受けようと思ったのだ。
受付で受理してもらった俺はさっそく首都を出て南東に向かった。
首都を出てすぐに南の原っぱでマスティフっぽい悲鳴が響いていたような気がしたが、気にしない聞こえない。
道中、さっそくゴブリンが木の棒を振り回して道に飛び出してきた。
「ギイイィッ!」
「お、ちょうどいいですね。」
鑑定魔法をかけたらレベル21だった。
俺は無詠唱で拘束魔法をかけてウインドカッター×5で切りつけまくった。
「ギイ・・・ギイィ・・・」
ゴブリンは悔しげな声をあげてバタリと倒れた。
今だ!
「クロ助!攻撃をしてください!」
「ミャー!」
クロ助を急いで下ろすとクロ助は素早くゴブリンに近づいて爪で引っ掻いた。
ゴブリンの肌にちょっとだけ傷がついた。
これは攻撃に見なされるのか?
ゴブリンはそれからすぐに動かなくなった。
「どうでしょう?ステータス見てみますね。」
俺はクロ助に鑑定魔法をかけた。
名前:クロ助
種族:猫(子猫)
属性:闇
レベル:8
HP:120
MP:9
攻撃力:15
防御力:10
智力:9
速力:20
精神力:10
運:5
適性:闇
戦闘スキル:なし
魔法スキル:なし
うお!レベル8になってる!
「レベルが8になってるじゃないですか!よかったですね、クロ助。」
「ミャー!」
クロ助は嬉しそうに鳴いた。
でも全体的に能力がものすごく低い。
これは結構レベルを上げた方がいいかもしれないな。
能力が上がっただけでスキルも覚えてないし。
俺はゴブリンを土魔法で埋めると、クロ助を肩に乗せて再び歩きだした。
ふむ、激しい戦いについてこれるようになるというのは多分、スキルのことだと思ったがどうやらクロ助はレベルが5の倍数になっても取得可能スキルが出ないようだ。
人間はレベルが5の倍数で選べるが、もしかしたら人間以外は選べないんだろうか?
それからちょくちょく魔物が襲ってきて、俺が瀕死まで魔法で攻撃して死ぬ直前にクロ助に攻撃させた。
そしてどんどんクロ助のステータスは上がっていき、レベルが20になったとき、ステータスのスキル欄に変化が現れた。
名前:クロ助
種族:猫(子猫)
属性:闇
レベル:20
HP:350
MP:30
攻撃力:41
防御力:36
智力:31
速力:63
精神力:29
運:18
適性:闇
戦闘スキル:なし
魔法スキル:初級影魔法
影魔法というのを覚えたようだ。
「クロ助、影魔法というのを覚えたみたいですが、どんな魔法か理解できますか?」
「ミャー!」
わかるよ!という感じで鳴いたので、どうやら人間と同じで頭にその魔法についてのことが流れてくるようだ。
「どんな魔法が出来るのか、見せてくれますか?」
「ミャー!」
いいよ!という感じで鳴いたので地面に下ろしてやると、とてとて俺の後方に移動して、俺の影に向かって跳んだ。
そしてドボンと音を立てて影は波打って、クロ助は影の中に消えてしまった。
・・・はあ!?
クロ助とイチャイチャしている話になってしまった・・・。




