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33、悪魔は試験を受ける

いつものように朝、食堂でローズさんに出迎えられ、いつものようにアシュアとレフィが相席して、今日は何をするか話すのが普通になってしまった。


いいのかこれで?

まあ、今のところ冒険者関係の話しかしてないし、朝のこの時くらいしか話さないから、フラグでないとは思うんだが・・・。

ていうか、この2週間ずっといるけど、城に帰れよいい加減・・・。



まあ、今日もいつものように箱の依頼をやろうかなとギルドに向かい、どれをやろうか迷っていると・・・。


「あ、ユウジンさん。ちょっといいですか?」

珍しく職員の方から話しかけてきた。

ギルドのアイドル?と思われる美女職員だ。

「ランクEからDへの試験が明日あるんですが、受けませんか?」

「えっ、明日あるんですか?」

「はい。ユウジンさんは依頼達成回数はすでにDへの条件に達してますから、試験を合格できたらランクDになれますよ。」

この2週間、依頼をこなしていっていたので先週ランクEになったばかりだった。

先週Eになったばかりだったのだが。

まあ、なれるならなっておこう。


「では、ランクD試験を受けます。試験内容はなんですか?」

「ランクBの冒険者相手に模擬試験をしていただいて、実力を図るだけです。勝ち負けは関係ないみたいですよ。」

ラノベで良くある奴だな。

ということは、ラノベのテンプレ展開の「主人公はちょっと戦っただけなのに実はとんでもない実力に試験官が度肝を抜かれる」に注意しないと。

俺はすでに能力だけならレベル100並だし、スキルはアホみたいに持ってるからな。


・・・何気に俺、テンプレ展開に沿ってしまうことがあるから嫌な予感しかしないな・・・。





そして翌日、俺は試験会場となる首都のすぐ南にある原っぱにきた。



俺の他に試験を受けるのは4人の男女で、ギルド職員の男1人と試験官のランクB冒険者のマッチョ男が先に来て待っていた。


「俺はランクBパーティ"黒の流星"冒険者のマスティフだ。よろしくな。」

紫の長い髪のツンツン頭で、黒い目の30代くらいの爽やか系のイケメンで、マッチョな体に黒の鎧を着けて背中に大剣を背負った姿だ。


「うわあ・・・。"黒の一族"なんだあ。初めて見た。」

「世界中に散らばる凄腕の冒険者一族で、一族の者だけがパーティ名に"黒の"をつけられるっていう奴でしょ?あの人、その一族なの?」

「確か噂じゃ一族当主の次男とかって聞いたぞ?強そうだなあ。」

試験を受ける冒険者たちの会話が聞こえたが、どうやらマスティフの一族は有名な冒険者なようだ。

ふーん、そうなんだーという心境だ。

他の冒険者に興味ないしなあ。


でもまあ、一応相手してもらうんだから鑑定しとこう。



名前:マスティフ

種族:人間(戦士・黒の一族次男)

年齢:35

レベル:55

HP:2100

MP:100

攻撃力:470

防御力:368

智力:92

速力:130

精神力:161

運:80


戦闘スキル:上級大剣術・中級剣術・上級体術

魔法スキル:初級火魔法・初級闇魔法



ほう・・・。

やっぱり戦士で大剣使いか。

攻撃力も高いし戦闘スキルに上級が2つもあるから、物理攻撃に注意かな。



「えー、これからマスティフさん相手に模擬戦闘を行ってもらいます。」

ギルド職員が説明を始めた。

「順番に1人ずつ戦ってもらいますが、基本的にマスティフさんは防御するだけで攻撃しません。皆さんの得意な武器や技で攻撃してください。ランクDに値する実力を持っているかを審査しますので、手加減や遠慮はしないようにしてください。」

試験を受ける男女は元気よくはい!と言っていた。

その後、順番が言い渡され俺は最後になった。


・・・なんかますますテンプレ展開に近づいてきたな。

でもまあ、前の4人の戦い方でだいたいの実力がわかるだろうから、俺はそれに合わせて手加減したら目立たず合格できるだろう。



そう思って試験を受ける4人を順番に見ていたが・・・。


やっぱ、ランクEだけあって、そんなもん?と聞きたくなる実力だ。

ちょっと剣で4~5切りつけたらすぐ息をきらすし、魔法も中級1発で終わるし。

それで合格もらってたから、ちょっと驚きなんだが。


「では、最後の方。ランクE魔法使いのユウジンさん、前へどうぞ。」

ついに呼ばれてしまった。

「すいません。一応、猫を預かってもらえますか?」

どう手加減しようか考えきれてないが、とりあえずクロ助はいない方がいいかもしれないと、ギルド職員にクロ助を預かってもらった。

クロ助は「ミャー」とがんばれーという感じで鳴いた。



「うん?お前・・・。」

マスティフは俺を見て眉を潜めた。

?なんだ?

「あの、どうかしましたか?」


「お前、すっっごく強いだろう?」

「は?」

「それも・・・レベル100並に。」


その場にいた全員が驚いた。

もちろん、俺もだ。

なんなんだ、こいつ!?

「ちょ、ちょっと!?マスティフさん!変なこと言わないで下さいよ!」

ギルド職員が戸惑いながら冗談でしょ?という風にたしなめたが、マスティフはどこふく風。

「俺は一族に化け物がいっぱいいるから、そういうのと小さな頃から一緒にいると、わかるんだよ。雰囲気っつーの?オーラとか言うの?」

「すいません、マスティフ。俺はただの魔法使いです。なにかの勘違いじゃないですか?」

「いーや!勘違いじゃないね!お前、絶対俺より強い!」

俺は慌てて得意の笑顔を張りつけて困ったように言ったが、マスティフはなにか確信しているのか、断言してきやがった。


確かに合ってるが、今言うことではない。


マスティフはへへっと笑うと、大剣を構えた。

「ユウジンつったか?お前本気でかかってこい。本気でかかってこないと不合格にするぞ。」

「はあ!?」

なんて展開!?

ラノベにあったか?ないよな!?

「もしちょっとでも手加減したら、多分俺わかるからな。よし、来い!」

マスティフはそう言ってニヤリと笑った。


どうしよう・・・、困った。

ギルド職員は呆れてお手上げといった感じだし。

こいつの言ってることは合ってたから、手加減したらマジでバレるかもしれない。

合格して上の依頼を受けたいから、ここで不合格はなあ・・・。



仕方ない。



俺はため息を吐いた。

「・・・わかりました。ですが俺は目立ちたくないので、これから先は内密にしてください。ギルド職員の方もあなた方もお願いします。」

俺がそう言って職員と4人に頭を下げるとまさかと戸惑っているようだった。


「マスティフも本気で避けて下さいよ。」

「ああ、そのつもりよ!」



俺は腰にさしていた2本の短杖を持つと、魔力を込めて魔法剣にした。

「では、行きますよ。」


すでに俺は罠魔法を張っていた。



俺の罠魔法は上級となったことで、見えるところならどこでも罠が張れるようになっていた。


バチバチバチッ


「うぐぅっ!?」

俺は無詠唱で雷魔法をマスティフに撃ち、いつものように筋肉が収縮して一瞬動けなくなった隙に張っていた罠魔法を発動した。


ジャラジャラジャラ・・・


「な、なんだあ!?」

マスティフの左右の地面から鎖が出現し、マスティフをぐるぐると縛り、その間に俺はマスティフの目の前に移動して喉元に魔法剣を当てた。



「・・・本気で避けて下さいよと言ったはずですが。」

「うぅっ!ま、参りました・・・!」


職員と4人はぽかんとしていた。



俺はさっさと魔法剣をしまって鎖の拘束魔法を解くと、マスティフがものすごい勢いで迫ってきた。

「すげえすげえすげえ!!なあ、あの剣なんなんだ!?なんで急に雷打たれて体が一瞬動けなくなったんだが、あれはなんだ!?それにあの鎖もなんだ!?すげえじゃんお前!!!」

「え・・・、おい、ちょっと・・・。」

その勢いにドン引きした。



信じられないほど質問してきたので、剣魔法と双剣術を組み合わせたものだと説明して、雷は無詠唱で打った雷魔法で、筋肉が収縮するから一瞬隙ができると説明して、鎖は罠魔法とリンクさせた拘束魔法だと全部説明する羽目になった。

どうやら雷魔法で筋肉が収縮するというのは知られていないことのようで、マスティフが不思議がっていた。

まあ、科学が発達してないから電気がわからないなら知らなくて当然かもしれないな。

そして剣魔法・拘束魔法・罠魔法はマニアでもよく知らないような魔法なのだそうだ。

まあ、罠魔法は最初に神様が「珍しい」と言ってたくらいだからマニアックなものとは知ってはいたが。

無詠唱もできるのすごい!と言っていた。

やはり魔力が3倍かかるので使う奴はいないと聞いていたが、ここまでマニアックとはな・・・。

マスティフは俺の説明に全部感心・絶賛していた。




もちろん試験は合格してランクDになったが・・・。


テンプレ展開やってしまった・・・!



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