第九十三話
「あー、いったい」
夕食時、流河は背中をかく。研究所で医療カプセルに入ったのだがそれでも痛みは完全に引いていなかった。
「まだ痛むんだ」
烈太が彼女を心配する。
「ごめんなさい、あたしがいけてれば烈太の代わりだって出来たのに」
祐子が謝る。
「必要ないわよ、あなたが行ったところでギリギリだったかもしれない。烈太が上手くやれたのはまぐれよ」
「お姉さん………」
むしろ流河に励まされてしまう。
「まぐれねえ…………」
烈太はその言葉に唸る。
「でも、撃退は撃退じゃない。やったのよあなたは!」
祐子はその肩をバンと叩く。
「とか言われても分かんないんだよな。流ねえがやばいて思ったら胸の奥から黒い炎がバアーて出てドーンて追い返せたんだよね」
烈太はあやふやに言う。
「バアーて出てドーンてなによ、あと炎なのに黒いじゃない」
祐子はわけが分からなくなる。
「俺が黒いて思ったから黒なんだよ。あとのはフィーリング、てか黒もフィーリング」
「黒か、実はわたし達姉弟は闇の一族の子孫だったとか?」
流河は黒から連想して自分達の血筋を予想する。
「お姉さんまでなに言ってるんですか、中二病じゃあるまいし」
祐子は突拍子もないことに呆れてしまう。
「大一よ!」
流河はキラーンという音を立てながら手で顔を覆いつつも隙間から出した。
「そういうとこよ、そういうとこ」
祐子はますます呆れる。




