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186、悪魔は北上する

2ヶ月以上お待たせしてすいませんでした。

また数日に1度と遅くなるかと思いますが、書いていければと思っております。

よろしくお願いします。

暗闇が支配する廃墟。



その中に蠢く化け物の姿があった。


化け物は血管が浮き出るほど激しくなにかを握り潰し、滴る血を舐める。


憎い、憎い、憎い。

まだ足りない。

こんなもんじゃ足りない。


化け物の周りにはたくさんの人間の死体が積み上がっており、皆苦悶や絶望、痛みに顔を歪めたまま事切れていて、体のどこかが千切れた変わり果てた姿である。


人間たちを怒りに任せて殺しまくったが、まだだ。


憎い人間を殺さないと気がすまない。



息子を殺した人間が憎い。


怒りが込み上げ、悲しみが押し寄せ、化け物の目からは涙が出る。


憎い、憎い、憎い・・・!



化け物は地を這うような声で呟く。


「おお・・・我が息子よ。我が前に現れよ。」


すると化け物の目の前に紫の炎の火の玉が現れた。


『うう・・・いたい・・・くるしい・・・。』

「死してなお苦しむ可哀想な息子よ。その苦しみを癒すためにお前の仇をとってやろう。」

火の玉はメラメラと激しく燃えた。


『ちちうえ・・・あいつをころしてください・・・。あの・・・あくまなような・・・ぼうけんしゃを・・・。』


「冒険者か・・・。人間不精が息子を殺したこと・・・我らヴァンパイアを敵に回したこと、後悔させてやる・・・!!」






*******




宗教国家イルヴァルナスの首都レヴァスティンを出発した俺・マスティフ・じいさんは北にのびる道を馬車で北上していた。


馬車でなく全員で走って行くと言い出したじいさんに、レベルアップしたいマスティフが賛同した時はどうなることかと思ったが、俺の説得に2人は折れて馬車を借りて行くこととなった。

元々商人に成り済まして行くというのに馬車もなく徒歩できたとなったら怪しまれるとかもっともなことを言ってみたりして、最後は俺だけクロ助のドラゴンで先に行くと言うと折れてくれた。

馬車で行くだけでも10日ほどかかるというのに、10日走るなんて俺は嫌だ。


「うーん、久しぶりの馬車は暇だなあ。」

マスティフはそんなことを言いながら馬車内で腕立て伏せをしている。

そこまで広くないので邪魔だ。

全員が御者が出来るということで半日ごとにローテーションで御者をすることになり、今はじいさんが御者で俺とマスティフは後ろに乗っている。

馬車の真ん中で腕立て伏せをするマスティフを隅まで寄って避けて、膝の上ではクロ助がこの状況でもお構いなしに昼寝している。

「ユウジン、次の休憩んときに模擬戦しねえ?もちろん魔法なしで。」

「嫌です。俺はゆったりしたいですから模擬戦したくないですし、魔法なしなら確実に負けますから。」

「えー、ユウジンはもっと筋肉つけた方がいいぞ。」

「俺は魔法使いですから筋肉は必要ありません。」

「えー・・・、じゃあ、魔法ありにするからよ。やろーぜ!」

「だからやりませんって。魔法ありにしたら秒で勝ちますから。罠魔法であなたの首に爆発魔法を仕掛けて発動したら終わりです。」

「そんなのやってみないとわからないだろ!」

なんでそんなに俺と模擬戦したいのかわからない。

「ちょっと試しでやってみて死んだらどうするんですか?俺は人殺しにはなりたくないのでやりません。」

「じゃあ!それ以外で!」

マスティフは腕立て伏せの状態からこちらに手を合わせてきた。

どう見ても土下座しているようにしか見えない。


「ほっほっ、いいではないかユウジン。マスティフがこんなに頼むの珍しいことじゃぞ?」

御者のじいさんは他人事なので呑気にそう言ってきた。

「マスティフはあっさりしたところがあるから普通は断られたらすぐ切り替えるんじゃぞ。ユウジンはよっぽどいい練習相手と気に入られているようじゃのう。」

マスティフがなんか知らんが俺を気に入ってるのは知ってるが、断られたらすぐ切り替えるというのはにわかに信じられない。

ずっと断っても毎朝宿屋に突撃して来て無理矢理模擬戦やられていたからだ。


目の前には土下座のような体勢でお願いしてきているマスティフ。

・・・チッ、こうなったら北上している間ずっとお願いしてくるかもしれない。

そうなったら面倒臭い。


「・・・わかりました。今日だけですからね。」

「!?やったぜ!」

マスティフはパアアと明るくなった。

「どうせならそうですね、新しく取得した魔法を試させてもらいましょうか。」

「えっ!?ユウジン、何か新しい魔法取得したのか!?なになに!?」

グイグイ来るマスティフにそんなに気になるのかとちょっと引きながらも説明した。


俺はこのイルヴァルナスに来てからオークどもを積極的に倒していたし、ジェネラルやマジシャン、キングも倒している。

それによりレベルは上がった。



名前:ユウジン・アクライ(阿久来優人)

種族:人間(魔法使い)

年齢:25

レベル:68

HP:2470

MP:4040(×4)

攻撃力:499

防御力:613

智力:1008

速力:678

精神力:339

運:233


超適性:罠魔法・多重魔法・(取得)鑑定魔法

戦闘スキル:上級短剣術・(取得)上級剣術・双剣術

魔法スキル:最上級罠魔法・最上級鑑定魔法・アイテム収納魔法・中級火魔法・中級水魔法・中級風魔法・上級土魔法・初級雷魔法・中級光魔法・拘束魔法・隠蔽魔法・探索魔法・(取得)中級移動魔法・死霊魔法・剣魔法・操剣魔法・最上級多重魔法


取得可能スキル:2



能力としては智力がついに1000を越え、適性スキルとしては鑑定魔法が超適性になった。

超適性になったことでの変化はほとんどなく、無詠唱で鑑定魔法を使っても1しか魔力を消費しないのがほぼ0になったくらいだ。

それでもまあ、超適性が増えていくのは嬉しいのでよしとするか。

そして普通の片手剣の長さにして戦うこともやってみて慣れたので剣術を上級にして、新たに移動魔法を一気に中級まで取得した。

これはそのまま移動に関する魔法で、初級で移動能力を上げたり短距離の瞬間移動ができ、中級で洞窟などから瞬間移動で抜け出せたり中距離の瞬間移動ができるというものだ。


マスティフと模擬戦する時に試すというのはこの移動魔法のことで、短距離・中距離がどれぐらいの距離をいうのか試して知っときたかったのだ。


「へへへっ!俺結構レベル上がったから強くなったんだぜ!びっくりすんなよ!?」

意気揚々と大剣の手入れを始めたマスティフに俺は呆れた。

「もうとっくにびっくりしてます。どんな特訓したらそんなにレベル上がるのか聞くのも恐ろしいですよ。」

俺はすでにマスティフに鑑定魔法をかけていた。



名前:マスティフ

種族:人間(戦士・黒の一族次男)

年齢:36

レベル:76

HP:3400

MP:210

攻撃力:628

防御力:467

智力:123

速力:221

精神力:193

運:110


戦闘スキル:上級大剣術・中級剣術・上級体術

魔法スキル:初級火魔法・初級闇魔法・隠蔽魔法・上級強化魔法


取得可能スキル:1



ヴェネリーグにいたときは確か50代だったレベルが20も上がるとは・・・。

それにレベルだけじゃなく特訓で戦闘経験も積んだだろうから実力はかなり上がったことだろう。

これは模擬戦は気合いを入れて相手しないといけないかもしれないな・・・。

くそっ、クロ助の経験値上げにオークども回したりしたからなあ。

全部俺が倒していたら70代にはなっていただろう。


そんなクロ助は喜ぶマスティフをチラッとみて呑気にくあっと欠伸をした。



名前:クロ助

種族:シャ・ノワール(悪魔の使い)

属性:闇

レベル:50

HP:1200

MP:180

攻撃力:125

防御力:106

智力:147

速力:202

精神力:93

運:57


適性:闇

戦闘スキル:中級爪術・中級牙術・初級鞭術

魔法スキル:上級影魔法・初級闇魔法



クロ助は生後約1年が経ち、そろそろ成猫になるはずが闇の適性かレベルを上げたことによるものかわからないがシャ・ノワールという魔物へとなったようだ。

シャ・ノワールとは確か・・・俺のいた世界では、フランス語で黒猫を意味するヨーロッパの魔女が連れている使い魔のことで、「魔女の使い」「悪魔の使い」と言われてたな。

それがこの世界では使い魔は魔物と置き換えられて、目のこともあって「悪魔の使い」となったんだろう。

見た目はちっちゃくてかわいらしいし人懐っこくて性格もいいが「悪魔の使い」なんてクロ助には似合わないが、俺のペットとしてはますますぴったりになってきたな。

もう1年経つしレベルも高いから戦わせてもいいかもしれないな。



「おっ!あそこに村が見えるぞ!あそこで休憩にしよーぜ!」

大剣を手入れしながら馬車の前の方を見ていたマスティフはそう声を上げた。





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