鋼鉄少女王 タイタンメイデン 第三話 光明院ケイはこういった。 その3
『あとは、私の本体の自己修復機能を上げる為、
コクーン形態へと移行させ、この池の中に隠す』
ガミオンの体がみるみると銀色に輝く鋼鉄の外殻に覆われていき、
楕円形状の蛹のようなコクーン形態となると
波ひとつ立てず、ゆっくりと池の中へと沈んでいく。
「これ誰かに見つかったりしたらヤバくない?」
キョーコの問いにタケシが答える。
「ここは光明院女学院の所有地なんだ。滅多に人が来ないから見つかる心配はないと思う」
「光明院?ああ、あのお嬢様学校の……ん?
そういや、最近どこかで聞いたような……光明院……光明院……」
キョーコはしばらく考え込んでいたが、どうにも思いだせないので諦め、
別の疑問をタケシにぶつける。
「ってかそれよりアンタなんでこんな場所知ってたのよ」
「え!?あ、前に何度か友達と来たことがあってさ……」
「私有地に忍び込んだの?
アンタ悪い友達と付き合ってるんじゃないじゃないでしょうね?」
と、キョーコがジト目で覗き込む。
「いやいや、まさか!」
とタケシ。
「ところでさっきの説明に出たきたじゅーしゃってのは何?」
「ああ、そうか、キョーコは見てないんだっけ」
タケシが腕を差し出すとその手の平の上に従者の立体映像が表示され
ゆっくりと回りだす。
「これが従者。
どうやら敵の新兵器であるらしい新型のドローン、サポートドロイド。
身長30m体重4万五千t、強固な外殻を持ち、優れた機動性も併せ持つ。
主の命令に従う文字通りの従者であり、
戦況に応じ形態を変え、あらゆる事態に対処できる万能武器でもある。
さらには主と合体し、その能力を飛躍的に増幅する機能を有し、その合体パターンは……」
熱く語り始めるタケシに対し、キョーコが手で制しつつドライに言った。
「うん、長い。それ以上説明されても理解出来る自信ないし、三行でまとめて」
これからが本番、と気合を入れ始めた解説をとぎられ、タケシは明らかに不満そうだったが
確かに、今ここで解説に時間を割いてる暇はないと思い直し、できるだけ手短にまとめて答えた。
「ええ~……えっと、従者とは新型のサポートドロイドで……
敵の新兵器だったんだけど今はガミオンの物で、
ガミオンと合体しパワーアップすることが出来る万能ロボット……
ってところかな?」
「はいOK、んで?ここにはいないの?その『従者』」
「うん、一緒に行動してると休眠状態のガミオンが敵に発見されるリスクが高くなるから
今は別行動をとってるんだ」
「うむ、私が動けない以上、不測の事態が発生した場合、従者に対応してもらうことになる。
共に発見され一網打尽にならぬよう、従者には一定の場所にとどまらずに定期的に移動するよう指示した。
勿論、ステルス機能も併用しているため、
敵に私の居場所を特定される可能性はさらに低くなるはずだ」
池の中へコクーンが完全に姿を消すと、周囲が元の静けさを取り戻す。
「これでヨシ、さあ、いこう」
乙女が歩き出すとキョーコが手を差し出し、ジェスチャーを加えながら言った。
「ねぇガミオン、この森、歩いて出るのも面倒だしさ、さっきのぴょんぴょ~んってヤツ、またやってよ」
「ピョンピョン?」
「うむ、緊急事態だった為に此処に来る際、キョーコを抱え、障害物を少々飛び越えて来たのだがその事だろう」
「うむ、そうそう」
キョーコがニコニコしながらガミオンの口調を真似て相槌を打つのを見てガミオンが問いかける。
「しかしキョーコ、君は先程少し怯えていたようだったが?」
「あ!あれは怖かったんじゃない!突然だったから驚いただけだもん!」
「人目につく事はなるべく避ける様にしていきたいんだけどなぁ」
タケシが項垂れる様に言うがキョーコはまるで聞いていない。
「ガミオン、しらないの?『安全な恐怖』は『娯楽』なんだよ!」
ああ、そうだった、キョーコは昔っから遊園地の絶叫系マシンやホラー映画が好きだったけ……
ふと昔を思い出すタケシ。
キョーコはあきれ気味のタケシに顔を近づけ、笑顔で催促する。
「ね!」
「も、もう、しょうがないなぁ……」
キョーコはタケシの中のガミオンに対し行動したのだろうが乙女は赤面しつつ視線をそらし、
催促するキョーコをお姫様だっこする。
乙女の首に手を回すキョーコ。
「さあ!いざいざ!れっつらごー!!」
キョーコが笑顔で空を指差すと
その声に応えた乙女が足に力を込めた直後、
驚異の跳躍力で一気に空高く飛び上がった。




