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11、悪魔は荷物持ちになる

やっとのことで帰りついた俺は、早速剥ぎ取り小屋に向かった。


中はガランとしていた。

「すいませーん。」

奥に向かって声をかけると、職員のイルミが慌ててやって来た。

「ごめんなさいね、今日は剥ぎ取りが少なかったから奥でくつろいでたわ。」

「こちらこそ、くつろいでた時にすいません。剥ぎ取りと買い取りをお願いしたいのですが。」

「はいはい。確か・・・ユウジンだったわよね?モノは・・・確かアイテム収納魔法持ちだったはずよね、出していいわよ。」

「あの、それが数が多いんですが、大丈夫ですか?」

「数が多い?なんの魔物をどれだけなの?」

「クレイジーボアを27頭なんですが・・・。」

「クレイジーボア!?27頭!?」


イルミに場所を空けてもらって、実際に27頭出したら引かれた。

「ええ・・・、マジじゃない。これあんた1人でやったの?」

「ああ、はい。手っ取り早くお金を稼ぐのに、剥ぎ取りを利用したらいいかなって思いまして・・・。」

「あんた借金でもしてるの?えらい金額になるわよ、これ。」

「え、そうなんですか?借金はしてないですけど、ある程度持ってたら安心かなって思っただけなんですが・・・。」

「ある程度どころじゃないわよ。クレイジーボアはランクCだけどかなり美味しいから人気高級食材として流通してるのよ。あ、もちろん全部買い取りでいいわよね?」

「はい、それでお願いします。」

イルミは全部の状態を丹念にチェックして、うーんと唸った。

「じゃあ・・・剥ぎ取り料は1頭50インだから、27頭だから1350インもらうわね。で、1頭5万インで買い取るから、27頭で135万インね。」

「・・・・・・は?135万!?」


今度は俺が驚いた。

「あんたが持ってきたのはそういうことよ。このまま27頭一気な市場流したら価格崩壊が起きるから、ちょっとずつ流さないといけないくらいなことなのよ。」

「え、ええっ!?」


ここではたと気付いた。


アホみたいな量の魔物をとってきて剥ぎ取りしてもらってものすごい金額を得る、テンプレ展開をまさに今、やってるじゃないか!!!





俺は頭を抱えながらもその金額でいいと言って、ものすごい金額を受け取ってしまった。


やるつもりなかったのに!なんか恥ずかしい・・・!





ものすごい金額をアイテムに押し込んで、冒険者ギルドに入った。

急に金額の問題は解決したが、レベルアップはまだやりたい。


掲示板を覗いてみると、やはり日帰りで行ける距離の討伐依頼にいいのはなかったが、気になる依頼を見つけた。


「ヴァンパイアを討伐するにあたって荷物持ち募集」というものだ。

ランクCの冒険者パーティがランクCのヴァンパイアを討伐することになったのだが、この町から歩いて3日かかる山の奥に行くため、食料などを持つ荷物持ちにを募集している、というものだ。

ランクは不問で基本的に戦闘に参加しなくてもよくて荷物さえ守ってくれたらいい、とのこと。


ふむ・・・、ランクCの魔物がどんなものか見たいし、ランクCの冒険者パーティの動きも見たいし、なんなら今後のために剣術も教わっときたい。

ランク不問なら俺でも立候補できるし、荷物は・・・アイテム収納魔法のことを話したら確実に採用してくれるだろうな。

ちょうど明日で宿屋の連泊が終わるから、ここらで町の外で寝るという経験もしときたいから、パーティに臨時で入れてもらうのも色々そこら辺も教わるチャンスかもしれない。


その冒険者パーティは酒場の1番奥に座って待っているので、希望するなら声をかけてくれと依頼書に書いていたので、その依頼書を持って酒場に移動した。

そして1番奥にいた4人組に声をかけた。


「あの、この依頼書を読んで声をかけさせていただいたのですが・・・。」

4人組の中で同い年ぐらいの青年が俺の言葉にガタッと立ち上がった。

「それ、俺たちが出した依頼だ!いや~、来てくれて嬉しいよ!」

金髪で短い髪に赤い目の、なにかのマンガの主人公のような明るいイケメンで、平均身長の俺より背が低く、使い込まれた白い鎧を身につけ、腰に剣をさして背中に盾を背負っていた。

「俺はこのランクCパーティ"金の栄光"のリーダーやってるアルトクスだ。」

ニカッと明るい笑顔の元気なしゃべり方だ。

俺は無詠唱で鑑定魔法を使ってステータスを覗いた。



名前:アルトクス

種族:人間(戦士)

年齢:24

レベル:36

HP:1380

MP:100

攻撃力:180

防御力:118

智力:41

速力:48

精神力:70

運:42



レベル36か!数字の偏りはさすが戦士というか。

というか同い年か。この年でランクCってすげえ戦ったってことか、すごいな。


続けて一緒にいた青年も自己紹介してきた。

「俺はカルファー、よろしくなあ。」

緑の髪の痩せ型のタレ目の青年で、レザーアーマーを着ていて背中に弓矢を背負っている。

タレ目のせいかヤル気ないような顔で気の抜けたようなしゃべり方だ。



名前:カルファー

種族:人間(狩人)

年齢:30

レベル:38

HP:1040

MP:360

攻撃力:100

防御力:79

智力:88

速力:191

精神力:89

運:75



狩人かあ。

MPと智力が少なくないから、魔法も使えるのだろう。


後の2人は女性で、カルファーに続いて自己紹介してくれた。

「私はウィズリーよ。よろしくね。」

黒髪の長いサラサラヘアーの女性で、魔法使いらしく黒の三角帽に黒のローブを着ていて身長よりも長い、赤い石の埋め込まれた木の杖を持っている。

切れ長の目が特徴の美女でちょっと強いしゃべり方だ。



名前:ウィズリー

種族:人間(魔法使い)

年齢:26

レベル:32

HP:840

MP:1120

攻撃力:49

防御力:86

智力:200

速力:68

精神力:110

運:37



智力200もあるし、魔法使いなら魔法のこともなにか教えてもらえないかな?


「わ、私はリリナと言います。よ、よろしくお願いします。」

茶髪で肩まで髪をのばした女性、というか少女みたいなあどけなさが残る見た目だが、内向的なのかオドオドしながらこちらに自己紹介してきた。

青いローブを着ていて短いが装飾がきれいな杖を腰からさげていた。

守ってあげたくなる系の美少女でどもったしゃべり方で俺と同じ敬語だ。



名前:リリナ

種族:人間(僧侶)

年齢:22

レベル:30

HP:700

MP:1000

攻撃力:35

防御力:71

智力:172

速力:60

精神力:102

運:50



僧侶がいるならヴァンパイア討伐は大丈夫だろうな。

でも内向的なようだが戦いになったら大丈夫なんだろうか?

まあ、レベル30だから心配するのは失礼か。



「俺はユウジンと言います。先週この町に来て冒険者登録したばかりです。」

俺の言葉に4人ともえっ!?って顔をした。

「な、なあ、レベルいくつか聞いていいか?」

「レベルは18です。」

クレイジーボアのおかげでレベル12からレベル18になっていたのを町に帰る道すがら確認した。

まだポイント振り分けもスキル取得もしてないけどね。


「俺たちの約半分のレベルかあ・・・。大丈夫と思うか?」

アルトクスが3人に投げ掛けると3人とも頭をひねった。

「う~ん、これから行くところを考えるとギリギリ大丈夫とは思うけど。」

「でも、私たちの荷物持てるかどうか疑問よ。あなたそんなに力持ちに見えないけど・・・。」

「わ、私もそう思います。」


「俺は弱いのわかってますから、皆さんの荷物を守るのに専念します。皆さんは皆さんで連携とかあるでしょうから、邪魔にならないようにします。荷物に関しては任せて下さい。アイテム収納魔法持ちなんで。」

俺がそう言うと4人が目を見開いて驚いた。

「え!?ちょっと、ユウジンお前、アイテム収納魔法できるのか!?」

「ええ。ほら。」

俺はアイテムウインドウを出してポーションを実際に出した。

4人ともお口あんぐりして見ていた。


「なんてこと!幻の魔法を使えるなんて!」

「すげえ!初めて見たぞ!」

「あんたすごいな。」

「いえいえ、ただの田舎者ですよ。これとちょっとの魔法しかできませんし。」

「いやいや!十分すごいから!」

「ち、因みに容量はどらくらい入るんですか?」

「えーと、15m×15m×15mですね。」

レベルが18にレベルアップしたからそれにともなってアイテムの容量も増えていた。

これも道すがら確認済み。


「すごい!それなら十分過ぎるくらい入るじゃない!アルトクス、彼にしましょ!?」

「そうだな!つーことでユウジン、採用だ。よろしくな!」

「あ、はい、こちらこそよろしくお願いします。」

「つーか、年近いよなあ?だったら敬語はいらないぜ?」

「ああ、この敬語は普段からこういうしゃべり方でして。気にしないでくださいね。」

「へえ、そうなんだ。リリナと一緒じゃない。」

「わ、私は人と話すのって緊張するから、その現れなだけですよ。」


それから少しだけ一緒に飲んでコミュニケーションをとって、明日は午前中に食料などの買い物をして、午後から出発との話を聞いた。

それから4人と別れて宿屋に帰った。


夕食時に間に合い、夕食のコロッケ定食を食べていると、ティーラがやって来た。

「ユウジンさん、明日で連泊が終わりますが、どうされます?連泊延長されますか?」

「それが明日から依頼で町を空けることになりまして。1週間くらいかかるかと思いますので、その依頼が終わったらもしかしたらまたお世話になるかもしれません。」

「あら、そうですか。ララはユウジンさんに懐いていましたが、依頼ならしょうがないですからね。頑張って下さいね。」

「ありがとうございます。」




部屋に帰って寝る前に、ステータスのポイント振り分けとスキル取得をやった。



名前:ユウジン・アクライ(阿久来優人)

種族:人間(魔法使い)

年齢:24

レベル:18

HP:500→720

MP:710→990

攻撃力:93→131

防御力:107→148

智力:147→198

速力:124→175

精神力:83→119

運:48→81


超適性:罠魔法

戦闘スキル:中級短剣術

魔法スキル:(取得)中級罠魔法・中級鑑定魔法・アイテム収納魔法・(取得)中級火魔法・初級水魔法・中級土魔法・初級雷魔法・(取得)初級光魔法・隠蔽魔法



一応ポイントをまんべんなく振り分けているので、HP・MPは僧侶のリリナ並に低いが能力は万能型になっていると思う。

罠魔法と火魔法を中級にしたことでどちらもますます役に立つようになったはずだ。

特に罠魔法は中級になったことで、今まで触れたところしか罠をはれなかったのが、俺から半径5メートルの範囲内ならどこでもはれるようになり、過去にさわったことのあるところや物なら遠隔で罠をはれるようになった。

そして一応万が一の保険にアンデッドに効果のある神聖魔法を含んでいる初級光魔法をとった。

この魔法は暗いところを照らす魔法も含んでいるので、今回の旅にちょうどいいだろう。




明日からはどうなるか、楽しみだがチートで能力が高いのがバレないようにしないとな。




俺はある罠魔法を枕にはって寝た。





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