249、悪魔は付与魔法をつける
レギオンと契約できた俺は召喚魔法はひとまずこれでいいかと、次は付与魔法に取りかかることにした。
付与魔法は物に付与することがてきる魔法で、付与するものは基本的には術者のイメージと魔力さえあれば付与できる。
だが、付与する物には数の制限があって、そこらの店で買える鉄の剣なら1つしか付与できないが、高価なミスリルの剣なら2つ付与できるというように使われている素材の多さやレア素材を使っているものや付与する物自体の希少性などで付与できる数が変わるようなのだ。
そして付与した効果は取り消しができない。
どうしても取り消したかったり別の効果にしたい場合は上書きをする事ができる。
ただ、上書きするのは付与されている効果に似た内容しか上書きはできないようになっているらしい。
つまり、「攻撃力上昇」を「攻撃力超上昇」に上書きできるが全く違う「火属性付与」にはできないということだ。
上書きの場合は新たに付与するより魔力はかからないが、上書き箇所が多いほど魔力が必要となるので結果的に新たに付与するくらいかかることもまあまああるようだ。
付与する効果もイメージがしっかりと定まってなければならない。
中途半端なイメージで付与しようとすると中途半端な効果しか付与できなかったり最悪は付与が失敗してしまう恐れがあるからだ。
そうなると取り消しができないから上書きしなければならず、結局多くの魔力を取られるということになるらしい。
そして強力な効果ほど多くの魔力が必要になる。
これらのことも「神様監修:世界の歩き方」に載っていた。
さて、では付与していくか。
そして俺が最初に目をつけたのは左手人差し指につけている『回復の指輪』だ。
この『回復の指輪』には
HP・MPの回復速度上昇
疲労軽減・疲労回復の速度上昇
状態異常の軽減
以上の3つが付与されている。
どうやらこの指輪自体がレア素材でできているのか希少性がある指輪なのか、ミスリル剣でさえ2つしか付与できないのに3つも付与できるようだ。
俺はこれらの効果を上回る効果を上書きで付与したい。
HP・MPの回復速度上昇は10秒で2回復するのを倍加の指輪を併用して4回復するようになっているが、HPはほとんど攻撃を受けないからいいものの、MPは人より多いものの消費も多くなった今、10秒で4ずつ、というのはチマチマしてて回復しても追い付いてない感がある。
疲労軽減・疲労回復の速度上昇と状態異常の軽減は倍加の指輪で疲労しないし状態異常にならないが、倍加の指輪なしのこの指輪単体で疲労なしの状態異常無効にしたい。
「ほうほう、付与魔法とは面白いのう。」
『小僧がやるならものすごいものができそうじゃ。』
「我らが主ならできるだろう。」
オベロンが石に腰かけてお茶を飲み、ノームもお茶を飲みながらそんなことを言い、レギオンが精霊たちにお茶を給仕している。
「・・・・・・いやいや!ちょっと待ってください。なんでそこはお茶を飲んでくつろいでいるんですかね!?」
『いいじゃないの。あなたの邪魔してないんだし。』
『変わった猫ちゃんもこっちにおいで、お菓子もあるわよ。』
ウンディーネとシルフがそんなことを言い、それを聞いたクロ助が俺の肩からぴょーんと飛び降りてそっちに向かって行った。
「ミャー!」
「ほうほう、猫でも食べられるお菓子もあるぞ。ほれ。」
オベロンはそう言って杖をふるってどこからかお菓子をどんどん出していた。
恐らくお茶を出したのもオベロンか?
「というか、レギオン。あなたはなんで給仕を?」
「軍でも給仕をする者はいる。我らは給仕も鍛えられている。」
レギオンの体の顔の1つがそう答えてきたが、答えになってないような・・・。
・・・もういいや。無視しよう。
付与に集中しよう。
俺は人差し指から指輪を抜いてじっと見つめた。
まずはHP・MPの回復速度上昇を変える。
イメージをしっかりして頭の中で付与したい効果を強く思う。
回復速度に%を追加して、10秒2回復だったのを10秒2%回復にする。
すると頭の中でその効果を付与するにはどれくらい魔力がいるかが浮かんできた。
その魔力は%の追加だけの上書きなのに2万いるようだ。
これも奇しくも勇者召喚に必要な魔力と同じとは・・・。
まあ、回復速度としては%を追加しただけでとんでもない効果だから必要な魔力も上がったということか。
だが、俺はすでにオベロン召喚に2万、レギオン召喚に5000使っていて残りは5000くらいだ。
付与を実行するにしても魔力が足りない。さすがに%は欲張り過ぎたか?
・・・待てよ。そういえば俺はMPポーション持ってるぞ!
MPポーションは全MPの内30%を回復するものだ。
俺が飲めば12000回復するから27000になる。
MPポーション飲めばいけるな。
俺はアイテムからMPポーションを取り出すと飲んだ。
そしてMPが回復したのを確認して付与魔法を実行した。
『我が意のままに魔力よ集え、この指輪の効果に上書きして新たな効果を付与する、エンチャント』
詠唱したのは無駄な魔力を使わないようにしたかったからだ。
俺の手から光が溢れて指輪の中に入り込んだ。
そして指輪から違う色の光が漏れてきて散った。
これで上書きされたということだろう。
確認したらちゃんと10秒2%・・・つまりは5秒1%回復効果になっていた。
なので指輪を装備してしばらく休憩がてら待つ。
・・・よし、全回復した。
それから疲労なし、状態異常無効を上書きした。
疲労なしは5000、状態異常無効は1万かかったが俺にとっては問題ない魔力だったので立て続けに上書きした。
そうして完了した『回復の指輪』に改めて鑑定魔法をかけた。
『回復の指輪』
HP・MPの回復速度上昇(5秒1%)・疲労なし・状態異常無効が付与された指輪。
洗練されたデザインで飽きが来ないのでずっと着けてられますね。
・・・なぜ通販のような分の内容も少し変わったんだ?
そんなことより、ちゃんと上書きされた内容になっているな。
俺は満足して左の人差し指にはめ直した。
そして次は右の人差し指にはめている『倍加の指輪』だ。
『倍加の指輪』は「装備者の身に付けているものの効果を倍にする」というものだ。
この指輪は元々の指輪が普通の指輪の素材で作られているようで、付与できる数は1つのみで倍加効果を上書きするしかない。
疲労なしと状態異常無効にして倍加効果に頼らなくてもよくなったが回復速度上昇が倍加効果で5秒2%になるし、身に付けているミスリルローブセット(改)も倍加効果の恩恵を受けている。
ふむ・・・。もし「効果を倍にする」というのを「効果を3倍にする」という数字を追加できるのか?
・・・頭に浮かんできた魔力量はそこまで高くない。
だが、今すぐ変えたいほどの差し迫ったことでもないし、とりあえず『倍加の指輪』はこのままでいいか。
後はなにか付与しようかな・・・?
と自分を見回して気がついた。
そういえば、ミスリルローブセット(改)はなにか付与されているのか?
そしてセットの1つ1つの付与の有無や付与できる数を確認したら・・・。
ローブには「汚泥耐性強」「魔力自動防御」が付与されていて数は埋まっていたが、その他の短杖2本・ガントレット・グリーブには付与がなく2つずつ付与できるようだ。
せっかくなら付与するか・・・。
今日知ったのですが、付与魔法と召喚魔法を天秤にかける漫画が人気のようですね。
知らずに書いてて魔法が同じでビビりました(笑)
本当に全くの偶然ですのであしからずです。




