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49、悪魔はいる

ロベルド視点が続いてます。



爆発音は思ったより響いてきた。



「な、なんだ!?」

「ば、爆発!?」

「キャー!」

会場は一気に混乱した。

ある者は呆然と爆発音のした会場入り口を凝視し、ある者は狼狽して辺りを見回し、ある者は怖いと叫び声をあげたりしていた。

警備兵がバタバタと会場入り口に集まったところで・・・。




ドオオォォン!


ドオオォォン!



別のところから続けざまに爆発音が響いた。


続いて聞こえる爆発音に、貴族たちはよりパニックになり騒ぎながら逃げ出すものが現れるほどだ。



よし!今だ!


私は狼狽している貴族たちを押し退けて、爆発音に驚いているルナメイアに声をかけた。


「ルナメイア様!ここは危険です!会場から離れましょう。」

「え、え・・・?」

「国王様も王族皆様待避し始めています。さ、ルナメイア様も。」

本当は国王も王族もまだ会場にいて護衛に守られてい待避はしていない。

しかし周りに騒ぐ貴族がいて、国王や王族の様子がわからないルナメイアにはこう言ったら十分だろう。

「あ、あの、近衛騎士長や近衛騎士たちは・・・?」

「彼らは会場外の警備にあたっています。入り口で爆発があったということは会場内に入れないのかもしれません。私は近衛騎士長とは古くからの友人んで、もしもの時は姫様を守るように頼まれていました。」

邪魔だった近衛騎士長と近衛騎士は偽の情報を流して会場外にいるようにした。

もし近衛騎士がすぐ会場内に来ても私の部下で警備兵に成りすましている者が足止めをしてくれる手筈になっている。

そして私は近衛騎士長とは面識はない。

古くからの友人と言ってルナメイアを信用させるための嘘だ。


ルナメイアは私の言葉を信じたようで、「わかりました。」と言うとすっと立ち上がった。

「さ、姫様こちらです。」

私はルナメイアの先に立ち、騒ぐ貴族たちの間をぬって会場の脇の出入り口から会場の外に出た。


とりあえず、2階の誰もいない部屋を見つけたのでそこに入ってもらった。

「近衛騎士長に確認してきます。姫様は危険ですから、どうぞしばらくお部屋からでないように。」

そう言って私は部屋から一旦出た。


・・・まだ会場は貴族たちが騒いでいるようだ。

騒ぎ声がここまで響いて来るぞ?



ドオオォォン!


ドオオォォン!


どこかでまた爆発させたようだな。

こうやって時間差で爆発させることによって、貴族たちの不安を煽り会場はますます混乱して、ルナメイアがいないことに気付くのが遅れるはずだ。


だが、これで用意していた魔石は全部のはず。

急がないといけないな。


私はしばらく部屋の前にたたずむと、ドアをノックして部屋に入った。

ちゃんと急いで息を少し切らす演技をして、だ。


「姫様、近衛騎士長は現在爆発を起こしたとみられる者たちと交戦中です。近衛騎士長より、城から待避してくださいと伝言を預かって参りました。」

もちろんこれは城から連れ出すための嘘だ。

「近衛騎士長が・・・!?近衛騎士長は大丈夫なんですか?」

「戦っている者はかなりの手練れのようでして、私も急いで来たのでよくわからないのです。とにかく、城から離れましょう。」

「で、ですが・・・父上や兄弟たちが心配です。・・・父上のところに連れていってください。」

「そ、それは危険です、姫様!国王様は確かに護衛に守られながら会場を出ていってました。他の王族の方々もそうです。皆様きっと今頃城を出ていると思われます。」

「ですが・・・1人ではどうも不安で・・・。では妹のアシュリートに会わせて下さい。」

「そ、それもできません姫様!き、危険です!」

「さっきからあなたはどうして誰にも会わせてくれないのですか?本当に近衛騎士長の友人なのですか?」


ちっ!まずい!

このままでは誘拐に感づかれてしまう!

そうすれば私の計画がバレてしまう!

どうする?どうする!?




トントン、ガチャッ



「失礼します!」


突然、ノックして返事する前に1人の警備兵が入ってきた。

な!?なぜ警備兵が!?

まずい!!ルナメイアがここにいることを見られた!!

だが、警備兵は思わぬことを口にした。


「近衛騎士長より伝言を預かって参りました。現在交戦中でありますが必ず姫様のもとへ向かいますので、友人ロベルド・サイファーを信用してくださいとのことです。」


その言葉に私は目を見開いた。

警備兵は私の方を見てきて、意味ありげにニヤリと笑った。




そ、そうか!

こいつは私の部下が増員したという警備兵に成りすましたやつか!

私はよくやった!と頷いて、ルナメイアの様子を見た。

ルナメイアは悲しげな表情で俯いていた。


「そう・・・ですか。心配ですが、近衛騎士長の伝言でしたらわかりました・・・。ロベルド・サイファーと言いましたか、先ほどは疑って申し訳ありませんでした。」

ルナメイアはそう言って私に頭を下げた。

「い、いえいえ!顔を上げてください、姫様!私こそ、疑われるようなことを言ってしまって申し訳ありませんでした。そんなことより、さ、城から待避しましょう。ここにいては危険です。」

「・・・わかりました。」

「ロベルド様、城の外まで護衛します。」

警備兵がそう言っていてくれた。

警備兵が一緒にいるだけで信用が一気に上がるのだから、一緒に城の外まで来てもらったほうがいい。

「お願いするよ。君、なかなかいいね。」

「・・・ありがとうございます。」

警備兵は嬉しいようでニコッと笑った。



それから部屋を出て、城の裏の出入り口から出るように誘導して、3人で移動した。

移動し始めてすぐに、警備兵が外套をどこからか出して、ルナメイアに被るように言っていた。

ルナメイアの容姿が目立って見つかった時に標的にされるかもしれないからと説明していたが、こちらとしてはルナメイアの容姿のせいで目撃されやすいのが防げるので助かる。

本当に使えるやつだな、この警備兵は。

途中で何人ものメイドや警備兵などにすれ違ったが、やはり警備兵が一緒にいるためか特に注目されることもなく外套を着ているルナメイアがバレることもなく移動できた。



城の裏に出ると、そこには私があらかじめ用意していた馬車があった。


「さ、姫様この馬車に乗ってください。」

「は、はい・・・。」

ルナメイアは少し戸惑いながら馬車に乗り込んだ。

「歩いてしまって、疲れたのではないですか?水で申し訳ありませんが、よかったらどうぞお飲み下さい。」

そう言って私はあらかじめ用意していた、睡眠薬入りの水筒をルナメイアに勧めた。

ルナメイアは少し躊躇していたが、「い、いただきます。」と言って一口飲んだ。


「・・・え?なんだか・・・眠気が・・・。」

途端にルナメイアはバタンと馬車のソファに倒れた。



「ふはは、これで私の屋敷に連れていったら計画は完了だ。お前もご苦労だったな。」

私は計画の完了を確信して笑いながら、警備兵に語りかけた。

「ありがとうございます。」

「私はこのまま屋敷に向かう。お前は他の者と合流して屋敷に来い。」

「・・・はい、わかりました。」


私は上機嫌に御者席に座ると、馬を走らせ馬車は城から裏から出た。

ふと、城の方を見ると・・・おや?

あの警備兵の姿がもうないぞ?

もう城に戻ったのか?

まあ、いいか。



私はしばらく馬車を走らせ、首都の北側にある私の屋敷に着くと屋敷の裏手に馬車を回してそこに止めた。

止めたところのすぐそばには小さな小屋があり、この小屋は私がこの時のために建てておいたものだ。

私は馬車のソファに横たわるルナメイアを担いで抱えると、その小屋へ向かった。

そして小屋の中に入ると適当な床に横たわらせた。

この小屋はルナメイアを匿うためだけに作ったから中はなにもなく、窓すらない。唯一ある燭台に私は火魔法で火をつけた。


ああ、ついに!ついに!計画が果たされた!

私はやりとげた!

これも悪魔様のおかげだ!悪魔様が守ってくださったおかげで私は誰にも見つかることなくルナメイアを誘拐することに成功した!

今頃城はパニックの真っ最中でルナメイアがいなくなったのにもまだ気付いてないかもしれないな。

なんと哀れ!なんと愚かな!

無能な者たちが上にいるから仕方ないことかもしれないがな。


ルナメイアには申し訳ないが、我が悪魔様の、最高指導者様の指示だ。

悪魔様にその身を捧げることになるだろうな。

本当は・・・あまりの美しさにこのまま匿ってやりたい気持ちもある。

抱えた時の肌の柔らかさやサラサラの髪の手触りや女性の匂いにくるものがあるが、悪魔教は絶対だ。

これ程の女などもう2度と見れないだろうが、しょうがない。

悪魔様のためだ。



私はズボンのポケットから小さな魔石を取り出した。

手のひらにも満たないそれは水晶のように透明な色であった。

それに魔力を込めると、魔石は白く光だしてしばらくして、魔石から声が聞こえてきた。


「・・・うまくいったか、ロベルド。」

この魔石は通信魔法が込められた魔石だ。

通信相手は悪魔教の本部で最高指導者様の側近の男である。

「はい、サード様。無事ルナメイアを確保いたしました。」

「そうかそうか!最高指導者様がそれはそれはお喜びになるだろう。」

サードと呼ばれた男が喜んでいる様子が伝わってきた。


「ルナメイアはいかがいたしましょう?」

「南の例の国に連れてくるのだ。そこから経由してこちらの国に来るように手配しよう。」

「南の例の国ですか・・・?現在情勢があまりよくないと噂されていますが、大丈夫でしょうか?」

「なに、いざとなれば王を脅せばどうとでもなる。くれぐれも、輸送中にルナメイアに傷付くことのないようにな。最高指導者様は傷モノは好まれん。」

「は?傷ですか?最高指導者様が?」

「ああ、いや、悪魔様が傷を負ったものは生け贄として好まないということだ。」

「そうですか・・・。では、ルナメイアは必ず南の例の国に傷付くことなくお連れします。」

「うむ、よろしく頼む。こちらにルナメイアが着た暁には、ロベルドの地位も最高指導者様が考えて下さるだろう。」

「ありがとうございます!よろしくお願いいたします!」


こうして私は通信を切った。

やったぞ!私の地位が上がることまちがいなしとサード様に言っていただいた!

これで力をつけてこの国での悪魔教の普及にますます役立つはずだ!



「ふははは!これで私の出世も確実だ!」


私は1人そう呟いてニヤニヤしてしまった。



その時、私の左右の床からなにかが飛びかかってきた。



ジャラジャラジャラ・・・



な、なんだ!?鎖!?

鎖はひとりでに私の体に巻き付き、あっという間に身動きがとれなくなってしまった。

「な、なんだ!?う、動けん!?」



その時、どこからか声が聞こえてきた。




「・・・なんだ、つまらないですねえ。」



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