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4、悪魔は本を読む

宿屋を見つけて連泊することにして。

そうこうしていたら夕方になっていたので「もう少しで夕飯が出ますよ。」と言われたのでそれまで部屋で時間を潰すことにした。


宿屋は朝食付きで1泊5000イン。

1階に食堂があって、昼食・夕食は1食500インで利用できるそうだ。

俺はとりあえずで1週間連泊を頼んだ。

部屋は2階奥の1人部屋でベッドも床もキレイで安心した。

風呂は1階に共同浴場があって、トイレは各階に1つずつあって昭和の人には懐かしい「ぼっとん」だ。



部屋に入ってベッドに腰かけると、俺は早速暇潰しに「神様監修:世界の歩き方」を出して読んだ。

なかなかの厚さの本だったのでさすがに全部読む元気はなかった。

なので基本的な生活に関わる項だけ読んだ。

なにやら宗教とか政治とかの項があったが、それはまた追々でいいだろう。


まず気になっていたお金はやはり「イン」というのが全世界共通の通貨単位で、紙幣だ。

相場としてはだいたい1インは2円だそうであちらの世界の半額、と考えていいみたいだ。

そして紙幣の種類は1・10・100・500・1000・5000・10000・1000000まであり、1インが掌サイズでそれからだんだんサイズが大きくなっていき、1000000インは両手いっぱいのサイズらしい。

そして自動翻訳が働いて、十・百・千・万・億が通用するので最大紙幣1000000インは100万インで通じるようだ。


因みにアイテムに入ってたお金は10万インだった。

しばらくは働かなくていいくらいだからやっぱり至れり尽くせりだ。


そしてこの世界の1年は360日に1ヶ月は12月、1日は24時間とこれはほとんど変わらない。

しかし時計が普及していないので、分・秒の概念はあまりなく教会が鳴らす3時間ごとの鐘と太陽と月の位置でだいたいの人は時間を割り出すらしい。


教育レベルは高くなくて、識字率は60%くらい。

計算はだいたいの人間はできるらしいが、普通はできてかけ算・わり算まで、学者でも中学生の数学レベルらしい。

魔法の世界だから当然、科学と物理は皆無。

小学生レベルの理科と生物があるくらい。


料理は先のテスターの要望もあって、俺の世界と基本的に同じなようだ。

多分、ラノベでよく主人公が直面する「米・醤油・味噌がない問題」に先のテスターは直面したんだろう。

誰かは知らないがグッジョブだ!


レベルは魔物を倒すことで経験値を得てレベルがアップする、ゲーム・ラノベと同じだった。

この世界の人間のレベル1は、


HP:30

MP:20

攻撃力:5

防御力:5

智力:5

速力:5

精神力:5

運:3


俺は運以外は基本的に高くしてくれてるようだ。

普通はレベル50以下、才能がある者でも最高はレベル100らしい。

この世界の人間はレベルが上がるとHP・MPはランダムに1~50ずつあがって、能力はランダムに1~10ずつあがる。

そしてレベル5の倍数の時に戦闘スキルか魔法スキルを好きなものを1つ取得できる。


しかし、テスターの俺はレベルが上がるごとにHP・MPは振り分けを100もらい、能力は振り分けを50もらえる。

これを好きなように振り分けていいみたいだ。

そしてレベル2の倍数の時に戦闘スキルか魔法スキルを好きなものを1つ取得できる。


適正を持った者は稀にしかないそうで、俺の超適性は他のテスターすら持っていない俺だけの奴らしい。


魔法はこの世界の者は誰でも使えるそうだが、無詠唱は知識として知られてはいるが消費魔力が3倍にもなるため使われることはなく、省略魔法すらも消費魔力でも2倍になるので戦闘での緊急時の時くらいしか使われないらしい。

因みに俺の持ってる鑑定魔法とアイテム収納魔法はどちらも珍しい魔法なのでむやみに他人の前で使わないことを勧めるそうだ。

まあ、ラノベでも鑑定魔法とアイテムボックスはものすごい珍しいという扱いだったから、そうじゃないかと思ってたから町中で使ってないし。



ここで夜になったので、夕食を食べに1階の食堂に向かった。


「いらっしゃいませ!」

食堂に入ると女の子の元気な声が響いた。

そして1人の女の子がぱたぱたとこちらにやって来た。

宿屋の主人の娘という感じの、10歳くらいのエプロンドレスを着たかわいらしい黒髪ツインテールの子だ。

「こんばんわ。1人ですが席空いてますか?」

俺がそう言うと、女の子はにっこり笑って元気に「こちらへどうぞ。」と案内してくれた。


ちらっと話すと、やはりこの宿屋の一人娘でララだと自己紹介してくれた。

「俺はユウジンと言います。1週間の連泊してますので、これからしばらく食堂を利用することになると思いますので、よろしくお願いしますね。」

俺がそう言って微笑むと「こちらこそよろしくお願いします!」と明るく返事してくれた。


オススメを頼むと、米と野菜スープとしょうが焼きのような炒め物とお茶がセットになった定食と、サービスで卵焼きをつけてくれた。

俺の人の良さそうな見た目がこっちでも効いたようだな。

あっちでもおばちゃん店員に微笑んだらサービスしてくれたりしたし。

まあ、見た目を裏切らないように丁寧なしゃべり方もしてるから、尚更好印象持たれるんだけど。


味はやはりこっちの世界の方がうまい気がする。

大満足して近くを通りかかったララと話していると、ララに似た女性がやって来た。

黒髪の長い髪を1つにまとめたララと同じエプロンドレス姿の、宿屋の受付にいた、宿屋の主人のティーラさんだ。

「ちょっとララ、食器の片付けまだすんでないでしょ?早く持ってこないと洗い終わらないわよ。」

「ごめんごめん、お母さん。」

ララは慌てて去っていったお客さんのお皿を下げに走っていった。

「すいませんティーラさん、俺が引き留めたんです。夕食美味しかったからお礼を言いたくて。」

「あら、わざわざありがとうございます。旦那が作ってるから、旦那に言っておくわ。」

ティーラは微笑んで一礼した。

どうやら旦那さんが作ってティーラさんとララがホールをしているようだ。


なんかこういうところもテンプレというかなんというか。

ていうか、テンプレ多くないか?

神様が確か「是非体験してみてね」とか言ってたが、不可避が多いんだが。

さてはあの神様、ラノベ大好きか?



部屋に戻って風呂に入ろうとして、着替えがないことに気が付いた。

やべっ、買いに出ればよかったか、と思ってたら1階に売店があることを思い出した。

もしやと思って行ってみたら、下着やスエットっぽい布の服にバスタオルにフェイスタオルが売っていた。

割高だったが、買った・・・。

ここは旅館か!?



複雑な心境で風呂に入って、それからは冒険者ギルドでもらった冒険者についての冊子を読んだ。


基本的にラノベと同じで、ギルド内の掲示板から好きな依頼を選んで、達成すると報酬が支払われる。

ランクG~Sまであり、普通はランクC止まりで才能がある者でランクA、人外と言われているランクSとなっているらしい。

依頼は自分のランクの1つ上のランクまで受けられ、依頼失敗したら報酬額の倍額を払い、失敗が続いたら冒険者を剥奪されるそうだ。

そして冒険者同士のいざこざについては、ギルド内で起こったとしても責任は取らないとしているらしい。

禁止事項は基本的に人の常識外のことが禁止というだけで、特別なものはなかった。

人を故意に殺してはいけない、人の依頼を盗らない、とかだ。

これくらい知っていれば大丈夫なようだ。

後は追々その都度チェックすればいいだろう。




明日はどうしよっかな?

町を観光してみてもいいかもしれないし、町の外に出て魔物と戦ってみたいな。


明日が楽しみと思うのは本当に久しぶりだなあ。

日本にいたら、つまらない人間しか会わなかったからなあ。

ちょっとつついたらすぐ俺を怖がって、心を攻撃してあげたらすぐに絶望してすぐ自殺してつまんなかったんだよね。

こっちの世界の人間は、すぐ自殺しないよな?

ラノベに似てるから命の重さは軽いはずだから、自殺率は低いはずなんだけど、どうなんだろう?



もうちょっとこっちの世界に慣れたらそれを試してもいいかもしれない。



うん、楽しみだなあ。




俺はそう思って、異世界に来た初日を終えた。





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