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第九百五十五話 片山家
「なんだ、今日は食欲がないな」
「今日はていうかここんとこずっとよ。まるで京子ちゃんが死んだ時みたいじゃない」
片山家、夕食にて刀葉の父親が言うと母親が訂正した。
京子とはビートル隊に殺された刀葉の姉だ。彼女が死んでからの刀葉はしばらくまともな食事など取っていなかった。
「それは言い過ぎよ!そんなんじゃないんだから!」
当の刀葉はそうではないと強く否定する。
「でも元気ないじゃない、なにかあったの?」
「別に心配するようなことじゃないよ。わたしは大丈夫だから」
再度聞かれるが刀葉は極めて普通なように答える。
「そう?でもお母さん達にできることがあったら言ってね」
「うん、ありがとう」
そう、彼女は落ち込んでなどいない。眉は険しくなり歯は唇を噛み箸を持つ手は震えていた。怒りだ、今の彼女は怒りに燃えている。ネクロデッドキングはもういないが彼女の怒りはこの程度は収まらない。立ちはだかる敵は滅ぼし尽くすと爆発しかかっている!




