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プラナリア  作者: りんごちゃん
ツインズ城静
58/386

新宿地下道1

同日

「ちょっと!待ちなさいよ!」

八城は麗の静止も聞かず前に出る。

一体を切り飛ばしすかさずもう一体も返す刃で切り裂いた。

一段落付いた所を見計らい、八城は麗に問いかける。

「何だよ。好きなだけ暴れて良いって言ったのはお前だろ」

「そうは言ったけど限度ってものがあるでしょ!あんた自分の隊員に指示も出さないでどういうつもりなのよ!」

「指示は出しただろ?」

七十一番隊の隊員達は一つに塊四方から来る敵を各々で撃破している。

連携が取れているとは言えないが九十六番隊の隊員がカバーしているので、やられる心配はないだろう。

「あんたねえ!自分の身は自分で守れ!なんてのが指示なら、誰も指示なんて求めないのよ!」

「でも、あいつらもそれで何とかやってきてるしな……」

「あいつらって八番隊の事?呆れた!あんた自分の隊員にそんな指示しか出してない訳!」

「いや!もう少し具体的ではあるよ!後ろに行けとか前に出ろとか」

「あんたのそれは指示じゃないわよ!」

「じゃあ何が指示なんですか!」

八城は深いため息を付く。

だから嫌だった。

見も知らない七十一番隊の隊員を預かるなど、八城にとってお荷物以外のなんでもない。

数ヶ月前まで、八番隊にも指示を出す事の出来る隊員が居たが、89作戦で居なくなってしまった。

「いい?今私の隊員が先行して1キロ先の様子を見に行ってる。ここから進むべきは奴らが極力少ない道を選ぶの!分かる!」

「そんなの分かってるつうの!だからこうしてお前の指示通り敵を倒してんだろうが!」

「違います!私が倒して欲しいのは向こう!こっちの敵を幾ら倒したところで意味が無いのよ!」

「でも来てるなら倒さないといけないんじゃないんですか!」

「あんたが倒さなくてもいいのよ!あんたは自分の隊の面倒を見なさいよ!」

ぎくしゃくしながらも問題なく進んで行く。

というのも的確な麗の指示で死角無く敵を撃破し、それでも足りない所を八城が己の技で補う。

この二人、釣り合いが取れているにも関わらず、仲が悪い。

一人の隊員がおずおずと前に出て指示を乞いに来る。

「あの隊長報告が」

「なに!」

「なんだ!」

二人から吠えるように怒号がその一人に降り掛かる。

「お前じゃないだろ?こいつは、俺に聞きに来てんだよ」

「あんたな訳無いでしょ!まともな指示が出せる様になってから出直してきなさいよ!」

「どちらでもいいですけど、次の指示を……」

「休憩よ!」

「休憩だ!」

ほぼ同時に言葉が重なる。

「真似してるんじゃないわよ!」

「そっちこそ何のつもりなんだよ!」

睨み合う二人をその場に置いてその隊員は全員に休憩の指示を出す。

十分程言い合いの後。

結局八城が折れることになった。

「とにかくあんたは私の指示に従うより先にあんたはあんたの隊員の事だけ考えなさい。」

「分かった、分かりました!そもそもお前がこんな形で無理矢理引っ張って来なけりゃこんな事にはならなかっただろうが!」

「何か言ったかしら!」

「言ってねえよ!おら!集まれ七十一番隊、作戦会議だ!」

小休憩を取っていた七十一番隊を周りに呼びつける。

「お前ら死にたくないよな?」

八城の言葉は唐突だった。

そして隊員の心を掴むに十分な言葉だったと言える。

「お前らが死なない為のとっておきが有るんだ。少し付いてい来い!」

そう言って八城は七十一番隊の隊員を連れて近くのドラッグストアに入っていく。

そうして入って来たドラッグストア内で七十一番隊は困惑を露わにしていた。

「これは何度も俺の窮地を救ってくれた代物だ」

八城が神妙な面持ちで告げる。

「だが気を付けろ。こいつは諸刃の剣。使い方によっては自分自身を窮地に追いやる事もある」

八城はそれを入れた口を堅く結びつける。

「だが使いこなす事が出来れば、お前ら一人一人でもツインズを足止めする事も出来るかもしれない。」

七十一番隊の隊員も真剣その物でその手付きを真似して掻き混ぜる。

「濃度を間違えるなよ。効き目が薄くなるからな」

八城は真剣その物だ。その空気は七十一番隊全員に伝播していた。

「これは最後も最後の手段だ。決して見誤るな。的確に使い的確に離脱する。いいな?」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「了解です」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

その問いかけに総勢20名の七十一番隊の隊員の声が揃った返事が返って来る。

案外悪くない。

何よりどんな手段を持ってしても生き残るという気合いが見て取れる。

そういえば、百番隊を助ける為に七十一番隊はツインズと会敵したと聞いている。

この二十人はツインズの恐ろしさを身に染みて分かっているのだろう。

何が何でも生き残りたいという意思が見て取れる。

「全員持ったか?」

八城が全員を見渡し各自がそれを持っている事を確認する。

「よし!行こう。」

八城がドラッグストアから出て来たのは丁度三十分後。休憩時間ギリギリいっぱいまで全員で作業していたことになる。

「あんた達あんな所で何してたのよ。」

「秘密兵器を作ってたんだ。」

「秘密兵器?何でも良いけど、もう出発するわよ?」

「大丈夫だ。準備は出来てる。」

そう言って八城は、七十一番隊を引き連れ今回の作戦地である新宿を目指す。

今回の作戦地。

大食の姉が目撃された場所。

新宿地下道に。

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