移ろいゆく日常B 思い出ありしとこ
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「ただいまー」
玄関の扉を開けてから家に帰ったらの定番、ただいまを言って洗面所に向かう。
「おう、おかえりおかえり」
リビングと洗面所の間、廊下を洗面所に向かって進んでいると、リビングの扉から流れるような茶髪の長髪を軽くかきあげて姉が現れた。
俺の姉、大空 四季音。
俺と同じ高校、富士宮北富士高校の三年生、実は生徒会副会長、らしい。
「うん、ただいま〜」
めんどくさいしお姉ちゃんとはあんま話したくないので素っ気なく話しを流す。
「ほんと、最近の春は塩対応だよね〜」
「はいはい」
実は、お姉ちゃんこと四季音は学校では超が付く程人気があるらしい。
弟の俺はこの姉が何故に人気あるかがまったくもってわからない。
「お姉ちゃんねぇ、塩対応されてさマジつらみだわ〜」
「あぁそうですかぁ」
棒読みで姉ちゃんの言葉を流しながら鞄をそこらに置いて、手を洗う。
「挙げ句の果てには棒読み? お姉ちゃん泣いちゃうよ」
「勝手につらたんしててくださいなぁ」
お姉ちゃんから逃げるようにささっとうがいを済ませる。
「お姉ちゃんこの後、友達とご飯食べに行くからさ、留守番よろしくねぇ」
「はいはい、どうせ飯はチンして食べろ、でしょ?」
タオルで手とか拭いて鞄を手に取る。
「制服、ちゃんと掛けなさいよ、いつも汚いんだから」
「はいはい」
もう、と言わんばかりの顔をする姉の話しを流しながら校則ギリギリの茶髪(地毛)である姉の横を通り過ぎ、自室がある二階へと階段を駆け上がる。
♢
私服に着替え、夕飯を食べ終えた頃。不定期に聞こえる声がまたしても頭に響く。
—— 魔導書……せ。………おま…魔力…覚醒…時……手……ろ……待っている ——
「はぁ、またかよ」
ここ一週間なんべんも聞いてる声に飽き飽きとしてきた。
自分が使った分の皿を洗い終わり、さて蜜柑を食べながらYouTubeでKA◯TOさんのツッコミ動画を見てゲラゲラ笑おう、と思ったのも束の間。
ゴトン
階段の裏にある半地下と言っていい部屋から何かが落ちた音が響いて来た。
「なんか物でも落ちた? ……それとも、ケロベロスでも居るとか?」
最近、魔法少女物を見たせいかそういう発想に至ってしまった。
「……そんなことないか」
あはははと軽く笑いながら現場へ向かう。
何故向かうかって? そりゃただの好奇心。
「えーと、電気電気っと」
照明のスイッチを押して暗い部屋に明かりが灯る。
少し埃臭い匂いが辺りから漂う。
ここの部屋はおれん家のアルバムとか小さい頃のおもちゃとがある部屋、よく言う階段下倉庫とかそうな感じの部屋である。
「さぁ〜て、何が落ちたんやろ?」
好奇心に身を任せて音の正体を探す、手始めに入り口付近を捜索する。
あいも変わらず少し埃臭さが鼻にくる。
ふと、途切れ途切れだった不定期な声が、
—— 魔導書をさがせ。………おまえの魔力が覚醒する時、その手で掴んでみせろ、思い出ありしとこにて待っている ——
鮮明に聞こえた。
「あれ? 声がちゃんと聞こえる」
入り口のとこから奥の本棚へ向かおうと歩みだした時、言葉が綺麗に繋がった。
「魔導書をさがせ。………おまえの魔力が覚醒する時、その手で掴んでみせろ、思い出ありしとこにて待っている、ね〜」
この部屋で思い出といえば、今向かっている本棚のアルバム以外ない。
てかここまで来なければちゃんと聞こえないって、電波弱すぎね?
まぁ、このご時世Wi-Fiとかの電波によって雑音が混ざるのかもしれないけども。
そんな考えを巡らせながら本棚を眺めると一冊だけ、ほのかに橙色の光が帯びている本がひっそりと置いてあった。
「あれが、魔導書?」
後書き話しコーナー
春の姉、四季音は料理できる等女子力が高いらしい、けども怒らせると怖いらしいですよ