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9、悪魔は囁く

主人公の本性全開になります。御注意を。

町に戻ってギルドで依頼完了の手続きをして、報酬をもらった。


ファイアラット討伐10本で500イン、薬草採集10本でこれも500インで、合計1000インだった。


夜まで町を散策したりして時間を潰した。

因みに鑑定魔法で見た3人のステータスはこうだった。


名前:クレバス

種族:人間 (戦士)

年齢:35

レベル:20

HP:780

MP:60

攻撃力:125

防御力:98

智力:36

速力:42

精神力:69

運:23


名前:ザグ

種族:人間(戦士)

年齢:40

レベル:24

HP:810

MP:80

攻撃力:112

防御力:106

智力:50

速力:47

精神力:89

運:30



名前:イバル

種族:人間(盗賊)

年齢:29

レベル:19

HP:590

MP:130

攻撃力:73

防御力:89

智力:70

速力:131

精神力:93

運:51


火傷男がクレバスでザグとともにいかにもなパワータイプで、イバルが痩せ型だってのでスピードタイプといったところ。

こう見ると、俺はだいたいレベル10くらいで彼らより能力が高くなる計算になるな。

となると単純計算にはなるが、俺は普通の人より2倍能力が高くなるというわけだ。

さすがチート。

とりあえず、レベル20くらいになったら町で1番強いくらいにはなるかもしれないな。

別に町で1番強くなったらところでな話なんだが、目標にしてみよう。




そして1度宿屋戻って夕食のエビフライ定食を食べ、ランタンを借りてまた森にやって来た。


3人入っている穴と2人入っている穴は無視して1人だけ入っている穴に近づいて蓋を解除した。

男は力なく座っていた。

俺はニタリと笑ってしまった。


「すいません、また食料全部とられちゃいました。あいつなんて餓死しようがどうでもいいから寄越せって。」

「・・・そんな、あいつらが・・・そんなこと。」

「本当に言わないと思いますか?彼らの性格なんて、あなたが1番わかっているでしょう?」

「・・・。」

図星かな?

クズは仲間同士で信頼しあってるわけないもんな?


「彼らは命乞いをしてきましたよ。助けてくれって。だから試しに「仲間のうち誰か犠牲になるなら」って言ったら、皆さんあなたを指名しましてね。」

「そ、そんな・・・うそだ・・・!?」

「俺としても、このまま皆さんを穴から出してもまた襲われる可能性がある。だから見せしめとして誰か1人に犠牲になってもらおうかと考えましてね。なので、あなたを見せしめに殺したら皆さんを穴から出すと約束してしまいました。すいませんが、恨むなら仲間を恨むんですね?」

俺がニヤニヤ笑いながらそう言ったら、ガタガタ震えだした。


「いやだ・・・!殺さないでくれ!」

「そうですよねえ、死ぬのは嫌ですよねえ。」

「ああ!いやだ!死にたくない!!」

「だったら、明日穴から出してあげますから、あなたが皆さんを殺すんです。そうしたら、あなたを殺さないであげます。」

「な、なんだと・・・!?」

「あなたを差し出した仲間なんて、あなたの命より大事ですか?殺せますでしょう?」

男は動揺していた。

「明日の昼にまた来ます。その時にあなたを穴から出しますから、どうしたいか教えてくださいね。」

俺はそう言って微笑むと、蓋をして真っ暗にした。


これで明日面白い光景が見れたらいいなあ。






俺にとっては、待ちに待った昼。


森に行って3つの蓋を開けた。


どの穴の中の奴らも憔悴しきって座り込むか倒れていた。

そりゃそうだ。飲まず食わず2日目だし。

しかもずっと真っ暗にしていたから精神にさぞやキただろう。

人間は飲まず食わずは3日が限界ってことだし、さすがに明日おいといたら死んじゃうからなあ。

別に死んでも土魔法でそのまま埋めたらいいんだけど、ただ死なすのも面白くないし?

この世界に来て初めての絶望、見てみたいもんねえ。


俺は土魔法で1人だけ入っている穴を底上げして、男を這い出させると穴を埋めた。

そして笑顔でおにぎりと水の入った革の水筒を取り出した。


「さて、どうするか決まりましたか?あなたが殺るなら、コレあげますよ。」

男はおにぎりと水筒をガン見しながら言った。

「あ、ああ・・・!殺る!殺ってやる!だからそれをよこせ!」

「はいどうぞ。」

これから殺るなら体力つけとかないとね。

男は俺から奪うようにおにぎりと水筒をとるとものすごい勢いで食べた。

水筒の水も口から溢れるほど飲んで、夢中で飲んで食べていた。

あ、革の水筒は今日の午前中に町を散策してたら雑貨屋にあったので買った奴だ。

露店によってはお茶も売っているところもあるので、この水筒に入れてもらえば出先でお茶も飲めるようになるというわけだ。

そしてあっという間におにぎり3つ食べた男は少し落ち着くと、腰に刺していたロングソードを抜いた。


男は無言で2人が入っている穴に自ら飛び込んだ。

「・・・?お、おい?」

憔悴して座っていた2人が困惑する中、男は1人の心臓を刺した。

「ぐあああっ!!」

「おい!?なにしてる!?」

男は答えずもう1人も刺し殺した。

俺はそれを見届けると、土魔法で底上げして男を出して2人の死体ごと穴を埋めた。


男は続いて3人が入っている穴に飛び込んだ。

「!?なんでお前・・・!?」

男が降りると座っていた3人はフラフラと立ち上がった。

男は黙ったまま、痩せ型イバルの首をはねた。

「お、おい!?お前なんで!?」

「・・・よくも俺を差し出したな!」

男は火傷男クレバスを睨んでそう言った。

「差し出した?何の話だ!?」

「しらばっくれんな!俺なんて餓死してもどうでもいいからそんな風にとぼけてるんだろう?クソ野郎め!」

「落ち着け!何のことを言ってるんだ!?どうでもいいとか思ってない!」

「俺は知ってんだ!前々から俺のことを馬鹿にしてからかって。お前が俺の恋人にちょっかいかけたから別れたなんて1度や2度じゃないぞ?挙げ句の果ては食料を全部横取りしたらしいなあ!ふざけんな!もうたくさんだ!殺してやる!」

男はそう吐き捨てて、クレバスに襲いかかった。

クレバスは慌てて腰の剣を抜こうとしたが、間に合わず腹を刺された。

「ぐわっっ!!」

「このっ!落ち着け!」

ザグが斧を振りかざすが、憔悴しているので動きは鈍く、男はそれをかわして切りつけ、倒れたところで心臓を刺した。

「かはっうぅっ・・・や、やめてくれっ」

クレバスは刺された腹をかばいながら後ずさるがすぐ壁にあたり、男に心臓を刺されて倒れた。



「いや~、なかなかの戦いでしたねえ。面白かったですよ。」

俺はその一部始終を上からずっと眺めていた。

「・・・これでいいだろ。早く底上げしろ。」


でもねぇ、本当に面白いのはこれからなんだよ?






「え?なんでですか?」


「は?」

「俺は底上げするとは一言も言ってませんよね?君が勝手に穴に飛び込んでったんじゃないですか。」

「あ?ふざけんな!全員殺したら俺は殺さねえっつっただろ!?」

「ええ。それは守りますよ。君を殺しません。でもねぇ、君を穴から出すと約束してませんよね?だから君はこのまま穴にいるのですよ。」

「な、何を言っている!?」

「もともと、俺は誰も殺す気はありませんでしたし。」

「・・・は?」

「そもそも、よく回りを見てください。食料を食べた痕跡とかありますか?」

男は慌てて回りを見回すが、そのような痕跡がないことに気付く。

「な、ない!?なぜだ!?・・・お、おい、まさか。」

男は顔を真っ青にして俺を見上げてきた。


その目に絶望・恐怖・驚愕・憎しみが混ざってて、見るだけでゾクゾクする。

やべえ、うまくいきすぎてテンション上がるわ。


「うははははっ!その顔がたまんねぇわ。そうだよ、食料なんてうそだし、お前に話した内容は俺が適当に言ったうそさ。お前は自分の命のために仲間を殺したけど、残念、無駄な人殺しだったわけ。そして仲間は無意味な犬死にして、誰にも見つからず埋められて。死んでも誰も悲しまないんだから、しょうがないよな?だって、金ふんだくって生きてる奴らに同情する人いるかな?いないよね?わははは!今頃町では平和になったって言ってるんじゃないかな?」

「そ、そんな・・・。俺は相当な覚悟をして、殺したのに・・・。」

「相当な覚悟?俺を殺そうってときはさっさと決まったのに?同じ命なら何が違うの?仲間なら殺さないとかなにその綺麗事。俺は殺しはやらないけど、殺すなら例え親でも道のアリンコと同じくらいな感じで殺さないと。それが覚悟じゃねえかなあ?」

「お前、狂ってる。もう、いやだ・・・殺してくれ。」

「だから俺は殺しはやらないって言ってるだろ?殺したら俺の大好きな絶望が見れないじゃないか。お前を殺したら絶望から救われちゃうじゃないか。」

「うるさい・・・!頭のおかしいこと言いやがって!だいたい、なんで俺に目をつけた!?」

「君がたまたま1人で穴に落ちたからかな?1人って心につけ入れやすくなるだろ?ここの人間の絶望を見たくて、それで仲間を犬死にさせるプランを考えたら、見事にうまくいって俺、超幸せだよ。ははは。」

「っく!?ちくしょう!!」

「そうそう!悔いて悔いて悔いて、絶望して!特別に今日はこのままにして上げる。明日の朝、今度は本当に穴から出して上げるから、それまでに自分が殺したら仲間と一夜をともに過ごしたらいいよ。」


俺はそう言って、蓋をした。

いや~!テンション上がったなあ。

なかなか素晴らしい絶望だったなあ。

この世界の人間は生死が身近にあるからか、ちょっと心が強いように思うな。

そのぶん、絶望への反動が大きくて、これからが楽しそうだ。



この世界に来てよかった!








次の日の朝、穴を見に行ったら、男は自ら剣を喉に刺して死んでいた。


俺はつまんなくてさっさと穴を埋めた。



人によっては不快な内容、後味の悪い内容になってしまって申し訳ありません。

主人公の身勝手な価値観・倫理観を書きたかっただけで、こういったことを推奨しているわけではありません。

もちろん、自殺も推奨していません。


主人公はこういうキチガイ人格破綻者だと、こういう奴なんだと割りきって読んでいただけるとありがたいです。

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