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15、悪魔は困る

アルトクス視点から始まります。


俺はアルトクス。




小さな村の農家の1人息子として生まれたが、小さな頃から農業に全く興味がなかった。

本の中の英雄のほうがキラキラしていて、俺は農家じゃなくて英雄になりたくて常に木の棒を振り回し冒険と称して野山を探検していた。


両親は俺が農家の子にうまれたのだから農家になるのが当たり前だ、英雄なんて何夢見たことを言っているんだと、そんなことより畑を手伝えと何回も言われいやいややっていたが、子供のある時、旅の冒険者が村に来て物珍しさから話した。

そして冒険者というものに魅了され、俺はランクS冒険者になるために生まれてきたと確信した。

ランクS冒険者は人外と恐れられる一方で、未曾有の大洪水が発生し水没しかけた都市を一瞬で水を引かせたとか、1000以上の魔物の群れから町を救ったなどさまざまな活躍をして英雄と言われている。

俺がなるのはそれだと思った。


それからは独学で剣術を身につけ、たまに村に来る旅の冒険者に剣を教わりながら成人の15歳まで過ごし、15歳になると村から飛び出し、国中を旅した。


旅した先々でよく人を助ける場面に遭遇したし、トラブルに見回れたがそれもすぐに解決できた。

やはり俺は英雄になる人間なんだ。

だから人を助ける場面に遭遇するし、トラブルが起きてもすぐ解決したんだ。


仲間もできたし、村から魔法の才があるウィズリーが追いかけてきてくれたし、何もかも順調だ。

レベルも冒険者としてランクも上がって少しずつ知名度も上がってきた。

まだ24歳だし、この調子でいけば30歳にはランクSになれるだろう。


そして知名度を上げるために、ヴァンパイア討伐の依頼を受けて、荷物持ちを募集した。


そしたらどうだ!アイテム収納魔法持ちが来た!

もうこれは運命だ。

俺が英雄になるため神様が寄越してくれたに違いない!

ああ!神様、感謝します!

さっそくパーティに入らないか勧誘したが、返事は依頼が終わったらと言われた。

別に今オーケーしていいのにな?

夜の見張りの時にも勧誘したが、なんだかはぐらかされた?

そんなはずはない、俺のパーティに入るのは運命なんだ。


ユウジンはとてもとてもいいやつで腰も低い。

見た目からして虫も殺せないような優しいやつなのに、魔物はちゃんと戦って殺せていたのには驚いた。

だがなんか、ユウジンには何かあるような気がしてならない。

全面的にいいやつが溢れてるから逆に勘ぐってしまうだけだろうか?



・・・気のせいだと思いたいけどなあ。




まあ、ヴァンパイアとの戦いで俺たちの実力を見てくれたら、ユウジンもすぐにパーティに入ると言ってくれるだろう。



なんたって、俺は英雄になる男なんだもんな!




*********



朝。




ステータスをチェックするとレベルが19になっていた。

ポイント振り分けをしようとしたらウィズリーに呼ばれ、そのまま1人になるタイミングを逃したので、ポイント振り分けできずにいる。

まあ、そのうちでいいか。


朝食を食べて今日も北へ移動し始めた。

朝食の時にアルトクスが言っていたのだが、予定では今日の昼頃には平原を抜けて山の向こう側に到着できるとのこと。

それから山に入って廃城を確認して、その時に夕方まで時間があるなら突入、夕方なら一旦山を降りて、翌日の朝に突入という流れとのこと。

これは夜が得意なヴァンパイアの対策だそうだ。


「ヴァンパイア討伐って難しいんですか?」

「状況によるわね。ヴァンパイア1人なら苦労はないんだけど、グールを配下にしている者が多いから、グールが少数なら問題ないわ。けど10体以上なら難しくなるでしょうね。」

グールはラノベでもよく出てくる、ヴァンパイアの配下のアンデッドの一種でゾンビみたいなやつらだ。

グール1体1体なら彼らも難なく倒せるだろうが、それが数多くしかもヴァンパイアの指示となると難易度が上がるということなのだろう。

「わ、私の神聖魔法で一気に倒しますので、だ、大丈夫です。」

「そうそう、ヴァンパイアは普通に攻撃しても倒せないからめんどうなんだよなあ。リリナの神聖魔法とユウジンに預けた銀の杭だけが頼りさあ。」

「じゃあ、ヴァンパイアとの戦い前になったら銀の杭は全部出しておきましょうか?」

「そうだな。俺が近づいて心臓に杭を打つ作戦だけど、もしものことがあるから、全員持っておいた方がいいかもしれないな。」




そして昼に予定通り平原を抜けることができ、山の麓にたどり着いた。

「もしかしてあれじゃない?廃城・・・。」

山の中腹辺りに廃城と思われる、黒いボロボロの城があった。

木々や蔦で下半分が見えないが、そこまで大きくはないように見えた。


話し合いで明日の朝に突入することにし、下見のために廃城近くまで行くことになった。

「山の魔物はレベル25以上だから、出たら俺らが戦うよ。ユウジンはとりあえず身を守ることを優先してくれ。」

「わかりました。どんな山の魔物がでるんですか?」

「ビ、ビッグスパイダー、ポイズンスネーク、キラービーです。」

いずれの魔物もラノベで出てくる雑魚魔物だ。


そして山に入ると、次々と魔物が現れた。


アルトクスはポイズンスネークの噛みつき攻撃を盾でかわして、スネークに切りつけ倒す。

カルファーはキラービーの大群を弓矢で落とすと、アルトクスを背後から攻撃しようとしていたビッグスパイダーの頭を射ち抜く。

ウィズリーはビッグスパイダーの糸攻撃を火魔法で燃やし、スネークを風魔法で切り裂く。

リリナはアルトクスにかけた防御力向上魔法が切れる前に重ねがけし、ケガをした者を回復魔法で癒す。


うまく連携とれたパーティの行動を見ながら、俺は後方の草かげに隠れてみんなの動きを見ていた。

連携に関しては今のところ俺には参考にならないが、その他のウィズリーとリリナの魔法を使うタイミングを学んび、アルトクスから剣を使って戦う際の立ち回りを学んだ。


と、言いつつサーチをして魔物の位置を確認して、4人の気付かない俺の後方から来ている魔物は5メートル手前に罠魔法で岩を降らしたり火で燃やしたり落とし穴に落としたりして攻撃している。



そうやって魔物を倒しながら山を進み、廃城に続く道を見つけた。

そして城の門まで来て、中の様子を見てみたが、城はしんと静まり返りそれが余計に不気味に見えた。

サーチで城の中を見てみると、魔物の気配をいくつも感じた。

何かわからないが強い魔物が1体、ヴァンパイアと思われる魔物が1体、グールと思われるのが城のあちこちに多数・・・。

正体不明の強い魔物はおそらく俺より能力が高いからわからないみたいだ。

だとしたら"金の栄光"は俺より能力は低いから、この魔物と戦うとなるともしかしたら全滅するかもしれない。


これは・・・ヤバいかもしれないな・・・。


「アルトクス、そろそろ夕方になるわ。」

「そうだな。一旦帰って明日の朝、突入しようぜ!」






そうしてみんなして門から離れた時―――――――




!?




強い魔物が動いた・・・!?


慌てて城を見上げると、コウモリの翼を生やした魔物がものすごい速さでこちらに向かってきていた。


「危ない!!全員左右に避けて下さい!!」


「きゃああああっ!!」


俺の言葉にアルトクス・カルファー・ウィズリーは反応でき、左右に別れたが、リリナは一瞬遅れてそのまま魔物にさらわれた。


「リリナ!?」

魔物は上空で停まると、離れようと暴れるリリナの首を片手でつかんでいた。

人と同じ姿をしているが、髪は銀髪オールバックで真っ赤な瞳に切れ長の目をして色白で、口元からは牙がのぞいている。

中世ヨーロッパの貴族が着てそうな豪華な服を着ていて、大きなコウモリのような翼をバッサバッサはためかせていた。

その姿を見て、アルトクス・カルファー・ウィズリーは驚愕していた。


「ヴァ、ヴァンパイアロード!?」

「なんてこと!?」


俺はすかさず鑑定魔法を使った。



名前:サヴァン・ロード

種族:ヴァンパイアロード

属性:闇

レベル:49

HP:1300

MP:1170

攻撃力:170

防御力:192

智力:306

速力:205

精神力:162

運:88



ヴァンパイアロードのサヴァンはニイッと口元を歪めた。

「人間どもが我の領域に足を踏み入れるとは、生意気になったもんだ。」

「リ、リリナを離せ!」

「領域に足を踏み入れた罰はこの娘の血で許してやる。この至高のヴァンパイアロードの私に吸われるのだ。ありがたく思うんだな。クハハハ!」


サヴァンはそう一方的に言うとリリナを掴んだまま城に飛んでいってしまった。


「おい!待て!クソ野郎!!」

「リリナ!リリナ――――!!」


アルトクスとウィズリーの叫び声が木霊した。



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