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22、悪魔はスクリュスクに着く

俺は10日かかって、首都のスクリュスクに昼にたどり着いた。



道中、子猫が相棒となったので1人寂しくただひたすら歩くというのはなくなって、子猫の相手をしながら魔物が出たら子猫を置いて戦ってみたり、あるいは乗せて戦ってみたりして子猫の脚力の確認をした。

思ったより脚力があるようで、肩に乗せたままある程度の戦闘は可能なようだ。

その他、粉ミルク以外はなにを食べるのか色々やってみると、粉ミルクは飲むし生肉も少しなら食べられるようだ。

口の中を確認したら少し歯が生えていたから、そろそろこちらの猫でいう離乳の時期なんだろうかとか考えてみたりした。


そういえば、名前はクロ助にした。

・・・センスがないのは自覚している。

でもにゃん吉よりはだいぶマシだとは思っている。

そして名付けた後に気が付いたのだが、クロ助はメスだった・・・。

これにはしまったと思って、クロに改名しようとしたのだがクロ助自身が気に入ってしまってクロと呼んでも反応しないので仕方なくクロ助となった。



剥ぎ取りは失敗が多く、スクリュスクの冒険者ギルドの剥ぎ取り小屋で教えてもらうことを考えている。

やはり本と独学では俺にはハードルが高過ぎる。



首都のスクリュスクは、やはり首都というだけあって囲む塀はフラヴィーナの塀より高いし頑丈そうな黒い鋼鉄のような素材で、出入り口の門も両開きで横に10メートルあろうかというほどだった。

その10メートルの門は右側だけ開いていて、そこから出入りしているようで門番がいた。



俺は冒険者カードを出してなんの問題もなく中に入った。


中は首都と言うだけあって、フラヴィーナでも結構な賑わいだと思っていたのに、その3倍近くの賑わいで、至るところで露店が立ち並び10メートル幅の大通りは馬車も行き交うほどだった。

「世界の歩き方」によるとスクリュスクは世界で5番目に大きな都市で、中央には国王のいる城があり、城を囲むように貴族の屋敷があり、その外側に頑丈な塀があって堀がある。

その堀の外側が市民がいる街となる。

街は北側が貴族用商店なところ以外はフラヴィーナと同じで東西に商店と商人の住居が立ち並び、南側の今いるところは市民の住居や宿屋だ。

冒険者ギルドは南側の堀のすぐ前にある広場に面したところにある。


俺は先に宿屋の確保をすることにした。

「世界の歩き方」にオススメ宿屋があったのだが、そこにしたらなにかに負けた気がして、自分で見つけようと思った。

・・・ここまで書かなくていいと思うんだが・・・。



宿屋の表に価格表が出ていたのでそれを参考にして、露店でそれとなく聞いてみたりしてきれいそうな外観と値段と評判を考えて"銀狼の遠吠え"亭に決めた。

フラヴィーナの"金鶏の夜明け"亭と変わらない、高めの値段だがうまい飯があるということで評判の宿屋だそうだ。

都市だけあって、受付にいたのは見るからに屈強な50代のおじさんで用心棒かと思いや、話すと店主のハドソンさんだった。


ハドソンさんと話してとりあえず1週間で契約して、部屋に案内してもらった。

「1人部屋は全部1階なんだ。おめえさんの部屋は1番手前の部屋だ。」

部屋は1人なので少し小さめにしたのでその分安くなった。

「朝食付きだが、昼と夜は好きなとこで食べてくれよ。一応うちは昼と夜やってるけど1食あたり500インもらうぞ。あ、そのチビはミルクならタダで用意できるがどうする?」

ハドソンさんはそう言ってクロ助を指さしてきた。

「では朝食だけお願いしていいですか?一応、粉ミルクあるので昼夜は大丈夫です。」

「いや、粉ミルクは猫にとっての栄養がそこまで入ってないから、ミルクがいいぞ。言ってくれりゃあ昼でも夜でも用意するぞ、もちろんタダでな。」

ハドソンはニカッと笑ってクロ助の頭を撫でた。

クロ助はありがとうと言うように鳴くと、ハドソンさんはおやっとなにかに気付いた。

「このチビ、よく見りゃあ幸運の目の色じゃねえか。「神の使い」に泊まってもらえるならなんかいいことがあるかもな!がははっ」

「そうですね、いいことがあったらいいですね。」

「だが気を付けろよ、幸運にあやかりてえバカが盗んだり奪ったりするかもしれねぇからな。」

その可能性があるのか。

「そうなんですか。用心します、ありがとうございます。」

一応保険として罠魔法かけておくか。




宿屋が決まったら次は冒険者ギルドに向かった。

中には今日は用事がなかったので、剥ぎ取り小屋を探して裏に回ると、小屋というよりは普通の平屋くらいの剥ぎ取り小屋があった。


「すいませーん。」

「あいよー。」

中を開けて声をかけると、奥からじいさんがやって来た。

白髪の長い髪を1つにまとめた口髭を蓄えたシワの濃い見た感じ70歳くらいだが、体型はそこらの若いのよりも厳ついガタイだ。

「見ねえ顔だがここは初めてか?俺はこの剥ぎ取り小屋を管理しているクレッグだ。よろしくな。」

「はじめまして、ユウジンです。これからこちらを利用させて頂くことになると思いますがよろしくお願いします。」

「おう、若えのにえらいちゃんとした話し方だなあ。んで、剥ぎ取りを希望かい?」

「あ、はい。剥ぎ取りをお願いしたいのと、もしよろしければ剥ぎ取りのやり方を教えていただきたいのですが。」

「剥ぎ取りのやり方を教えろだあ?なんでえ、ユウジン誰かに教わったことねえのか?」

「はい。最近本を手に入れて剥ぎ取りをやり始めたんですが、やっぱり本と独学ではどうもうまくいかなくて。」

「そういうことか。いいぜ、剥ぎ取りおめえの持ってきた魔物で教えることになるがな。」

「それで構いません、ありがとうございます。」

「んでえ、今日は魔物は?」

「あ、たくさんあります。俺はアイテム収納魔法持ちなんで、アイテムの中に血抜きだけして入れてます。」

俺の言葉にクレッグさんはほうっ!っと感心して言った。


「おめえアイテム収納魔法持ちか!こりゃ珍しいのに会ったなあ。勇者以外(・・・・)でおめえで2人目(・・・)だ。」



勇者以外でおめえで2人目?


つまり、勇者とそれ以外で1人がアイテム収納魔法持ちということか。


・・・っていうか、この世界にすでに勇者がいるのか。

案外、俺と同じテスターだったりしてな。




・・・なんかそんな気がする・・・。




それから剥ぎ取り小屋の奥でアイテムの中の魔物を全部だした。

因みにアイテムの中の魔物は食料として使えそうなものばかりで、ゴブリンや火の玉なども出て倒したが、どう見ても食料になりそうにないのは穴掘って埋めた。

食料になりそうとアイテムに入れたのはロックバードにクレイジーボア、ポイズンスネークの他、大きな角が生えたカエルのホーンフロッグだ。

「ふむ・・・、ロックバードが10羽、クレイジーボアが5頭、ポイズンスネークが6匹、ホーンフロッグが7匹か。さすがアイテム収納魔法持ちだなあ!こんなに一気に剥ぎ取りすることになるとはな!ふははは!」

引くかと思われたが、クレッグさんが笑ってくれてよかった。

ロックバードは1羽8000イン、クレイジーボアは1頭4万イン、ポイズンスネークは1匹2000イン、ホーンフロッグは1匹1000インで売れた。


ついでに俺が剥ぎ取りしたロックバードとホーンフロッグを出して見せてみた。

クレッグさんはふむふむと俺の剥ぎ取りをジロジロ見て、顔をしかめた。

「ふうむ・・・。本を見ながらやったと言っていたな。その本も見せてみろ。」

「は、はい。」

アイテムから出して渡すとパラパラめくってしばらく読んでいた。

が、すぐに閉じてこちらに投げ返してきた。


「その本は一応ちゃんとまとめられている。後はおめえの慣れが1番だな。」

「やっぱりそうですか・・・。」

「だが俺が細かい裏技を教えてやるんだ。それを覚えて捌いてりゃあその内形になるだろう。」

「ありがとうございます。」



それから夕方近くまで丁寧に剥ぎ取りのやり方を教えてくれた。

時には見本として何匹か捌いてくれたりして、やり方はなんとなく頭に入ったが実際にやってみるとうまく切れなかったりして失敗が続いた。

練習分に1種類につき2匹ずつ置いといたのだが、それが尽きたので今日はここまで、となった。


クロ助は剥ぎ取り小屋を探検したり、邪魔にならない場所からこちらのやっているのを観察したり昼寝したり、好きに過ごしたようだ。


クレッグさんはこちらに指導しながらとテキパキ買い取り用の魔物を捌いていっていた。

さすがプロだな・・・。




剥ぎ取りはまた魔物を持ってきたときに教えてくれる約束をして、剥ぎ取り小屋を後にした。


宿屋に帰ってくると、受付にいたハドソンさんがこちらに気付いておっという顔をした。

「実はおめえさんが出た後すぐに団体さんの予約が入ってな。さっそくご利益があったぜ!がはは!」

「それはよかったです。夕食を食べたいのですが、食堂開いてますか?」

「おう開いてるぜ!チビのミルクもいるかい?」

「ご用意できるのであればお願いしたいです。」

「遠慮すんなって!食堂は俺のかあちゃんがやってっから、かあちゃんに言ったら出してくれるように言ってあるから。」

「ありがとうございます。」

肩のクロ助もありがとうとミャーと鳴いた。

受付で夕食代の500インを払って、食堂に向かう道すがらクロ助に話しかけた。



「「悪魔の使い」にご利益ですって。人間はなにかあったら直前にあったなにかの"せい"か"おかげ"にします。だから、くだらないけど面白いんですよね。ははっ。」

「ミャー?」

よくわかんないっとクロ助は鳴いた。



メスなのに名前がクロ助になったのは作者のミスです。

肩乗り猫はそこまで大きくならないようにしたい→体が大きくならないのはメス→メスにしよう!・・・となったのですが、それを忘れて名前はちょっとだけセンスのない名前がいいな→吉や助をつける→黒いからクロ助だ!・・・となったわけです。

ややこしくてすいません(^^;

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