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175、悪魔は断罪する2

クラウデン・ギアノート混線ルートです。

ちょっとヴェリゴルートも混線してます。

そしていつもより長いです。

行方不明と言われている貴族全員と話して、パーティ参加した令嬢にまで話を聞いて封筒まで辿り着くとはね。


俺はギアノートの行動力に感心した。

確かに貴族の方は俺が調べてみると言っていたのは覚えているが、ここまで聞き込みを徹底してとは。

約1~2ヶ月ほどしかなかったのに、よくやったなあ。


サインは真似て書くことができるだろうが、印は王家が発行するもので偽造防止で細工がしてあるらしい。

つまり、パーティが教皇主催であるというれっきとした証拠となるのだ。

「行方不明の令嬢たちはどうされたんですか?」

「な、なんのことだ?申し訳ないが、令嬢たちがどうなったかなど知らない。俺は見聞を広めるために若者と話す機会をとパーティを開催した覚えはあるが、話しただけで全員帰らせた。パーティ後に誘われてどこかに消えていったとかいうのも誤解だ。個人的に相談事があると聞いたから、会場の隣室で話を聞こうと誘ったことはある。その時も俺の護衛や執事も同席していたから2人きりではない。」

クラウデンは少し慌てながらもツラツラと言い訳を述べた。


「ほう、個人的な相談事。なぜ令嬢はあなたにされたんです?初めて会った国王の従兄弟様に軽々しく相談事をするなんて、そんな非常識な令嬢いますでしょうか?」

「っ!実際に相談されたのだから非常識な令嬢だったのではないか?」

「はあ。では、猊下はその非常識な令嬢を怒らずに相談事を乗ってあげたと?」

「ああ。俺は気にしないからな。」

端から見たらなんかクラウデンの言い分はモロ言い訳って感じが滲み出てるな。

周りの貴族は懐疑的だ。

どっちを信じたらいいのかと首を傾げる者やどっちが正しいかひそひそ話している者もいる。

だが、薄々クラウデンのほうが怪しいと思っているようでジロジロ見る視線はクラウデンに向けられるのが多い気がする。


「・・・では、令嬢が行方不明になるのが止まった数年前を境に、今度は「魔法真教」総本部のメイドが行方不明になっているのはなぜですか?」

「!?」

メイドの行方不明まで知られているとは思ってなかったのか、クラウデンは一瞬驚いた表情をした。

だがすぐに取り繕うような笑顔になって、返事をした。


「・・・総本部のメイド?なんのことだ?うちで働いて行方不明になったメイドはいない。急に家の用事で辞めて実家に帰ったり、彼氏と駆け落ちで辞めたメイドはいるがな。おかげでうちはメイドが不足していると執事が言っていたのを聞いてはいるが、どのメイドがいないとかはうちは普通の貴族の家よりメイドの数が多いから俺はわからない。」

メイド不足しているのに普通の貴族の家よりメイドの数が多いとは矛盾してないか?

だが、本来ならば行方不明のメイドたちもギアノートのように身元を辿ればそれだけだなにかわかるかもしれないが、メイドの情報は執事が管理していることを考えると教えてくれるとは思えない。

クラウデンが執事に許可を出さない限り情報は開示されないだろうから、メイドを調べるという線からクラウデンが関わった証拠は得られない。

クラウデンが行方不明のメイドはいないと断言されたらこれ以上はなにもできない。


クラウデンは恐らくそれをわかってて断言し、手を出されるのを防いでいるのだ。

ギアノートがスパイを送り込んでいたのは恐らく、これの突破口はないか探らせていたのだろう。

まあ、たくさんのスパイを投入させても難しいことはわかっていたことではあるとは思っていただろうけど。


・・・本来ならば(・・・・・)、ここでギアノートは手詰まりだった。

だが、ギアノートには強力な証人がいるのだ。



「・・・そうおっしゃると思っていました。」

ギアノートはにこりと笑った。

クラウデンはその言葉に訝しい目を向けた。

「陛下!証人を連れてきておりますので、呼んでもよろしいでしょうか?」

急に声をかけられてリュディンスはビクッとした。

「あ、ああ。」

「誰か!隣室の者を連れてきてくれ!」

ギアノートがそう声をあげると、隅に控えていた騎士の1人が慌てて間から出ていった。

「証人だと・・・?誰だ?」

クラウデンは小さく呟いていた。


しばらくすると、謁見の間が少し開いて、1人の男が騎士と共に入ってきた。

青い顔のその男を見て、クラウデンはサッと顔色を変えた。


「お前は!!??・・・サー・・・ヴェリゴ!なぜお前が!?」

「・・・・・・。」

ヴェリゴはクラウデンをチラッと見たが、クラウデンの側に俺がいるのが見えて、慌てて目線を避けてギアノートの方を見た。

「首都の街の教会で神父をしているヴェリゴという者です。」

ギアノートの紹介の言葉に合わせてヴェリゴは軽く一礼した。

「さあ、ヴェリゴ。あなたが知ってることを離していただけますか?」

ヴェリゴは思いっきり冷や汗をかきながら、躊躇うようにクラウデンを見た。

クラウデンは真っ青な顔をして固まっている。

ヴェリゴの視線が俺に来たので意味ありげにニコッと笑った。

ヴェリゴは「ひっ」と小さく悲鳴をあげて震えながら喋りだした。


「わ、私は、教皇猊下が殺した女たちの死体の処理を、ずっとしておりました。」


その言葉に大臣や貴族たちがざわついた。

「教皇猊下は性的欲求を満たすためにパーティで気に入った女を持ち帰って、ひどい乱暴と手足を折るほどの暴行をして殺すのです。それは数年前まで続き、貴族の令嬢に手を出されては後々の死体以外の処理が面倒なので、手近なメイドにと提案して、最近はメイドを乱暴・暴行をしておりました。」

謁見の間にいた貴族の女性は次々と悲鳴をあげて、男性たちも気分を悪くしていた。

ギアノートにもここまで詳しく話してなかったので、ギアノートも眉を潜めていた。

「それは・・・なんともひどい。だが、これで行方不明の謎はわかりました。教皇猊下は行方不明の令嬢・メイドを殺していた。そしてこの神父ヴェリゴに死体の処理をさせていた。死体の処理をしたという神父ヴェリゴの証言は信頼できるものと思います。」


「なぜ、あなたは猊下から死体の処理を任されるようになったのですか?」

「そ、それは・・・。」

ヴェリゴは苦しむように俯いた。

「私と猊下は・・・悪魔教信者だからです。」


「な!?悪魔教!?」

「悪魔教は壊滅したんじゃ!?」

「ひいっ!だから女性たちに乱暴を働いたのね!?」

謁見の間はとてもざわつき、貴族たちは次々とそう声を荒げた。


「ク、クラウデンが・・・悪魔教信者だと・・・?ば、馬鹿な!クラウデン!君は「魔法真教」教皇猊下だよな?悪魔教など、嘘だよな?」

リュディンスは王座からひっくり返るのではないかというくらい身を乗り出して顔色を悪くして聞いてきた。

「あ、悪魔教では、ない!」

クラウデンは苦々しくヴェリゴを睨み付けるとそう断言した。


「俺は「魔法真教」教皇だ!皆のもの、こんな一介の神父の世迷い言を信じてどうする?俺は女性にそんなむごいことをする趣味などないと唯一神に誓う。この神父ヴェリゴが本当に処理をしているという証拠はあるのか?神父ヴェリゴの狂言ではないのか?」

「黙れ!お前こそ、ごちゃごちゃ言い訳を!」

そう叫んだのはヴェリゴだった。

ヴェリゴの目には憎しみが滲み出ていて、クラウデンを睨みつけていた。


「私の孫を・・・クラリスを殺したくせに!」

「なに・・・?クラリス?その名は確か・・・?」

「お前がこの間殺したメイドは私の孫だ・・・!よくも、クラリスを!」

ヴェリゴは涙を流して叫んだ。

一方のクラウデンは知らなかった真実に、唖然とした表情をした。


「し、知らん!そんなメイドはいたかもしれないが、よく覚えてないな。・・・今度は同情でも引く作戦か?孫だろうがなんだろうが、俺はなにもやってないのだからいわれのない罪だ。」


・・・まったく、言い訳が多い。

というか、往生際が悪いというか。

ギアノートも呆れた顔をしてるし、貴族の何人かもクラウデンが完全に黒だと悟ってギアノートと同じような表情をしているぞ。

それにクラウデンは気づいてないみたいだが。


もう書類や物的証拠や証人がいるのだから全部の容疑は確実だろうけど、クラウデン1人が気づいてない様子で否定しまくっている。

このまま否定すればなんとかなると思っているのだろうな。


・・・しょうがない。ハッキリとわからせてあげよう。



「すいません、宰相閣下。」


俺が手を上げたのを、ギアノートは少し首を傾げて見てきた。

打ち合わせにはなかったからな。

っていうか、打ち合わせではクラウデンはここまで否定するとは予想できてなかったのだけれども。

「新たにもう2人、証人よろしいでしょうか?」

にこりと笑ってそう言うと、クラウデンとギアノートがえ!?という顔をした。

同じ表情でも、クラウデンはまだいるのか!?という意味で、ギアノートはここで!?という意味でだ。


「いやあ、今日なにかあるかもとたまたま(・・・・)連れてきてたんですよ。役に立ちそうでよかったです。」

俺はそう言ってクラウデンの斜め後ろに控えていた位置から謁見の間の中央にのびる絨毯まで移動した。

そして自分の影に向かって声をかけた。

「出てきてくれますか?」

すると俺の影の中からずるりと全身黒ずくめの男が出てきた。

黒ずくめの男は虚ろな目をしていたのだが、今はスッキリした目つきで影から出てくると一礼した。

「!?お前は!?」

黒ずくめの男を見てそんな声を出したのはヴェリゴだった。

そう、この男はヴェリゴの影に潜んで実際の死体の処理をしていた男だ。


「ひょんなことから捕まえまして、俺の影に影魔法で隠れててもらってました。神父様の精神魔法にかかって神父様の指示をずっと受けていたそうです。持っていた万能薬を飲ましたらすぐに精神魔法は解けましたよ。」

ヴェリゴは俺の言葉を聞いて、まさか精神魔法を解かれたとは思ってなかったようで唖然としていた。


「・・・自分は神父の精神魔法にかかり、長いこと心を封印されて神父生きた人形として、色々とやらされました。神父の先ほどの証言は全て事実です。」

黒ずくめの男はハッキリとそう言った。


「そしてもう1人なんですが・・・。」

俺はアイテムから白い布に包まれたあるモノをずるずると出した。

ちょっと重いのもあって、絨毯の上にモノを丁寧に置く。

リュディンスを始め貴族たちもなんだなんだ?と俺の行動を見つめてくる。

俺はモノをくるんでいる白い布の一部をめくった。


「っ!?」

「「「ひぃぃっ!?」」」

見た人たちは言葉を失うか悲鳴をあげた。


白い布の中には、死体があったからだ。


「!?・・・リズ!?」

ヴェリゴが晒された顔を見て、そう叫んだ。

そう。死体はリズさんだ。

顔は土色でそこに殴られた痕や血がついてる、痛々しい姿だ。

さすがに首から下はここでみせるわけにはいかないと布で隠したままだが。


「神父様と彼がリズさんを埋めた後、すぐに掘り起こしてずっとアイテムに保管してました。彼女が2人目の(・・・・・・・)証人です(・・・・)。」

俺はそう言って、死体に手をかざすと魔力を流した。

そして呪文を唱えた。



『冥府の者よ、この者を一時的に甦らせ我が下僕とせよ、ネクロマンスィ』



断罪は次で終わるよ。

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