266、悪魔は和虎と話す
名前:カズトラ・キザワ(鬼澤和虎)
種族:人間(拳闘士・テスター・ダミアーノファミリーNo.2)
年齢:35
レベル:80
HP:6050(+1000)
MP:2060
攻撃力:1555(+1000)
防御力:1029(+1000)
智力:375
速力:598
精神力:306
運:185
テスター能力:千里眼
戦闘スキル:初級短剣術・上級斧術・上級大斧術・上級こん棒術・中級槌術・最上級体術
魔法スキル:初級鑑定魔法・アイテム収納魔法・最上級火魔法・上級水魔法・中級風魔法・中級土魔法・初級木魔法・上級雷魔法・上級光魔法・上級闇魔法・拘束魔法・隠蔽魔法・探索魔法・中級多重魔法
HPと攻撃力が高いところや拳闘士という職業からみると明らかに攻撃特化な能力だ。
拳闘士というのはその名の通り、拳だけで闘うからそこからきているのだろう。
そういえばトリズデン王国の首都スクリュスクで俺に特訓を頼んできたゼノアが確か武闘家で、拳と蹴りを使っていたな。
拳闘士と武闘家は似ている感じがするが、拳闘士はボクサーで武闘家は格闘家といった感じか。
それにしてもさすがテスターとあって能力が高いしスキルがたくさんあるし体術と火魔法が最上級だ。
俺もスキル数が多いし最上級もいくつかあるのでそこまで驚きはしないけど。
それにHPと攻撃力と防御力にそれぞれ(+1000)が付いているのは恐らく俺と同じく装備しているものからの付与だろう。
そしてテスター能力という項目に千里眼という能力。
俺のいた世界で金目など見たことないから恐らく和虎の右の金目は千里眼ということか。
千里眼の能力が俺の知ってるやつなら・・・俺のことを知っているのは頷けるが、そこはどうなんだろう。
「・・・初めまして。阿久来優人です。テスターに会ったのは初めてで驚きました。」
「くくく、実は俺も初めてなんだ。ああ、そっちの2人・・・マスティフとマリルクロウ様もよろしくな。」
和虎の発言をぽかんとして聞いていたマスティフは話しかけられてハッとして自己紹介していて、和虎を見定めるように見ていたじいさんはニコリと笑って隠蔽魔法を解いた。
「なんじゃ、おぬしには隠蔽魔法が効かんようだのう。マリルクロウ・ブラックじゃ。よろしくのう。」
「ほ、本当にマリルクロウ・ブラックだっ!?」
顔がぼやけていたのがはっきりして驚いたのはレオニダだった。
「アニキから聞いていたけど・・・本当に、あのマリルクロウ様だったんすね・・・。」
そういえばとレオニダのパーティーメンバーが俺たちの後ろからついてきていたはずだと振り返るとどこかに去ったようでいなかった。
後にレオニダに聞いたらパーティーメンバーはレオニダの部下という扱いで和虎とレオニダの許可がないと部屋には入れないことになっているそうで俺たちが部屋に入ったのを見届けて解散したらしい。
「色々と聞きたいこともあるだろうからまあ、座ってくれ。」
レオニダがキラキラした憧れの目でじいさんを見ているのを見て苦笑して和虎が俺たちをソファへとすすめてくれて俺たちは座った。
テーブルを囲む形で2人掛けのソファと1人掛けのソファが2つずつあり、2人掛けのソファに座る和虎の向かいの2人掛けのソファに俺とじいさんが座り、1人掛けのソファにマスティフが座りレオニダは和虎の後ろに立った。
「まずは色々と試すことをさせてすまなかった。」
そう言って和虎は頭を下げてきた。
「・・・まあ、少し飽きたりしましたが楽しめましたので気になさらずに。あなたなりの考えがあってのことと思いますし。」
「色々思うところはあるが楽しめて許してくれるならありがたい。こうなったのは、俺が呼んだんだがすぐに会っちまうと色々とうるさい奴らがいるもんでな。味方でも「No.2であろう者がどこの誰ともわからない奴らと簡単に会うのはどうなんだ」と言う奴もいるし、良く思ってない奴らでも「ダミアーノファミリーに知らないよそ者が出入りしていたら悪影響だ」とか変なことを言い出しかねなかったからな。そう言う意味でもマリルクロウ様が隠蔽魔法を使って正体を隠して来てくれたのはありがたかった訳だ。」
確かに有名人マリルクロウ・ブラックを呼んで会ったとなるとなにかあると思われても不思議ではない。
どこの誰かもわからない俺でさえ呼んで会うと疑われるとは、なかなかマフィアはシビアなんだろう。
「まあ、手紙の主が俺だとをすぐに判明させてここに来て無茶な依頼を解決してくれた訳だから、少なくても味方は文句は言わないはずだ。なんたってグラトニークラーケンを倒したんだからな。」
くくく、と笑った和虎の発言に俺は少し違和感を感じた。
「ちょっと待ってください。・・・その発言、もしかしてサハギンたちの背後にグラトニークラーケンがいるのをわかってて俺たちに依頼をさせたということですか?」
和虎はニヤリと笑って自分の金目を指差した。
「そうだ。この千里眼で見えていたからな。」
「千里眼?確かそれってイービルアイの亜種が持ってる能力だったような・・・。」
マスティフは千里眼と聞いて首を捻りながらそう呟いた。
イービルアイは俺はまだこの世界で見たことないが、ラノベや漫画、ゲームでよく出てくる目玉に蝙蝠の羽がはえた魔物で、邪眼という呪いの状態異常を起こす目を持っている。
それの亜種となると千里眼を持っててもおかしくはないな。
・・・そういえば、神様が最初にチートをくれるときに「この世界にないものはあげられない」と言っていた。
和虎はイービルアイの千里眼をもらったということか。
「千里眼はなんでも見通す目だ。見ようと思う対象の見たいものが見えるなんとも便利な目で、それで俺はサハギンたちの背後にグラトニークラーケンがいることが見えた。」
見たいものが見えるなんて、それはすごいな・・・!
「ただ、見ようと思わないと見えないというのが困ったもんでな。そのせいで見たのは2回目の冒険者たちが行方不明になって残骸が見つかった後に真相が知りたくて見たから、グラトニークラーケンがいるのに気づくのが遅くなっちまった。行方不明になった冒険者たちには悪いことをしちまったな・・・。」
「アニキが気にすることじゃありやせん。アニキは見た後にしっかり遺族へサポートをしやしたじゃないですか。」
和虎が極悪な顔を歪めているのをレオニダが慰めるような言葉をかけた。
・・・というかレオニダ、俺たちと話す時は普通なのに和虎と話す時はなぜそんな子分感の強い口調になるんだ?
癖?なんだろうか。
それにしても千里眼の能力はすごいようだが万能ではない能力だな。
そもそもサハギンの群れ討伐の依頼が出た最初の時点で見えていれば冒険者たちの犠牲は出なかったかもしれないが、冒険者たちが行方不明になって初めて和虎は見ようと思って見てわかった訳だ。
和虎がダミアーノファミリーの一員を失ったことを悔やんでいるのはこのためだろう。
自分がもっと早くに見れたら・・・と思ってしまうのかもしれない。
「グラトニークラーケンの仕業と見えて、これ以上の被害が出ないためにも倒したかったし、あのルートは近々貿易に利用できそうなルートだったからそれもあってグラトニークラーケンだけじゃなくサハギンたちも邪魔だった。が、なかなかランクSの魔物を倒してくれる奴は見つからなくてな。この町にランクS冒険者はいないし近くの町や首都のランクS冒険者は別の依頼をしてて断られちまってどうしたもんかと困っていたんだ。俺が行ってぶん殴ってもよかったが、さすがに危険だとレオニダやファミリーの部下に止められてな。そんでこの近くにいるランクS並みに強え奴を千里眼で探したら・・・あんたらを見つけたって訳だ。それが先週のことだ。」
そう言って俺とじいさんを見てきた。
先週は・・・確かエルフ領から帰ってきてしばらく別荘でのんびりしようと決めたくらいだったな。
なるほど、それで面識もない和虎は俺の存在を知ったということか。
強い奴ということでいうなら確かに俺もじいさんもレベルは和虎より上だ。
「あんたらに事情を書いた手紙を送ろうと考えたが、応じてくれるかわからなかったし、それに見返りもあった方がいいと考えた。だから俺はあんたらのステータスや未来・現在・過去を見て、絶対にここに来てくれるようにあの謎めいた手紙を送ることにした。」
千里眼とはどんなに離れたところにいるものでも透視する目、というのが一般的な意味だがその他に、物事の本質を見抜くことも出来るというのは俺がいた世界のラノベや漫画で読んだことがあったが恐らく和虎がステータスなどを見たのはそれだろう。
あ、だから和虎のステータスの鑑定魔法は初級のままだったということか。
俺のステータスは隠蔽魔法をかけているが千里眼では見えたのだろう。
「え、現在・過去どころか未来も見れるのか!?」
「ああ。見えることは見える。だが未来とは決まったルートがないからあくまで可能性でしかないがな。俺なりに調べて、見えた未来は時間が近ければ確率が上がって遠ければ下がることはわかった。例えばマスティフの明日の朝メシなら90%の確率で見えた通りになって、来週の朝メシなら10%という感じだな。」
いや、別にマスティフの朝メシなんて知りたくないし。
「探してまさかテスターを見つけることになるとは思わなかったし、ましてや有名なマリルクロウ様と一緒にいるなんて思わず驚いたし、なにより優人がこの世界に来てやってきたことに恐ろしさを感じたぞ。まったくもってそんな風には見えないむしろ真逆な見た目だからな。」
「見た目はそう見えるように演出もしてますからね。いい人の方が面白いように人は惑わされてくれますから。」
優しそうで丁寧な物腰を装えば人の懐に入りやすい。
そして優しくしてあげれば相手は勝手に心を開いて隙を見せてくれる。
その隙間に甘いことを囁いてやれば面白いように傀儡となり道化となってくれる。
そしてその道化が全てを失うあの目、あの顔を見て笑うのがとてつもなく楽しいのだ。
「ひっ」
おっと、ちょっと狂気の笑顔が出てしまったようでレオニダが小さく悲鳴をあげたのでいつもの笑顔を張り付けた。
「おっかねえ奴だな。俺とは似ているようで本当に真逆だな。お前はいい人の見た目だが、俺は見ての通りその逆で怖がられたことしかない。だからあっちの世界ではずっとずっとわずらわしい人生だった。」
呆れたように言う和虎は少し思い出すかのように目を細めていた。




