160、悪魔は激怒する
初っぱなから残酷描写です。すいません。
なるべくさらっと書いてます。
そして少し短いです。
リズさんの死体を見て、俺は驚き固まった。
リズさんの状態はそれはそれは酷いもので、顔は相当殴られたのか腫れ上がり涙と血でぐちゃぐちゃで全身に殴られたような痣ができていて、両手両足があり得ない方向に曲がっていた。
その上で乱暴された痕もあった。
ヴェリゴはその状態を見ても平然としていた。
「・・・はあ、またですか。せめて乱暴だけにして下さい。殴り殺しては使い道もないではないですか?」
「それはできんな。俺は女の苦しむ顔がなによりも好きなんだよ。」
クラウデンはそう言うと狂気な笑みを浮かべくくくっと笑った。
「そのための香魔法ですか。この、甘ったるい匂いの充満する部屋によくいれますね。」
「女どもをその気にさせる香魔法なんて最高じゃないか。お前にも見せてやりたかったぞ。トロンとした甘えた顔が俺に殴られる度に苦痛に歪む顔がなんとも傑作でなあ。」
先ほどのことを思い出してははは!と腹を抱えて笑うクラウデンを見るヴェリゴは、呆れているのか侮蔑しているのか、はたまたその両方かそれについては返事をしなかった。
「そういえば・・・こいつはお前の紹介でここで働き出したはずだったか。確か、お前が結構贔屓していた奴じゃなかったか?」
「まあ・・・彼女はとても真面目な信者でしたからね。そういえば、彼女はメイドとして働くのが夢とか言ってたような気がします。だからここで働くのを勧めたんでしたね。でもまあ、使い物にならないならもうどうでもいいですから。駒が一個減った程度のことです。」
「はっ!誰にでも優しい神父様が駒、ね。」
「私にとって家族と悪魔教のこと以外は興味がありません。我ら悪魔教は信者が1人死んだくらいでどうということもありません。」
「くくくっ、なんとも頼もしいサード殿だ。だったら、またいつものようにこれの処理頼む。」
「処理する面倒があるのでもうちょっと控えていただけるとありがたいんですがね。」
「はっ!無理だな。」
クラウデンはくくくっとまた笑うとすっくと立ち上がり、私室の奥にあるバスルームへと去っていった。
「やれやれ。・・・さて、また頼みますよ。」
ヴェリゴが誰かに声をかけると、ヴェリゴの足元の影からぬるりと黒ずくめの人間が出てきた。
鑑定魔法をかけると悪魔教信者の男で、クロ助と同じ影魔法を持っていてヴェリゴの影の中に入っていたようだ。
「・・・。」
黒いフードに黒いマスクをつけていて、表情は一切わからないが目はなにもうつしていないかのように死んだ目をしていた。
黒ずくめはなにも言うことも死体に表情を変えることもなくリズさんの死体を物のように抱えるとヴェリゴの影に沈んでいった。
恐らくこれでヴェリゴが人気のないところに移動して、影から出して埋めるかどうにかするのだろう。
ヴェリゴが去った後、俺はずっと血だまりのベットを見つめていた。
全身の血が逆流して暴れまわるような怒りが込み上げてくる。
目の前が真っ赤になったのを、クラウデンとヴェリゴの会話を聞きながら必死に抑えていた。
抑えなかったら、今頃クラウデンとヴェリゴに5000の攻撃魔法がぶち込まれていただろう。
それほど、俺は一瞬でブチギレたのだ。
ふざけんな!
ふざけんな!
ふざけんな!!
リズさんは楽しそうにメイドをしていた。
総本部で見かける度にニコニコしながら一生懸命働いていたのを見て、勝手に微笑ましく思っていた。
彼女に恋愛としての感情は持ってはいなかったが、仲良くさせてもらったのもあって人として好ましく思っていた・・・のに。
頑張っていた彼女を殺した?
しかも暴力と乱暴のためだけに。
悪魔教は多く殺すことで悪魔にその魂を捧げているらしいが、俺はそれが気に入らなかった。
生きていたらもしかしたらとんでもない素晴らしい絶望を見せてくれるかもしれないのに、悪魔教は簡単に殺すのだ。
俺は無駄にならないなら死は妥当だと思っている。
死を利用できてなにかがあるなら、その死は価値を生む。
価値があるから死を受け入れるのだ。
だからルナメイアが誘拐された時も、悪魔を召喚する価値があったから見守っていたのだ。
だが、悪魔教は無駄に殺す。
それなりに理由がある時もあるが、その死を大事にしない。
今回のリズさんはクラウデンの今日の性を発散させるためと性癖を発散させるためだけに殺された。
その死に価値なんてあるわけない。
明日になればまた別のメイドを殺すかもしれない。
リズさんの死は無駄になるのだ。
・・・気に入らない。
ああ。こいつを絶望させたい。
憎しみや恨みや怒りを混ぜた目を見たい。
・・・そうすることで、リズさんの死は無駄にならない。
俺に、クラウデンを絶望させようと思うきっかけを与えてくれたという価値を。
その時、脳裏に今日の昼間に見たクラウデンの母親と妹の顔がふと浮かんだ。
・・・そうだ、クラウデンの母親と妹を利用してやろう。
・・・ついでにヴェリゴも絶望させてやろう。
元々悪魔教の考えが気に入らなかったから壊滅させようかと思っていたし。
くくくくくっ・・・。
「ミャー・・・。」
腕に抱いていたクロ助が俺を見上げて鳴いた。
俺が狂気の笑顔を浮かべていたからだろう。
なぜだが、大丈夫?と言っているような気がした。
知り合いが殺されて、俺がショックを受けたわけではないのに。
「・・・大丈夫ですよクロ助。知り合いの死なんて初めてではないですし。」
向こうでも見たしな。
翌日は護衛の仕事は休みだったので、朝食をすますと一旦部屋に戻った。
そしてベッドに腰かけて、クラウデンの過去の鑑定魔法をウインドウに出して、名前の文字を押した。
クラウデンの過去が箇条書きでウィキのように表示され、それを読み進めてクラウデンが母親と妹を毛嫌いしている理由を知った。
・・・これは面白い。
絶望させるのに母親と妹は必要不可欠だったことがわかり、俺はますます身に潜む狂気が歓喜するのを感じた。
そして外に出ると久しぶりに冒険者ギルドの裏の剥ぎ取り小屋に行ってみた。
オークの捕りすぎで出禁をくらっていたが、結構減ったそうでまた倉庫がミチミチになるくらい売ってきた。
おかげで普通の冒険者なら飛び上がる金額になったが、俺としては小銭が増えたくらいの感覚だ。
とはいえ、アイテムの中のオークたちの死体はもうないのでまたちょっと狩っとこうと冒険者ギルドでハイオーク討伐の依頼を受けた。
クロ助のドラゴンでハイオークが多くいそうなところや偶然にもオークジェネラルの村があったので突撃して壊滅したりと夕方まで最近の運動不足解消に狩りまくった。
ギルドに討伐証明部位を持っていったらジェネラル5体マジシャン3体ハイオーク50体とあまりの多さに受付にいた職員に引かれた。
それでもまったく減らないオークの方に引いたほうがいいと思う。




