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プラナリア  作者: りんごちゃん
ツインズ城静
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旧古4

そう説明する良の言葉を紬は黙って聞いていた。

「だから多分だが一華は何か奴らについての情報を握ってると俺は踏んでる」

そう言った良の言葉の紬は可愛らしく首を傾げた。

「それなら、なおさら八城君に助けを求めるべき」

「おいおい嬢ちゃんそれは駄目だ。八城が絡むと必ず一華と切り合う羽目になる」

「なぜ?切り合ったとしても八城君が勝つ」

紬は何を言っているのか分からないと言いたげに良を見つめていた。

「おいおい話を聞いてたか?切り合って貰っちゃ困るんだよ。俺達が欲しいのは情報なんだ。等の本人を斬り殺されたんじゃ意味が無いだろ、それに……」

東雲八城では野火止一華に勝てない。良は出掛かった言葉を引っ込める。

「でも、本当に一華が求める情報を持っている?」

「それが分からないから本人に聞くんだよ。それに八城が傷つくのは嫌だろ?」

そう言う良の顔には笑顔が浮んでいる。

良はこの身体になった時全てを諦めた。だがその考えが変わる出来事が起きた。

それは二回。

どちらも八城が関わる事の顛末だ。

一つは89作戦時。

あの時良は住人を連れて8番街区から9番街区まで住人を護衛していた。

良は最後尾。最も奴らの侵攻が激しい一区画を受け持っていた。

だがその当ては、ツインズの襲来によってことごとく打ち砕かれる。

全15の団体で移動した住人だが、中間に居た6、7、8の団体は全てがツインズの餌食となった。

そして隊の後方で前進を断念せざるを得ない状況になった良はツインズの足止めの要となった最終防衛ラインである孤児院に応援に駆けつけた。

だがあまりにも距離が離れすぎていた。

良が孤児院に着いた時には、片腕とその手が持つ量産刃を奴らの体液で汚れきった八城がその場で立ち尽くし。

負傷し泣きじゃくる八番隊の隊員一名が孤児院の中で踞り。

そして屋上に居る紬が残った奴らを撃ち殺していた。

八番隊の今まで見知った隊員がそこかしこで倒れている。

倒れている八番隊員の中には、頭を撃ち抜かれた者が殆どだが、中には一刀の元で頭部を切り離された者も居る。

一体何をしているのか。その時良は強く感じていた。

戦いの中で守らなければいけない命はここにもある。

戦い、守らなければならない心がここにあった。

そう感じたのが三ヶ月前。

そして先日の多山大39作戦。

良はその全容を聞いた。

「最悪なのは未来の担い手達を何もせず失う事だ」

谷川とか言う代表の女性が言っていた言葉らしい。

そして八城達は不可能だと思われていた多山大の子供達を救出してみせた。

多山大39の39は救出作戦に参加した人数だという話だ。

話では紬、時雨、桜もその作戦に参加したと聞いた。

良はその39人を誇りに思う。

そして、八城をこの先を担って行く若い命を何もせず失う事は、もう雨竜良には容認できない。

だから諦めていた命をもう一度燃やすことにした。

きっと次は灰も残らず燃やし尽くす事になるのかもしれない。

だがこれは……これだけは譲る事が出来ない。

もう長くないこの命。

先を照らす若者のほんの少し先を照らす事が出来るならきっとそれが雨竜良の命の在り方だ。

紬は少し思案した後

「分かった協力する」

と紬は良の提案を承諾した。

「悪い助かる」

良の額には玉のような汗が滲んでいる。

最近では痛み止めの効果が薄くなって来ている。

それは良の身体に限界が近い事を示していた。


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