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189、悪魔は運ばれる

「死霊魔法で生き返った!?しかも村人全員!?」


マスティフは信じられないという顔で俺を見てきた。

「この村全体に探索魔法をかけて見ましたが、生きている人間はいないようです。」

「ええ、じゃあ、この村の人たちは全員死んでるってことか?なんで死んだんだ?それになんで生き返ったんだろう?」

試しにお店の中をウロウロしていた老夫婦に聞いてみたが『うう・・・』しか言わず、結局村長を探すこととなった。


村長は村の奥の一回り大きな2階建ての家の側にいた。

頼んできた村長に雰囲気が似ていて若くした感じだったので鑑定魔法をかけなくてもわかったくらいだ。

他の村人たちと同様にふらふらと歩き回っている。

「村長、わしらは隣村の村長にこの村のことを聞いて来たんじゃ。一体なにがあったんじゃ?」

『うう・・・』

老夫婦と同様になにがあったかしゃべらない。

これはちょっとおかしい。

「・・・村長さん、あなたの伯父はどこにいます?」

『隣村に・・・。』

「この村の名物はなんですか?」

『山菜だ・・・。』

「ではなぜあなたは死んでしまったのですか?」

『うう・・・』


やはりおかしい。

関係ないことなら受け答えができるのに、なにがあったかは言えないとは。

「これは恐らく・・・死霊魔法を使った術者に口止めされているのでしょう。死霊魔法を使われた死者は使役されますから術者に絶対に従うものです。」

「それは・・・ユウジンのおかげでしっかりと学んだよ。」

マスティフは一瞬遠い目をした。


「口止めされているということはどういうことじゃろう?術者にとってここの村人たちが死者と知られたくなかったということかの?」

鑑定魔法持ちで探索魔法持ちの俺が察知したから死者だとすぐにわかったが、そんな魔法を持ってない者が来たら死者だと気づかない可能性は高い。

まあ、異常な青白さとウロウロしている様子でおかしいとはすぐにバレるだろうけど。

「ここの村人全員が死者だということは村人以外の者が術者の可能性はありますね。」

「村人以外つったらなんだろう?人か・・・もしかして、魔物?」

「そのどちらかでしょう。」

俺は村長に聞いてみた。

「村長さん、最近魔物は見ましたか?」

『見た・・・。』

「村人以外の人は見ましたか?」

『隣村の者1人・・・。』

恐らく隣村の者1人というのは様子を見に来て隣村の村長に様子がおかしいと話した者だろう。


「人を見てないなら魔物の仕業かもしれんな。ここらで魔法が使える魔物はマジシャンオークくらいじゃが・・・死霊魔法を使えるマジシャンなんて聞いたことがないぞ。」

「もしかしてオーク系がここらにいないのと関係あんのかな?てっきりオーク系の方はオーク狂いの冒険者でも来たのかと思ったんだけどなあ。」

オーク狂いの冒険者ってなんだそれ・・・。

自分が思い当たったような気がするが気にしないことにした。



その時、ウロウロしていた村長がピタリと止まった。


『冒険者・・・。』

なんだ?冒険者に反応した?

「そうそう。村長、冒険者も来てない?あ、俺たちも冒険者だけど俺たち以外でね。」

『冒険者・・・冒険者・・・冒険者!!』

村長の虚ろだった目が突然ギョロリと俺たちを捉えてそう叫んできた。

そして襲ってきた。

「「「!?」」」

俺たちは咄嗟に三方へ避けたので村長の掴みかかろうとしていた手は空を切ったが、目は俺たちを見たままだ。

『冒険者!捕まえろ!』

村長は大声で近くをウロウロしていた村人たちに叫んだ。

『冒険者!』

『冒険者!』

すると村人たちもギョロリと俺たちを見てきて、ぞろぞろとこちらに向かってきた。


「はあ!?なんなんだよこりゃ!?」

「とりあえず捕まえます。」

俺は拘束魔法で村長と村人たちを捕縛した。

それでも『冒険者!』と叫んでうるさかったので口までぐるぐる巻きにした。

地面に転がった村長たちはもごもご言いながら俺たちを見ている。

「うえ~、ユウジンの魔法のおかげですぐ解決してよかったぜ。死者とはいえ村人たちの相手をするのはさすがに嫌なもんがあるもんなあ。」

殺人をしない主義の俺としても例え死者であっても相手はちょっと出来ないな。

「うーん、じゃがこの村人たちはどうする?このままという訳にもいかんじゃろう。」

確かにこのままでは話も聞けない。

「そうですねえ・・・。」


そこでふと、さっきの村長の発言である考えが浮かんだ。


「そうだ、襲われましょう。」

「「は?」」

2人は同時に驚いて俺を見てきた。


「とっとと終わらすのにはちょうどいい方法ですよ。」

俺はそう言ってニコッと笑った。





「おい、本当に大丈夫かよ?ユウジン。」

「大丈夫じゃないですか?襲われたらうまくいったじゃないですか。」

「手足縛られてどこかに運ばれている今の状況が大丈夫だと思えないっての!」

マスティフがプンスカ怒りだしたが俺はうまくいったと思っている。


あれからすぐに拘束魔法を解くと村長たちは襲ってきた。

といっても村長たちは武器を持っていないし殴られるわけでもなく、体を地面に押さえつけられると村人がどこからか持ってきたロープで手足を縛られて馬車に運ばれて荷台に乗せられてどこかに出発した。

馬車は俺たちが乗ってきた馬車ではなく、村にあったボロボロの馬車で馬も死者だ。

村人が御者をして村長ら4人が荷台の後方の出入り口の前を塞ぐように座っていて、さっきまでのギョロリとした目はまた虚ろな目に戻っていた。

ただ手足を縛られて座っているだけの状況で、しばらく俺たちは村長たちの様子を伺っていたが動いてもしゃべっても反応がないのでこうして話しているのだ。

だが、出入り口を塞ぐ村長らに近づいたらギョロリと睨まれたので外には出てはいけないようだ。

因みにクロ助は拘束魔法を解く前に俺の影に潜ませた。


「マスティフ、落ち着かんか。確かにうまくいっておるんじゃからユウジンに文句を言うでない。」

じいさんはやれやれと言った感じでマスティフをなだめた。

「じいさん、本当か?」

「ああ。この馬車は恐らく状況からいって・・・死霊魔法をかけた術者のところに向かっておるんじゃろう。」

「え!?そうなのか?なんでそうなんの?」

「マスティフ、覚えてますか?村長が『冒険者!捕まえろ!』と言ったのを。」

「ああ、それがどうかしたのか?」

「あんなにギョロリとさせて襲ってきたら普通は殺せ!となるところを捕まえろ!と言ったということは、捕縛が目的ではないかと思いました。そして冒険者という言葉に異常に反応したのは村長だけではなかったことから、術者が冒険者という言葉に反応するように村人たちに命じた可能性が高い。そこで、もしかして術者は冒険者を見つけたら捕まえろと命じたのではないかと思ったのです。そして村に村人以外いないので、捕まえた後はその術者のところに連れていくのではないかと考え、だから襲われることを提案したんです。」

「なるほど・・・。危ねえけどわざわざ探すより効率的だ。すげえなユウジン!」

マスティフはキラキラした目で見てきた。

久しぶりにマスティフがキラキラした目で見てくるのを見たけどやはりうざい。

俺がいやそうな顔をすると「なんでいやそうな顔すんだよ!」とまた怒りだした。



そうして馬車に揺られること1時間ほど。


馬車は止まった。

村長らに引きずられるように馬車にから降りると、目の前には大きな廃城があった。




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