252、悪魔は収穫を手伝う
今更ながら1話あたり3000~4000字って短いかなって急に思うようになりました。
なのでしばらく1話あたり4000~5000字で書いてみようかと思います。
ステータスのHP・MPの数値が少なく計算していたので修正しました。
召喚魔法と付与魔法に満足した俺はグリーンエルフに戻ることにした。
すると空気を読んだオベロンが「面白そうなことがあったら顔を出すぞい」と不穏なことを言ってどこかに去っていったのを皮切りに、精霊たちも『私たちも帰りましょう』『楽しかったぜ!』『お饅頭美味しかったわ』とか口々に言って去っていき、レギオンも台をどこかに片付けて「用があればいつでも呼ぶがいい、我が主よ。」と一礼して消えた。
えらくあっさりした解散だったが・・・まあ、もっと見たいとごねられるよりずっといいか。
そうだ、帰る前に一応ステータスをチェックしておくか。
名前:ユウジン・アクライ(阿久来優人)
種族:人間(魔法使い)
年齢:25
レベル:113
HP:4370(×4)
MP:6640(×8)
攻撃力:780(×4)
防御力:863(×4)
智力:2223
速力:1075(×4)
精神力:401
運:280
超適性:罠魔法・多重魔法・鑑定魔法
戦闘スキル:上級短剣術・上級剣術・中級こん棒術・上級体術・双剣術
魔法スキル:最上級罠魔法・最上級鑑定魔法・アイテム収納魔法・上級火魔法・上級水魔法・中級風魔法・上級土魔法・中級木魔法・中級雷魔法・上級光魔法・初級熱魔法・上級結界魔法・上級召喚魔法・付与魔法・拘束魔法・隠蔽魔法・探索魔法・中級移動魔法・死霊魔法・剣魔法・操剣魔法・最上級多重魔法
取得可能スキル:5
んん?攻撃力と速力に(×4)がついてる・・・?
はっ!そうか、とりあえずどちらも倍にしたが、『倍加の指輪』の効果でさらに倍の4倍になったのか!
道理でさっき戦った時に思ったより速いと思ったわけだ。
そうなると・・・智力が1番低くなってしまったな。
元々は1番高いはずなのに・・・。
こうなると智力も付与魔法で上げるか?
だが、もうローブセット全部に付与してしまったから今から装備を追加しないと付与できるものがない。
アイテムに装備品は一応あるが・・・。
まあ、別に差し迫ったこともないだろうし、今はいいか。
もう今日は色々やった以上にいたメンツに疲れた。
だが疲れた顔をして戻っては勘のいいマスティフに勘づかれると思っていつもの笑顔を張り付けて何食わぬ顔をして戻った。
「・・・お!おかえりーユウジン。どこ行ってたんだよ!っつか、なんか疲れてねえ?それに良いことあったのか?」
・・・勘がよすぎて引くわ。
それから数日間で結界ハウスの中の野菜と果樹ばどんどん育って、コルネリアスの予想通り実が生った。
じゃがいもは試しに掘れば大きいものがゴロゴロ出てきてピーマンなどツヤツヤの大きめのものが生っていて、果樹のリンゴは真っ赤な大ぶりのものがいくつもできていた。
「すごい!これはすごいわ!!」
「こんな大きさ見たことない!」
ヒスラン・カルドが大興奮で収穫しまくってものすごい勢いで収穫したかごが積み上がっていて、コルネリアスも大きさや1つの樹からいくつ生っているとか細かくメモをしつつ収穫していた。
その様子にちょっと引きつつ俺たちも手伝うことにして、俺は土魔法でじゃがいもを掘ってかごに集め、マスティフは皆が収穫したかごをいくつも持って結界の外に置いてって、結界の外ではじいさんはかごをどの野菜かなどを選別しながら数などを把握していた。
因みにヒスランとカルドが来た翌日にコルネリアスはもう1つ隣に同じ大きさの結界ハウスを作り、そっちにはマスティフが村で集めてきた色んな種を植えたらしい。
そっちの結界ハウスにももちろん世界樹の魔力が充満していて明日には収穫できそうなほど育っている。
「皆ー!お昼ご飯作ってきたわよー!!」
午前中は収穫に追われて、気がつけば昼になっていてヘンリエッテが結界ハウスまで来ていた。
手には大きなバスケットを持っていて、どうやらお昼ご飯を作ってきてくれたようだ。
「カツサンドと豆のスープよ!」
ヘンリエッテは肉類好きがこうじて料理も好きなようで、とても美味い。
結界ハウスの中の、収穫を終えて空いたスペースで昼ご飯を食べることにしようとなったので俺は土魔法でイスを作りアイテムからラグを取り出して地面に敷いて食器やマグカップも出した。
ヘンリエッテはバスケットからテキパキとカツサンドを出すと俺の出した食器に次々と置いていき、スープを入れた大きい水筒からマグカップに入れていった。
「おー!でっけえカツサンドだな!」
カツサンドは大口のマスティフでさえためらうほどの分厚いカツが挟まれていた。
マスティフが驚きながらそう言うと、ヘンリエッテはなぜか自慢気に胸をはった。
「ふふん!実はマンモス肉のカツなのよ!」
「「「は!?マンモス肉!?」」」
なぜか俺以外全員が驚きの声をあげた。
「ちょっと待って!マンモス肉って・・・あのマンモス!?」
「ドラゴン並みに分厚い皮膚を持つ高ランクの魔物だよね!?」
ヒスランとカルドがヘンリエッテに確かめるように言った。
「え、まさか!?ヘンリエッテが倒したのか!?」
マスティフの誤解にヘンリエッテは慌てて首を振った。
「わ、私が倒せるわけがないじゃない!貰い物よ!」
「貰い物ねえ・・・。」
そこでなぜかマスティフがジト目で俺を見てきて、じいさんも俺を見てきていた。
「マンモス肉ってめちゃくちゃ美味しいって聞いたことあったから皆で食べたくて!まだまだたくさんもらって家に保存しきれないほどマンモス肉あるから遠慮なく食べて!」
・・・まあ、その貰い手はマスティフとじいさんの無言の視線の通り、俺なんだがな。
グリーンエルフに戻ってきた俺は倒したマンモスをどうしようかと思ってとりあえずいつも解体してくれるエルフに相談してみた。
するとエルフはとても驚いて実物を出してやったらあまりの大きさに1人では無理だと言ってきて、近所の人とかを呼んでそれから今日の朝まで解体をしてくれていたのだ。
途中から肉好きヘンリエッテがどこからか聞きつけて解体を手伝ってくれたりしたので、解体してくれたエルフや近所の人やヘンリエッテにマンモス肉を結構あげたりした。
ヘンリエッテはそれをカツサンドにしたのだ。
ヘンリエッテやエルフたちには肉を多めにあげる代わりに誰からもらったかは口止めしている。
マスティフやじいさんになぜマンモスを倒す経緯にいたったか聞かれるのが面倒臭かったからだ。
オベロンやレギオンどころか付与魔法なんて話したらマスティフは絶対に模擬戦!とか言ってくるのが目に見えているし、下手したらじいさんすら模擬戦をと言ってくるかもしれないなんて本気で面倒だ。
・・・まあ、無言の視線を向けてくるということはバレてるだろうが、シラを切るつもりだ。
「・・・うん、このカツサンドめちゃくちゃ美味しいですね。」
俺は話を剃らすのもあって食べてみたのだが、本当に美味かった。
牛肉や豚肉のいいとこ取りな感じで分厚いし揚げ物だというのにもたれずペロリと食べられる。
「本当だわ!美味しい!」
「うわっ!うまぁっ!!」
ヒスランやマスティフらも食べて次々と感動の声をあげた。
「ミャミャー!」
クロ助だけはカツではなくマンモス肉をそのまま生肉で一口サイズに切ったものをヘンリエッテからもらって、クロ助も美味しい!と歓声をあげていた。
「このスープも美味しいわ。ほどよい塩味ね。」
「ふふ!ありがとうヒスラン。」
「この村はとってもいい村ね。今までやってきた農業の知識も使えるし、住まいは快適だし、村の人たちは皆いい人ばかりだし。ユウジンの誘いに乗って来て本当によかったわ。」
ヒスランとカルドは来た初日だけ宿屋に泊まったが、翌日からは村の空き家に泊まるようになった。
その空き家はグリーンエルフの他の村人たち同様に木の幹に部屋があり、家具もすでにあって広さも2人で暮らすには十分なくらいに広い。
そこを移住が決定するまで無料で借りれてしかも1日3食付きだ。
実はこれらはヒスランらを村に移住させるためにヘンリエッテが手を回してやったことだ。
家具は村人たちの不要になったものをもらってきて揃え、3食はヘンリエッテか近所の料理自慢のエルフが作るようにしているようだ。
そしてヘンリエッテはヒスランらの村の案内をするなど積極的に村を売り込んで、社交的なヒスランらはすぐに村人たちと交流をもつようになってあっという間に村を気に入ったようだ。
一応明日、俺たちはグリーンエルフを出ることになっているのでヒスランらに移住するかどうか決めてもらうことになっているが、この分では移住してくれそうだなと思った。
ある程度食べ進めていくうちに、俺はふと収穫したかごを見て思いついた。
「そうだ、ちょっと収穫したものを味見してみませんか?」
ちょうど今昼食を食べているついでに味見をしてみてもいいかも、と思ったのだ。
「お!いいなそれ!」
「私も食べたい!」
マスティフとヘンリエッテは目をキラキラさせて賛成してきた。
「いいですね!」
「きっと美味しいわよ。」
コルネリアスもニコニコ笑って頷いてきて、ヒスランも賛成してきた。
じいさんもカルドもニコニコ笑っていたので俺は賛成ととって近くのかごをまさぐってじゃがいもを人数分取り出した。
じゃがいもは茹でないと食べられないが・・・鍋をいちいち出すのは面倒臭いな。
魔法でやるか。
俺は水魔法で空中に水の塊を出すとその中にじゃがいもを入れて下から火魔法で炎を出した。
高温を意識したのですぐに水の塊は湯だってきて、炎を弱くしてしばらく放置する。
その間に別の野菜を食べてみようとかごからパプリカとトマトを取りだした。
これらは生で食べられるからアイテムからナイフを取り出して適当に切って皆に差し出した。
・・・うん?なんか皆引いてる?
「ちょ、ちょっとユウジン、それなんなの?」
ヘンリエッテが引きながらじゃがいもを茹でているのを指差している。
「鍋をいちいち出すの面倒だったので魔法でやったんですが?」
「面倒って・・・。それしばらく維持させなきゃいけないから、ちょっとずつ魔力が減っていくじゃない。大丈夫なの?」
例えば夜営などで焚き火をする時に火をつけてからその後は薪を使うことで燃えるので火をつける時に魔力がいるだけですむ。
しかしじゃがいもを茹でている今の俺のやり方だと火が燃え続けるための薪を使ってないので俺の魔力を薪変りにしなければ火は持続しない。
茹でている水の塊も同様に鍋に水を出す時の魔力だけで本来はすむが、俺は塊を維持させているからそっちにも魔力を注がないといけない訳だ。
ヘンリエッテはこれを言っているのだが、まあ俺にはまったく問題なかった。
「俺は『回復の指輪』をしているので問題ありませんよ。」
本当は付与魔法で強化された『回復の指輪』の回復量の方がはるかに上回っているので問題にすらなってないのだが、突っ込まれたくないのでちょっと濁した。
「いやいや、問題ありませんってさらっと言ってる時点で問題だから。さすがユウジンだな!」
マスティフはなぜか目をキラキラさせて見てきていた。




