第一話 鋼鉄の女神 ─デア・エクス・マキナ─ プロローグ
無限に広がる大宇宙
人類がうかがい知ることも叶わぬ神秘の彼方から
星星の海をかき分け、光速で突き進む二つの宇宙船があった。
先を行くひとつは紅い船、追うひとつは蒼い船。
二つの船は互いに光弾を打ちあう戦闘状態にあり、
攻撃を受け、被弾した互いの船体が火花を散らす。
やがて戦闘は激化し、優位にたった紅い船から放たれた光弾が蒼い船に降り注ぎ、ついに蒼い船は破壊される。
爆発し四方八方に散る蒼い宇宙船の船体。
だが蒼い船が沈む瞬間、船体各部が開き、そこからふたつの小さな光弾が放たれた。
加速のついた光弾は瞬く間に紅い船に追いつき、
磁石に吸い付く鉄片のように船体に吸着した後、高速で回転しだすと、船体の赤い外殻を削りながら内部へ潜り込んでいく。
光弾が船体内部へと到達すると、その光は消え、鋼鉄の外殻を持った銀色のカプセルが現れる。
それは突撃ポッドのようなものであったのだろうか、
カプセルの表面に幾何学的な亀裂が走り、花弁のように展開すると、
中から一人の少女が降り立った。
だが、彼女は人間ではないだろう。
何故なら、その体は金属の皮膚で包まれ、淡く明滅する光のラインがその表面を覆い
奇妙な文様を描いているではないか。
機械生命体─タイタンメイデン─
その少女の名はガミオン。
後に続き、もうひとつのカプセルからもタイタンメイデンの少女が這い出す。
それは、ガミオンより背が高く、スラリとした体型に豊かなバストを持つ、
なだらかな体表が美しい少女戦士ミロ。
その鋭い眼光は歴戦の戦士の持つ輝きを放っている。
「○×△■◎」
ガミオンは、ミロに声をかける。
だが、二人が交わすその言語は人間には理解出来ない響きを持っていた。
「■◎△◎◇」
「◎◎△×◇」
頷きあったミロとガミオンは廊下を駆け抜け、ひときわ大きく開けた空間へと至る。
周囲を見回すと様々な機械部品等が等間隔で置かれた様子から、此処はどうやら格納庫なのであろう。
二人の少女戦士は慎重に物陰に隠れながら先へと進んでいく。
格納庫のほぼ中央に来ると、
そこではガミオン達と同じ機械生命体の二人の女が中央に置かれたカプセルの周りで何やら作業しているのが目に入った。
一人は艶かしいボディラインをした女戦士、ブラブーバ。
もうひとりは白衣に似た装甲をまとう女技師、ビルトン。
「◎△■!」
ガミオンが腕を武器に変形させて構え、警告を発する。
「◇△◎?!」
一瞬驚愕の表情を浮かべたブラブーバとビルトンであったが、
警告には従わず、すぐに武器を持ち出し攻撃を開始した。
ミロも自身の腕を銃口へと変形させ、ガミオンと共に反撃を開始する。
「◎◎△◎◎!?」
「◇◇△◇◇!」
攻撃を食らったビルトンが膝を着くが、ブラブーバが助け起こす。
ブラブーバの必死の反撃にガミオンもまた攻撃を受け倒れ込んだが、
すぐさま反撃したミロの放った一撃がついにブラブーバを倒し、その場を制圧した。
「 ◎×◎!」
ガミオンを助け起こしたミロがなにやら宣言しながら中央のカプセルに近づこうとした時、
「■×■!」
床に倒れていたビルトンが隠し持っていた高性能小型爆弾を取り出す。
それを見て焦るブラ ブーバ。
「◎□!□◎!」
静止する声も間に合わず炸裂する爆弾。
それはさらに格納庫内の様々な積荷に引火し次々と爆発を誘発する。
その結果、爆発は巨大なものとなり、その衝撃に宇宙船の船体がまっぷたつに裂け、紅い外殻は見る見ると崩壊していく。
爆発の直前、ビルトンを蹴り飛ばし、なんとか爆発の直撃から身を守ったブラブーバと、
ガミオン、ミロの三人が共にダメージを負いながら謎のカプセルや
多くの機材と共に船外へこぼれ落ちる。
そしてそれらは近くの惑星の引力に引かれ、次々と大気圏に吸い込まれていった。
落ちていきながらもガミオンは近くにあった船体の破片に飛びつき、それを盾にし身を守る。
「◎◎!」
ミロの名を呼ぶガミオン。
キョロキョロと周囲を見回しミロを探すが見つけることが出来ずにいると
ガミオンは破片の影に隠れていたブラブーバに捕まってしまう。
「◇×◇○××!」
「・○・○×××?!」
首を掴まれ危機に陥るガミオン
だが突如、ブラブーバに体当たりしてくる影があった。
それはガミオンの先輩戦士ミロ。
「○○◎△!・◎△▽!」
「◎▽◎×!?」
「×◎×・×!」
しかしミロは爆発の影響でダメージをおっているため本来の力を発揮できない。
残された力を振り絞り、ガミオンからブラブーバを引き剥がすミロ。
「××▽!・◎◇・、○▽◇!◇▽◇!・○◎゜・・・!!」
無駄に喚くブラブーバをよそに、ミロはガミオンに最後の言葉をかける。
「・、・・◇×◎×◇◇、◎◇・・・●◇●・・◎◎・・・、・◇▽××・・・」
もみ合ったままブラブーバとミロは大気圏の中に落ちていき
やがて炎に包まれていく。
「◎◎!!」
叫びを上げるガミオン。
周囲の宇宙船の残骸も引力に引かれ次々に炎に包まれていく。
そして、ガミオンも破片に守られるようにしながら大気圏に落ちていった。
ガミオンが落ちていった星の名は地球。
その先にある土地は日本。
そこでは爽やかな朝の日差しの中、人々がいつもと変わらぬ日常を送っていた。
勿論、14歳の少年、只野タケシも。




