21、悪魔は小さな者と出会う
さて、歩いている間に説明するとしよう。
今回取得したスキルは4つだ。
上級鑑定魔法
双剣術
剣魔法
初級多重魔法
後1つ取得できるが今すぐ取得したいものもなかったので、保留している。
上級鑑定魔法はそのままで、よりくわしいステータスが見れるようになった。
ガンカーのステータスを見た通り、相手のスキルが見れるようになってので、攻撃パターンがある程度予想出来るようになった。
隠蔽魔法を解いて歩いていたら魔物に遭遇するので試しに使ってみた結果はこうだ。
種族:ロックバード
属性:土
レベル:22
HP:372
MP:99
攻撃力:81
防御力:94
智力:49
速力:67
精神力:39
運:23
戦闘スキル:鉤爪術
魔法スキル:中級土魔法
魔物にスキルがあるのはちょっと驚きだが、鉤爪術って・・・?
魔物は魔物で独特のスキルがあるのだろうか。
なんとなく鉤爪術と書いてある文字をつついてみたらくわしい説明文が出た。
魔物特有の戦闘スキルの1つ。鉤爪で切り裂く、刺す、掴むことで攻撃することが可能。
やはり魔物特有のスキルだったか。
それから色々と文字をつついてみて、魔物は種族名をつつくことでくわしい説明が見ることができることがわかった。
そしてウインドウ自体を色々とつついてみたら、過去の鑑定魔法で見たステータスと見ることができた。
これは後で確認ができるからいいかもしれないな。
双剣術はその名の通り、両手にそれぞれ武器を持って戦う戦闘術を身につけることができるもので、例えば左手は斧で右手は剣なんてのも可能らしい。
俺は他のスキルを見ていた時に試したいことができたので取った。
それが次の、剣魔法を組み合わせたらどうだろう?となったのだ。
剣魔法は魔力でできた刃を生み出す魔法で、剣を持って剣魔法を使うことで魔剣のように刃に魔力をまとわすことができる他、短杖を柄として込める魔力によって刃を生み出し、短剣~大剣のように使え、長杖に魔力を込めて槍や薙刀のように使えるそうだ。
これを双剣術と組み合わせ、短杖2つを剣として使うという考えだ。
普通の剣と違って込める魔力で刃の長さをすぐに変えることができるので、相手によって魔法使いにも盗賊にも魔法戦士にもなれるということだ。
腰の見せかけの短杖を見せかけで終わらせるのももったいなかったのでどうかなと思ったんだが。
試しに腰の短杖を取り出して魔力を込めてみると、短剣ほどの短い刃が出来た。
白い光で出来た刃で、ステータスで魔力消費を確認すると不思議なことに数値は変わってなかった。
・・・?
あ、もしかして。
試しに回復の指輪を外してみると、MPは10秒に1ずつ減っていった。
やはり回復の指輪のせいだったか。
それから剣と同じような長さにするとMPは10秒に3ずつ減っていき、大剣ぐらいの長さにするとMPは10秒に6ずつ減っていった。
そして回復の指輪をつけてみると、MPが10秒に2ずつ回復していった。
つまり、短剣の双剣として使うなら回復の指輪をつけている限り、魔力消費はないのだ。
そして短杖をもう1つアイテムから出して短剣の双剣にして、俺の中の盗賊のイメージで逆手に持ってみようと思っていると、短杖の上から出ていた魔力の刃が引っ込んで下から刃が出た。
どうやらイメージで上からも下からもどちらも切り替え可能で、両方から出るのは魔力消費は2倍になるが出るようだ。
面白いな!
試しに近くに生えていた木を切りつけてみると、感触があまりなかったが、すっぱりと切れていた。
ふむ、まあ、感覚は慣れでどうにでもなるし、切れ味も短剣とほとんど変わらないな。
それからアイテムの中の短杖の中から魔法剣用として扱うのによさそうなシンプルデザインのものを選んでベルトの左右にさしておくことにした。
そして初級多重魔法は、同じ魔法を同時にいくつも使えるもので、俺の得意と化した落とし穴をいちいち1個ずつ作らなくても、同時に作れるということだ。
魔力消費は唱える魔法のMP×いくついるか、なようだ。
初級なので同時に使えるのは10以下がだ10でも十分に役に立つだろう。
歩いて首都に向かっているが・・・なにせ1人なので暇だ。
途中で魔物に出会いはするが俺の能力が異常に高いせいでもっぱら双剣や魔法剣の練習になるくらいだ。
昼間会う魔物は様々だが、倒したら食べられそうなものは血抜きしたらアイテムに入れていって、夜は隠蔽魔法を使って本を見ながら剥ぎ取り方法を勉強している。
この本は、廃城の戦利品の中にあったもので、「初心者にも解りやすい!剥ぎ取り方法」というものだ。
だがやっぱり本を見ながらだと手探りで捌くことになるから、結構ダメになるな。
しょうがないから自分で料理して食べているが、臓器などどうしてもぐっちゃぐちゃになってしまうものは穴に埋めたりした。
返り血や剥ぎ取り作業で結構服が汚れるので、マジックアイテムの『不滅の外套』を着るようにした。
そしたら本当に返り血を浴びても叩くだけで埃のようにはらはらと落ちた。
フード付きで目立たない淡いベージュなのも気に入った。
歩いているとたまに馬車とすれ違ったが、歩いて首都を目指す奴なんていないのか御者にすごい不審な目で見られたので、馬車とすれ違う際は隠蔽魔法で存在を消したりした。
そうして歩いて3日目の昼。
この日もテクテク歩いていると、前の方で馬車が横転しているのが見えた。
不思議に思って近づくと馬車の周りは荷物が散乱していて、血まみれで倒れている人間が何人もいた。
商人らしきメタボの男が腹から血を出して死んでいたり、冒険者らしきレザーアーマーを来た女性2人が背中や首を切られて死んでいたり、御者らしきガリガリの男も手足を切られて死んでいた。
その他、盗賊らしきボロボロの服を着た男の死体もいくつもあった。
どうやら商人の馬車を盗賊が襲ったようだ。
襲われてしばらく経っているのか、しばらく様子を見てみると周りに生きている者は誰もいないようで、しんと静まり返っていた。
俺は一応警戒しながら近づき、馬車の中を確認するが荷物ばかりでどうやら生存者はいないようだ。
馬車の前の方も確認したが、どうやら馬は奪われたようで、繋いでいたと思われる綱は切れていた。
・・・申し訳ないが金目の物はもらっていくことにするか。
商人の死体を調べたが、大したものは持ってなかった。
まあ、冒険者と思われる女性2人を調べたらやっぱり冒険者で、冒険者カードがあったので回収して、武器と盾と少量の道具とお金を持っていたので回収してアイテムに入れた。
御者と盗賊の死体は汚かったので調べたくないなと避けた。
馬車の荷物は盗賊に荒らされていたが、元々高価なものはなかったようだ。
見るとちょっときれいな布とか、調味料とかだった。
それでもなにかあるかと一応布と調味料はアイテムに入れてまだなにかあるかと探して見ると、馬車の隅の方に小さな鉄格子があった。
50センチもない大きさの鉄格子で中を覗いてみると、20センチ位の黒い小さな塊があった。
「んん?なんだ?ていうか、生きてる?」
声をかけてみると、塊はモゾモゾ動いて目を開けた。
「・・・ミャー」
それは小さな猫だった。
全身真っ黒で体長15センチほどの小ささで、紫の大きな目をこちらに向けてきた。
大きさから子猫か?どうして鉄格子なんかに入っているんだ?
試しに鑑定魔法を使ってみた。
名前:なし
種族:猫(子猫)
属性:闇
レベル:1
HP:1
MP:1
攻撃力:1
防御力:1
智力:1
速力:1
精神力:1
運:1
適性:闇
戦闘スキル:なし
魔法スキル:なし
オール1!?
ていうか、HPが1ってヤバくないか!?
これは元々のHPが1なのか、体力がなくて死にかけて1なのかわからないな・・・。
試しにHPを押してみると最大HP20と出た。
死にかけて1か!
なにかを感じて、光魔法の回復魔法を唱えてみたらHPは回復したことはしたが、腹が減っているようでこちらに向かってミャーミャー鳴いてきた。
さてどうするか。
とりあえず荷物を漁ってみると、粉ミルクのようなものがあったので水魔法で水を出して近くに落ちていた商人の食器を使って粉ミルクを溶いてあげようとして、鉄格子が邪魔で入らないことに気付いた。
「・・・ふむ、ちょうどいい、試してみるか。」
俺は腰の短杖1本を手に取ると魔法剣を発動させて鉄格子の端を切ってみた。
少し固い感触がして、少しだけ切れた。
俺は魔力を込めて、長さは短剣のままで切れ味が上がるようにイメージした。
そしてまた端を切ってみると、今度はすっぱりと切れた。
やっぱり!込める魔力とイメージでこういったことも可能なのか。
因みに魔力消費は10秒に6減るという、大剣と同じ魔力消費だった。
俺は魔法剣を解いて短杖を腰にさして、鉄格子の開いたところにミルクを持っていった。
子猫は恐る恐るという感じで鉄格子から出てくると、ミルクをちょっと匂ってピチャピチャと舐めだした。
その間に先程のステータスを見て、種族:猫(子猫)のところを押してみた。
『猫』
世界中どこにでもいる動物。
体長は成猫で30センチ前後でしなやかな体と長い尾が特徴。
人間に飼われている家猫と野生に生きる野良猫がいる。
柄は様々で、真っ白なものからトラ柄・サバ柄・三毛・白黒などあるが、オッドアイで紫と金の目を持つ猫は幸運を呼ぶとされ、「神の使い」と言われ、黒猫で紫の目を持つ猫は不幸を呼ぶとされ、「悪魔の使い」とも言われている。
大きさ以外は変わらないか?
いや、長い尾が特徴とあるが・・・わっ、すげえ長い。
体長15センチほどなのに、尾は30センチぐらいある。
子猫はどうやら不幸を呼ぶ「悪魔の使い」ということで鉄格子に入れられていたようだ。
考えられるのは・・・見世物にするためか、貴族に珍品として売りつける・・・とかありそうだな。
子猫は全部飲み終わって、頭を擦り付けてきた。
親愛の行動だったな。
・・・なんか嫌な予感。
俺が馬車から出ると、ヨタヨタしながらついてきた。
懐かれた。
いや、回復させてミルクやった時点でさっさと馬車から離れたらよかったんだ。
子猫は「ミャー」と鳴いてスリスリしてくる。
正直、猫はあちらの世界で飼ったことがあるくらい好きなんだ。
だからかわいい。
小さいのであちらの世界の猫よりかわいく見える。
「はー。・・・ま、助けた俺に責任はあるということですか。」
俺は苦笑すると、子猫を抱き上げた。
子猫はヨジヨジと俺の体を登って、左肩までくると器用に掴まって座った。
「ん?そこが君の定位置、と言いたいんです?」
「ミャー!」
子猫はドヤ顔で鳴いた。
俺としても子猫は小さいので全く重さは感じないので問題ない。
「そうですか。振り落とされないようにしてくださいね。ふふっ・・・、「悪魔の使い」なら、俺のペットにぴったりですね。」
だがこのままだと面白くないなあ。
・・・そうだ!
俺は隠蔽魔法と光魔法を子猫に使ってみた。
片目を隠蔽して紫とわからないようにして、光の屈折で金の目に見えるようにした。
「ははっ、これで「悪魔の使い」が幸運の「神の使い」になりましたよ。」
「ミャー。」
子猫は光がまぶしいなどの問題はないようで、鳴くと頭を擦り付けてきた。
俺はまた馬車に戻って粉ミルクをあるだけアイテムに入れて、馬車を後にした。
思わぬ旅の友を得てしまったなあ。
ファンタジーの世界の子猫なのでエサであげているものなどについては参考にしないようにお願いします(笑)




