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58、悪魔は特訓に付き合う3

6日目は更にちょっと増えて25人になっていた。("夜の疾風"も含む)



これは前日にマスティフが手合わせしたのが噂で流れたそうで、その噂を聞き付けマスティフと戦ってみたいと思いやってきた7人がいたからだ。

ということで今日もマスティフは強制手合わせ参加となり、マスティフはブーブー言いながらも手合わせする気満々で大剣を振り回していた。



前日同様に「手合わせしたい人に集まれ」方式では明らかにマスティフにほとんど流れるが、流石に12人以上は疲れるとわかったので、俺は戦ってみたい7人の中にランクC冒険者がいることに目をつけ、彼らに話を持ちかけた。

まずはマスティフと7人が順番に戦って、終わったランクC冒険者の中で手合わせしていいという数人にマスティフの代わりに何人か手合わせしてもらえないかと事情を説明し、その結果ランクC冒険者の3人が協力してくれると言ってくれた。

ランクC冒険者3人には2人ずつお願いして、残り12人の中から3人をマスティフに振り分けて残り9人を俺が受け持つことにした。


そうは言っても俺は元々シャルルとワルツのためにやり始めたことなので、他の冒険者に事情を説明して了承をとった上で、シャルルとワルツには特に重点的にアドバイスしたり手合わせしたりした。


2人は毎日くたくたになりながらもアドバイスをきちんと学んでいて、シャルルは昼間も自主連をしているとのことで、攻撃が止まることもなくなり連撃が素早くできるようになっていたし、ワルツも魔法に関する本を読んだりしているようでイメージがだいぶ固まって、絶妙なタイミングで魔法が打てるようになっていた。

「ふむ、なかなかいい感じではないですか?明後日の試験くらいは軽く突破できると思いますよ。」

「ほ、ほんと!?」

「合格できるかなあ?」

「シャルルもワルツも頑張ってるもの!絶対合格できるわよ!」

ちょっと不安なワルツにリタがニコニコ笑って元気づけていた。


「明日は最終日ですし、昼から一緒に討伐依頼受けますか?戦う時の動きを最終確認したいですし。」

「え!?いいんですか!?ていうか、箱の依頼しかしないって聞いてるのに、討伐依頼かまわないんですか?」

「討伐依頼は魔物を倒してばっかりで面白くないから受けてないだけですからね。たまには受けていいかなあと思いまして。」

ここのところ夕方にここで手合わせすることになってから街の中で完結する簡単な依頼ばかりやってたから、討伐やってもいいかなと思ってきたのだ。


しかし、意外なところから待ったがかかった。





「ちょっと待った――!」


「え?マスティフ?」

マスティフが慌ててこちらにドタドタ走ってきた。

マスティフは7人を相手した後に休憩していたところだった。

「ユウジンは俺と討伐いく約束してただろ!?まずは俺と行くべきだ!」

・・・そういえば、討伐行くときは一緒にとマスティフとアシュアが言ってきてたことがあったなあ。

どうでもよすぎて忘れてた。


「すいません、どうでもよすぎて忘れてました。」

「どうでも!?おまっ!」

「でも明日の討伐はお2人の戦いの時の動きを確認するための依頼の一貫です。マスティフとはまた後日でお願いします。」

「そう言って、なんだかんだで行かないつもりか?」

チッ、勘が鋭い奴はめんどくさいなあ。

「とにかく俺との約束が先なんだからよ。なんなら、その討伐に俺も参加していいか?」

「それはお断りします。あなたが俺に絡んで俺が彼らの動きを見る邪魔になりますからね。」

「だったら討伐は駄目だ。俺が先!」


なんだお前。俺より年上の30代のくせに子供みたいなこと言いやがって。

ホントこのアホはめんどくさいなあ。



・・・しょうがない。脅すか。



「どうしてもというなら・・・大剣返してもらえますか?」

俺がニッコリ微笑んでそう言うと、途端にマスティフはヤバい!という顔をした。

「その大剣、俺のを貸してるのをもちろん覚えてますよねえ?フラヴィーナの時に返してくれるかと思ったらそのまま使ってるようですが。」

「いや、お、覚えてるよ。もちろん!でもすげえ使いやすいから、ユウジンが返せって言うまで使わせてもらおうと考えてたんだよ。いやあ、もうこの剣が良すぎてさ、他の剣なんて考えられないんだよ。」

そんなに気に入ったのか。

マスティフはものすごいうろたえて、しばらく腕を組んで考え込んだら、ものすごい長いため息をついて、渋々折れた。


「わ、わかったよ。・・・大剣のことを言われたらかなわねえ。後日、マジで討伐行ってもらうからな。」

なんでそんなに俺と討伐に行きたがるんだ?よくわからん。



「・・・ということで、明日は討伐に行きましょう。」

今まで黙って俺とマスティフのやり取りを見守っていた"夜の疾風"に微笑んで話を振ると、"夜の疾風"はすごく微妙な顔をしていた。

「ん?皆さんどうしたんです?」

「いや、あの、本当にいいんですか?マスティフさんとの約束が先なんですよね?」

どうやら俺とマスティフが約束していたのを知って遠慮しているようだ。

「いいんですよ。マスティフとの約束は急ぎでもないですし。あなた方との討伐は明日しかできませんからね。」


「・・・それにしても、マスティフさんとすごく仲がいいというか、扱いそれでいいの?英雄よ?あの"黒の一族"よ?」

シャルルは呆れてる感じで言ってきたが、まあ、確かにこいつは英雄でだったな。

すごく強い冒険者一族?らしいけど、俺はこの世界の人間じゃないからそこら辺がよくわからないんだよな。

よくわからないから普通に接してるんだが、それが不味かったか?

「仲がいいもなにも、勝手に気に入られて毎朝突撃されて模擬戦に付き合わされて参ってるんです。英雄とか"黒の一族"ですっけ?と言いますが本人はこの通りアホですから、この扱いで丁度かと。」

「おまっ!俺はアホじゃねえ!!」

「はいはい、静かにしてください。」

またマスティフがやいやい言ってきそうな気がしたので、罠魔法の拘束魔法で口だけ塞いだ。

「むが――――!」

マスティフは口に巻き付いたロープを必死に引きちぎろうとしているのを無視して、俺は話を進めた。


「では、明日昼に冒険者ギルドに待ち合わせということでいいですか?」

「は、はい!」

ゼノアはコクコクと頷いた。




それから無事に手合わせは終わり、夜になったが宿屋に戻ってくることができた。

宿屋で夕食の親子丼を食べると、部屋に戻ってくつろぎながら俺の特訓を始めた。


俺は剣に魔力を覆うのにサーチを今使っているが、それを改良できないかと思案していた。


サーチで魔力をのばすことができるが、サーチは地を這うように魔力がのびる。

ということは、地面についている剣しか覆うことができないということだ。

これでは俺が罠魔法でアイテムの鉄の剣リンクしたやつを上や横から出すときに、1回地面に落とさないと覆うことができないということだ。

出した瞬間に覆える仕組みを考える必要があったのだ。


地を這うようにが駄目。

剣がどこから出てもすぐ覆えるように・・・。

剣が出てくるのは・・・空中・・・。



空中に魔力を広げるのはどうだろう?


例えば、バリアのような半円形のドーム状に魔力を広げといたら、そのドーム内ならどこから剣を出してもすぐに魔力で覆うことができるんじゃないか?



試しにと床に座って、まずはドームのイメージをした。


そのドームの中を魔力で満たす感じ・・・。


魔力は細かく広がる感じで、例えば・・・粒子とか・・・分子くらい細かく・・・。


・・・ううん、サーチとは比べ物にならないくらいに広がるのが遅い・・・。



5分かかってやっと直径2メートル広げられた。


その状態で、罠魔法のアイテムで鉄の剣をリンクしたやつを俺の目の前の空中に出した。

落ちずにその場に留まるイメージをしながら剣を出すと、剣は出た状態のまま空中に留まっていた。

そして俺の周りをくるくる回るイメージすると、その通りにくるくる回りだした。



やったー!成功だ!


『回復の指輪』を外して色々試してみると、魔力は直径1メートルするのに30消費して、これはサーチで剣を覆うのに10消費することになるのでサーチの3倍となる。

時間は直径1メートルにするのに2分半、サーチの時は1分なので2.5倍かかることがわかった。

魔力はともかく、時間は何回も練習しているうちに少しくらいは短くなるかもしれない。



俺は魔力のドームを作る練習を繰り返して、15回ほどやって寝た。





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