表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鋼鉄少女王 タイタンメイデン  作者: 鳳たかし
3/68

鋼鉄少女王 タイタンメイデン 第一話 鋼鉄の女神 その2

 自室の窓から覗き込む巨大な少女『ガミオン』を横目で見ながら

キョーコは腕を組み、今はジャージ姿のタケシと名乗る謎の少女と向き合っていた。


「これ、本当に周りからは見えてないのね?」


何度目だろうか、キョーコはガミオンを指差し念を押す。

ガミオンはリンクした少女タケシの体を使い答える。


「ああ、光学迷彩機能でカモフラージュしている。

 この部屋の中から以外、私の姿は視認出来ないはずだ」


「ならいいんだけど」


キョーコはガミオンの答えにひとまず納得し、再びタケシとの会話を続けた。


「んで、その問題点とやらが、タケシとは似ても似つかない、その女の子の体だったってわけだ?」


「そうみたい」


「つまり、今までの話をまとめると、

 宇宙人同士の抗争があって、その結果宇宙船の一部が地球に降り注いで、

 タケシはそれに巻き込まれ体の大半を失ったから、

 それが治るまで、その美少女の体に意識だけ取り付いて、

 本当の体の代わりに使っているって事でOK?」


「大体あってる」


苦笑いのタケシを無視し、大きくため息をつくキョーコ。


「でも、だからといってこのガミオンの言う事を一から十までまるっと信用してもいいの?

 もしかしたら何か裏があるのかも……」


「疑い深いね」


「悪い?」


「いや、慎重なのはいいことだと思うよ」


タケシの体を通し、ガミオンが口を開く。


「では、一つの証拠として現在のタケシの姿を見せよう、窓の方へ来てくれ」


指示に従い、キョーコとタケシは窓の方へと移動し外を見る。

ガミオンができるだけ腹部を窓の方に寄せると、緩やかなカーブを描く美しい腹部に亀裂が走り

ガシャガシャと音を立ててスライドし、その内部が露出する。

機械が密集する小部屋のようなスペースに鎮座するカプセル状の器官、

そこにあったのは肉体の大部分を失ったタケシの本体。

腕はちぎれ、下半身は吹っ飛び、背骨が露出し、

臓器がデロンとはみ出して体の各所に様々なコードがつながっている。

おまけに体の横にはちぎれた腕も浮かんでいた。

虚ろな表情には生気がなく、一見すると赤い溶液に浮かぶ死体そのものであった。

ユラユラと揺蕩う死体にしか見えない肉体。

しかもかなりグロい。


「ギャーーーーー?!キモイ!怖い!やめてやめてバラバラな死体なんてみせないで!」


戦慄し、目を塞ぎ叫びを上げるキョーコ。



「ちょ?!死んでるとか言わないで!我ながら怖くなっちゃうじゃん!」


涙目で抗議する少女タケシ。


「わかった!信じる!信じるから、それしまって!」


「死体のように見えたかもしれないがタケシの肉体は生命活動を完全に停止してはいない。

 それは保証しよう」


キョーコの希望通り死体?をしまうガミオン。

落ち着くため呼吸を整えながらキョーコが呟く。


「でも、ちゃんと生きてるんだよね……よかった」


続けてキョーコが言う。


「わかったわガミオン、あなたを信じる。

 信じるとして……タケシはこれからどうするつもりなの?」


「うん、それを考えなくちゃと思うんだけど……」


沈黙する二人。

だがその沈黙を破るかのようにタケシのお腹が鳴った。


「取り敢えず、昼食にしない?」





 普段着に着替えた二人は、食事を取ろうと街へと繰り出す。

少女タケシがキョーコに連れられてやってきたのは割と有名なラーメンショップ。


少しお昼時を外している時間帯のためか、

店内には客がまばらに席に着き、黙々と食事をしている様が見て取れる。

設置された少し古い型のTVモニターからは隕石騒動を報道するニュースが流れていた。


なれた感じでテーブル席に着き、スマホをいじり始めるキョーコ。


「あちゃー」


キョーコが苦虫を噛み潰したような表情で言った。


「学校で生徒二人の所在がつかめていないって大騒ぎだって。

 多分これ、私たちのことでしょ。

 連絡入れとかな……」


ブツブツ言いながらテキパキとスマホを操作するキョーコ。


「あと、ニュース、一通りチェックしてみたんだけど、

 学校だけじゃなく、いろんな所に空からの落下物があったって。

 だからひっきり無しにサイレンが鳴っていたのかぁ……あ、でも奇跡的に人的被害はないって」


「ここに被害者が一人いるけどね」


苦笑いを浮かべるタケシ。


そうこうしているうちにテーブルにギョーザ付きでラーメンが二丁運ばれてくる。


「でもラーメン屋とは意外だな」


「はぁ?何それ、新手のイヤミ?」


「い、いや、そんなつもりじゃないけどさ、なんかもっとおしゃれな店とか行く人だと」


「うっわ、それ逆に偏見!ラーメン屋さんに失礼」


「い、いや、ごめん」


「それに昔はよく二人でラーメン食べてたじゃん!親がいない時とかさぁ」


「うん、そうだったね」


今では疎遠な二人であったが、

小学生の時、タケシの両親もキョーコの両親も共働きで家にいないことが多く、

時々帰りが遅くなることもあった。

そんな時、二人はどちらかの家に泊まり、出前でラーメンをとって夕食を済ませていたものだ。

懐かしい記憶を思い出しながらタケシはラーメンをすする。


「アンタ、ちょっとお行儀悪くなったんじゃない?」


「へ?」


「食事をするときはまず『いただきます』でしょ?」


「あ、い、いただきます」


慌てて言い直すタケシにキョーコは満足げに頷きながら答える。


「はい」


キョーコの家ではいただきますの挨拶の後、

母親が返事をする。

だからキョーコもそれを真似て返事を返すようになったのだろう。


「で、あらためて、これからどうするの?」


「うん、とりあえずは家族に自分は無事だと伝えたい」


「住むところとか、学校とか、どーすんの?」


「え?」


「9000時間だっけ?その姿のままなんでしょ?

 なら、タケシとして家にも学校にも行けないんじゃないの?

 それとも正直に全部打ち明けてみる?」


「でも、こんな現実離れした事、信用してもらえるかな?」


「信用されたとしても、その後で人体実験とかされちゃったりするかもね。

 よくて見世物扱い、かな?」


「ちょ、ちょっとぉ~怖いこと言わないでよォ~」


涙目で抗議する少女タケシに向かってキョーコがペロッと舌を出す。


「いっそガミオンに話つけてもらう?」


「不特定多数の地球人との接触は、できれば避けたいのだが」


少女タケシ口を借り、ガミオンが口を挟むとキョーコとタケシは再び頭を抱えてしまう。


「じゃあ、どーすんの?」


「う~ん」


「まあ、住むところに関しては、ひとまずうちに来ればいいとして」


どうにも煮え切らないタケシに対しキョーコがポツリと呟くとタケシは驚いて声を上げた。


「え!いいの?」


「他にどうしようもないでしょ?それともアンタ、野宿生活でもするつもり?」


「いや、それは嫌かな……でも年頃の男女が同じ部屋で住むのは、その、まずいのではないかと」


「キモ!キモイ想像しないでよ!別の部屋に決まってんでしょ!物置に使ってる部屋があるから

 アンタはそこよ!」


「で、ですよね~」


「それに、あんたは今、女の子じゃん!」


「あ、そうか」


「はぁ~」


呆れるキョーコ


「問題は学校よね、戸籍も、身分を証明する物も、何もなきゃ転入することもできないし・・・・・・」


「それらに関しては任せてくれたまえ」


再びタケシの口を使いガミオンが答える。


「ガミオン?」


「この国の戸籍の捏造ぐらい造作もない」


「うっわ!黒!真っ黒やん!」


ドン引きするキョーコとは逆に

ホッと胸をなでおろすタケシ


「でも、これで当面の生活は安泰だ」


最も難航するだろうと思われた問題に一筋の光明が見えたタケシに対し

ガミオンが問いかけてきた。


「では、私からも君達に一つ相談があるのだが聞いてもらえるだろうか?」


「相談?」


「うむ、先程、各地で落下物が多数あったとの情報があったが、私はそれを調べたい。

 出来ればタケシ、君の許可がほしいのだが?」


「僕の許可?なんで?」


「私は今、君の命を預かる身だ。

 だから危険を伴う活動をする場合、君の許可がいる」


「危険な事?」


「落下物が宇宙船の残骸だとしたら、ドローンが付着していることも考えられる。

 あるいは敵の戦士が生き残っていた場合、戦闘になる可能性が大きい、

 そうなれば私が破壊される可能性もある」


「え?ガミオンが破壊されたらタケシはどうなるの?」


「私と一緒に死ぬことになるだろう」


「うぉい!」


「無論、強制はしない」


「……しばらく考えさせてくれる?」


「了解した」




 タケシ達がそんな相談をしている頃、ガミオンの予想が的中したのか、

人里離れた山中に堕ちた宇宙船の一部から何かが這い出し、

体を引きずりながら木々を倒し、森の中へと消えていった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ