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悪魔はフェニックスと話す

隠蔽魔法で存在を隠蔽しているが、俺たちがわかるのか?



いや、よく考えたら「不穏な気配を感じた」と言っていたから俺たちが見えてるわけではないようだし、フェニックスはこちらを見ているが目線は合ってはいない。

まあ、レフィやレフィの兄もなんとなく察知していたから、感覚でわかってる可能性はあるか。



・・・まあ、話したかったし、ちょうどいいか。



俺は自分にかけた隠蔽魔法をフェニックスにだけ解いて、フェニックスの声を俺以外に聞こえないように隠蔽魔法をかけた。


「さすがフェニックスですね。すいません、あなたに会いたくて隠蔽魔法でカルディルについてきました。」

フェニックスは突然現れた俺にとても驚いていた。

『!?・・・隠蔽魔法で、とは。そんな使い方があるとはな。うん?』

フェニックスは違和感に首を傾げた。

「あなたの声にも隠蔽魔法をかけさせてもらいました。あなたの声は今、俺にしか聞こえません。」

『いつの間に・・・!?無詠唱か。それにしても魔法を使う素振りも見せず使うとは・・・お前、何者だ?』

「俺はユウジンといいます。ただの冒険者ですよ。」

俺がそう言って微笑むと、フェニックスは訝しい目で見てきた。


『・・・魔法を使ってまで、我に会いに来るとは何用だ?』

「あなたにも王子にも危害を加えるつもりはありません。ただの興味本位ですが・・・あなたがなぜ、特殊な能力を隠しているのか気になりまして。」

俺の言葉に、フェニックスはピクッと反応した。

『お前・・・我の能力を知っているのか!?』

そう言うということはやっぱり持ってるのか。

神様に確認したから持ってるとは思ってたけど。

「再生能力ですよね?まあ、有名ですし。俺の住んでたところでは。」

フェニックスは当てられて驚いていたと思ったら、なにやら考えだした。




『お前、もしや・・・・・・テスター、か?』



今度はこっちが驚いた。

思ってもみなかった言葉に思いっきり目を見開いてしまった。

『その反応・・・どうやらテスターで間違いないようだな。』

チッ、動揺してテスターだと思われて当然の反応をしてしまった。

ていうか、テスターの存在を知っているとは・・・。

「な、なぜ、テスターの存在を知っているんです?」

『数十年前に当時いた火山に、我の姿を見るためだけにわざわざ火山を登ってきた人間がいたが、その者が「自分は異世界から神によってこの世界に来たテスターだ」と話していた。「自分の世界ではフェニックスは再生能力で有名だ」「この世界は自分がいた世界の小説などを反映させて作られた世界だ」とも言っていた。』

そのテスター、ものすごい口が軽いな。

それにしても、数十年前にテスターが会いに行っていたとはね・・・。

年齢を考えると、数十年前に火山を登るくらい体力があったことから、今は年寄りになってるか?


『我は能力を隠してランクCの稀少な魔物としてこの世界に知られている。だから我の能力を知っているのはテスターだけのはずだ。だからお前はテスターなのだと思ったが・・・テスターはその後見てなかったが、その者以外に会うことになるとはな。』

なるほど。だから俺がテスターだと思ったのか。

これは迂闊に能力を知っていると言った俺のミスか。


「・・・確かに、俺はテスターです。ですが、今はただの冒険者としてこの国の内紛に成り行きで巻き込まれているだけですから、そのテスター同様あなたの姿を見て話したいだけです。」

『お前まで会いに来るとは・・・そんなに我はお前たちの世界で有名なのか?』

「はい。小説やゲームや神話で多く登場しますし、某漫画で有名ですし。」

『まんが?』

おっと、この世界に漫画はないんだった。

「えーと、絵で描かれた書物と思って下さい。」

『そうか。だから我を見に来るのか。・・・我が能力を隠しているのは、余計な争いを避けるためだ。』

「余計な争いとは?」

『昔の我はランクSとして日々、我を倒そうとやって来る冒険者たちの相手をしていた。だが我に近づくだけで我の火に焼かれて死んでいった者たちはあまりに多く、苦痛で死んでいく姿があまりに不憫で能力を隠すことにした。能力を隠してただの火属性の鳥のフリをして倒されて、冒険者たちが去った後に再生能力で生き返るのを数百年やったらあっという間にランクCになっていて、世界的にただの火属性の鳥の魔物として認識されるようになった。それによって、冒険者が我のところに来ることがほとんどなくなったのだ。』

ふむ、冒険者の無益な死を生まないために、能力を隠すことにしたのか。

ていうか、ランクSに挑む冒険者が多かったというのが驚きだ。

昔の冒険者はかなり無鉄砲だったんだなあ。


「なるほど。ではなぜ、そんなあなたが今は王子に使役されているのですか?」

『我がこの国の北の山脈に数年前に住んでいた時に、ヒースティが鳥を使役しようと山の深いところまで来てしまって遭難したのを我が見つけたのだ。ヒースティの優しい心根に心打たれて、自ら使役を願い出たのだ。』

まあ、ヒースティが優しいのは雰囲気にカルディルとの会話でひしひし伝わってきたから、フェニックスが気に入りそうなのもなんとなく納得だ。


・・・あ、だったらヒースティにではなくフェニックスに聞いてみよう。


「そうだ、フェニックス。あなたに聞きたいことができました。」

『うん?なんだ?』

「実はヒースティ王子の父親のグラエム王が、なにやら実験をしていて・・・―――――――」


俺は魔物と人を掛け合わせる実験のことや実験場を探していることを話したい。

フェニックスは知らなかったようでかなり驚いて、特に魔物と人を掛け合わせる実験というのが気に入らないようで不機嫌になっていた。


『あの王にはなにか気に入らない雰囲気を感じていたが、そんなことをしているとは・・・!許せんな!』

「フェニックスはグラエム王に会ったことがあるんですか?」

『ヒースティに潜んだ状態でしか会ったことがないがな。気に入らない、なにか淀んだ雰囲気を感じていたから、ヒースティにも注意はしとけと言っといたんだが、予想以上のことをしているとは・・・。』

どうやらフェニックスはなにかを感じていたようだ。

この様子では、どうやら実験にヒースティもフェニックスも関与していないようだ。

となると、これ以上ヒースティとフェニックスには用はないからグラエム王の書斎に行こうかな。


「色々話していただいてありがとうございます。これからグラエム王の書斎に忍び込んで実験を暴こうと思ってますから退散させていただきます。」

『む、そうか・・・。実験を暴いてくれることを願っているぞ。』

俺はフェニックスの声の隠蔽魔法を解いて、俺の隠蔽魔法をかけ直した。


「ん?ユウジン、なんかしゃべってたか?」

「いいえ?」

一応、マスティフに聞こえないようにしといてよかった・・・。

特にテスターなんて聞かれたら面倒だからな。

「なんかヒースティ王子とカルディルはさっきからずっと談笑してんな。今のうちにグラエム王の書斎に忍び込んだほうがよくないか?」

どうやら俺とフェニックスがしゃべっている間、ヒースティ王子とカルディルは思い出話をしていて、それをマスティフはずっと聞いていたようだ。

「そうですね。メイドや執事もヒースティ王子とカルディルに注目していますから、今のうちがいいでしょう。」


俺はサーチを使ってひと気の少ない裏口から館の中に入り、3階の奥に書斎があることがわかったので向かった。

問題は・・・。


「書斎に鍵がかかってないといいですけどね。」

「うわー、それショックだわ。」

書斎の前は誰もいなかったので、入る絶好のチャンス!



・・・だったのだが・・・。


ガチャガチャ




「鍵、かかってますね・・・。」

「ええー!?」




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