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34、悪魔は懐かれる

「おらああぁっ!!」



マスティフは大剣を勢いよく俺に振り下ろす。


俺は横に避けて脇腹に向かってナイフをのばすが、ひらりと避けられ足をかけられる。

それを自ら足を上げて払うと距離をとるため後ろに下がるが、マスティフは前進して距離をつめてくる。

「はっ!」

大剣で横一閃に振るうのをしゃがんで避けると同じように足をかけるが、マッチョの足が硬すぎてびくともしない。

「硬いですね。」

「ふはっ、鍛えてるからな!」


・・・なんでこんなことになったのか。

答えは簡単。

朝っぱらからマスティフが俺の泊まっている宿屋の部屋に飛び込んできて「模擬戦やろうぜ!」と言ってきたからだ。

俺は防犯のために部屋の出入り口に罠魔法で拘束魔法を張っていたので見事にそれに捕まって、ロープでぐるぐる巻きにされているのにマスティフはその状態の自分を無視してそう言ってきたのだ。

アホである。


それから拘束魔法を解いてもわーわーうるさかったので、一戦だけということで宿屋の裏の庭を借りてやっているというわけだ。

因みに宿屋にもしものことがあってはいけないので魔法禁止だ。

だから俺は魔法剣でなく普通のナイフを使って物理攻撃で戦っている。


見届け人はクロ助だが、日向ぼっこして寝ている。



「はぁ・・・はぁ・・・もういいでしょう?参りました。」

しばらくやっていたが、俺の体力が尽きた。

「なんだ、体力ないなあユウジンは。俺みたいに鍛えねえか?」

「すいませんが俺はマッチョになりたくないので。朝食の時間ですし。」

こいつは食堂が朝食を出す時間になるよりも前に突撃してきたのだ。

ホント、アホだ。

「そういやあ俺も腹減ったなあ。俺も食堂で食ってこうっと。」

「えっ!?」

食堂にまでついてくるのか!?と嫌な顔をしてしまったが、マスティフはまったくもってどこふく風だ。



いや・・・ていうか、マスティフとアシュアが会ったら・・・。

嫌な予感がする。





「そうなのー!!そこで私失敗しちゃってー!」

「あー、わかるわかる!あそこな!あそこはこうしてこうしたらよかったんだよ。」

「へえ!さすがマスティフ!超頭いい!」

いや、こいつはアホだよ。


俺の嫌な予感は的中し、食堂でいつものようにローズさんの熱烈歓迎を(クロ助が)受けて朝食セットを頼んだら、マスティフも一緒の席に座ってきてお金払って朝食セットを頼んできた。

それを食べてたらいつものようにアシュアとレフィが来て「どなた?」となって自己紹介しあって話したら、アシュアとマスティフがあっという間に意気投合したのだ。

2人は明るい性格だったから、意気投合する気がしてたんだよ・・・。

因みに俺とマスティフはランク試験で知り合って仲良くなったことにされた。

今はなんかの魔物の討伐方法について話しているが、俺は興味がないので黙々と食べている。


一応マスティフには俺の魔法のことや強いことは他言無用とキツく言っている。

マスティフは変な奴で、言いふらすつもりもないようで、それどころかどうして俺が強いのかとか聞いてこなかった。

「自分を鍛えるのに、そういうのは関係ない。」だそうだ。

つまり朝突撃してきたのは自分を鍛えるために俺と戦いたかったらしい。

まあ、詮索されないほうが俺も助かるが朝っぱらからは迷惑だな。



「ところでユウジン、ランクDおめでとう!」

アシュアはにこやかにそう言ってきた。

「ありがとうございます。またアシュアたちと並びましたね。」

アシュアとレフィは討伐依頼をどんどんこなしていったおかげで俺より1週間早くランクDになっていた。

「ユウジンも討伐依頼をどんどんやったらよかったのに。箱の依頼ばっかしてさ。」

「え?ユウジン、箱の依頼やってんのか?」

ちょっとびっくりしたようにマスティフが会話に入ってきた。

「箱の依頼は変わった依頼ばかりで面白いですから。」

「でも結構報酬が安いでしょ?お金大丈夫なの?」

「え、ああ、お金は貯えがありますし、まだしばらくなら大丈夫ですよ。」

本当は800万インと腐るほどあるが、もちろん秘密だ。


「お金ヤバくなったら討伐一緒に行きましょうね!」

「お!俺とも行こうな!」

2人にそれぞれ誘われたがあいにくその約束は叶いそうにないと思う。



朝食を食べ終わって食堂から出るとマスティフも出てきた。


「んじゃあ、俺パーティんとこに戻んなきゃいけねえけど、明日も来ていいよな!」

「は!?一戦だけと約束したでしょう?来ないでください。」

「やだね!じゃあ!」

「あ、ちょっ・・・!?」

そう言い残してマスティフはさっさと宿屋から出てってしまった。


俺はげんなりして、部屋に戻った。


「明日仕掛ける罠魔法を厳重にしましょう。」

「ミャー?」





それから4日経ったが、マスティフは毎日来やがった。


昨日なんて魔法使ってくれと首都のすぐ南の、試験をしたあの原っぱに連れてかれたし。起き抜けに。

魔法禁止なら俺が負けるが、魔法が使えるなら俺が圧勝だ。

なので憂さ晴らしで思いっきり罠魔法を張りまくるのだが、マスティフには逆に燃えるようでめちゃくちゃイキイキして戦っていた。

それにさらに腹が立ってしまうが、もう半分諦めている。

だって毎朝部屋の出入り口に張っている罠魔法に引っ掛かってもわーわーいってくるんだから、付き合った方が楽なんじゃないかと思い始めている。




俺はこの日の午前中は錬金術師のモメントのもとに来ていた。


蒸留器の中をクロ助と共に覗き込む。

「うーん、なんか白っぽくなってきたような・・・って感じですね。」

「まあ、まだ蒸留器に移して2週間くらいしか経ってないからな。」


ホムンクルスのハーブを採ってくる依頼から6日後の鍋から蒸留器に移す作業を見に来て、今日で2回目の訪問となった。

ホムンクルスは蒸留器の中で透明な体になんとなく臓器が見えてきた、という感じだ。

「ホムンクルスってしゃべるんですか?」

「じゃべれるやつとしゃべれないやつがあるらしいぞ。俺が作ってるソレは一応しゃべれるやつのレシピだ。」

「へえ、ちょっとしゃべってみたいですねえ。」

「意識ができたと同時に知識をもつんだと。だからすぐにいろんなこと話せるらしいぞ。」

「それは面白そうですね。人類の未来とか話してみたいです。」

「なにに未来聞いてんだよ。」



それから鍛冶屋の親父のところへ向かった。

今日はミスリルのお礼に武器防具を造ってくれたのを受け取る約束の日だ。


「お!来たか来たか!」

親父はにこやかに迎えてくれた。

「ほらよ、ちっと気合い入れて造ってやったぜ。」

「ありがとうございます。」

受け取ると・・・あれ?

「短杖2本とガントレットとグリーブのはずですが・・・。このローブは?」

「ははっ!驚いたか!知り合いの布屋との合作でローブ造ってみたんだ。」

そう。なんと頼んでないローブも造ってくれたのだ。

見た目も今愛用しているローブとほとんど変わらず、白に金の刺繍のものだ。

だが白の布地部分が光に当たると銀のようにキラキラしている。

「糸にミスリルを溶かしたものをコーティングしてな。だから魔法はもちろん防御力自体も上がってるはずだ。」

「へえ!すごいですね!」

さっそく全部装備してみると、不思議なほど体に馴染んで動きやすくてガントレットとグリーブも銀色でシンプルデザインながら軽い。

2本と短杖も扱いやすくデザインもそこまでゴテゴテしてないがかっこいい装飾があって気に入った。

「お!似合ってるじゃないか!」

「ありがとうございます。どれもすごく体にぴったりでとても気に入りました。」

「そりゃあよかった!造った甲斐があるってもんよ!」

そう言って親父はがははと笑った。


ううむ。これはお返しに大量の酒か武器防具の購入をしよう。

と心に決めて鍛冶屋を後にすると昼になっており、西側のあのガラガラの食堂で昼食は食べてギルドに向かった。



昼からだったので箱の依頼の中でも近場の採取の依頼を受けることにして、さっさと移動した。

北の森に特別なキノコが生えるらしいが、それが絶品と噂があるそうで食べてみたいという依頼だ。


探してる途中でオークと遭遇したのでさっそくミスリルの短杖で攻撃してみることにした。

お試しでいつものように雷魔法を無詠唱で唱えると。



バリバリバリッ



あれ!?

なんか雷強くなってる!?

オークがそれでふらついた。

筋肉を収縮させるのが目的なのでそこまで強いはずではないのに?

もうひとつ試しで火の矢を出してみる。


『我が前の敵を射よ、ファイアアロー×5』


するといつものファイアアローの1.5倍のでかさの火の矢が出てきて、オークに次々と刺さっていった。

オークは「グオオオ!」と悔しげな声をあげて倒れていった。


「え?どういうことでしょう?」

今までとの違いは・・・この装備?

気になって装備しているものを鑑定してみた。



『魔法使い用ミスリルローブセット』

ミスリルの短杖2本・ミスリルローブ・ミスリルガントレット・ミスリルグリーブこの4つをセットで装備したときに限り、魔法防御力上昇・魔法威力上昇・MP上昇する。

軽いし着心地もいいですし、白なんでオールシーズンいけますね。


また通販みたいな文があるが、そんなことより!

もしかしてこれが、高純度の効果なのか?

それが合わさったことにより、相乗効果になったとか?

MP上昇はどれくらい上昇したんだろう?



名前:ユウジン・アクライ(阿久来優人)

種族:人間(魔法使い)

年齢:24

レベル:50

HP:1720

MP:2990(×2)

攻撃力:388

防御力:466

智力:624

速力:522

精神力:266

運:186


超適性:罠魔法

戦闘スキル:上級短剣術・剣術・双剣術

魔法スキル:上級罠魔法・上級鑑定魔法・アイテム収納魔法・中級火魔法・中級水魔法・中級風魔法・上級土魔法・初級雷魔法・中級光魔法・拘束魔法・隠蔽魔法・剣魔法・中級多重魔法


取得可能スキル:1



MPのところに(×2)がある!

約6000になったということか!?

すごいな高純度ミスリル!というか、これを造った親父がすごいな!


俺はすごく上機嫌で森を探索してキノコを見つけて、さっさと首都に戻って依頼人に届けた。

因みに後日、キノコは不味かったと噂が流れた。



依頼を達成し、報酬もいただいたので夕方だし、帰ろうかと思っているとギルド職員が騒ぎだした。

なんだ?と思っていると、美女職員がなにかの紙を見ながら叫んだ。




「ここにいる冒険者の皆さん!聞いてください!魔物の大群がフラヴィーナの町に迫ってきているため、緊急の討伐依頼です!!」




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