第八百八十六話 ドライガン皇国の重罪人監獄
レッタは急遽祐子と共にロン、ガレイアに連れられドライガン皇国に行くことになった。さらに重罪人の捕らえられる監獄に向かう。
「良いか、妾達が今から行くのは重罪人がいる場所だ。罪人に拘束具はあるがあまり近づきすぎるなよ、牢と牢の間を歩くがよい」
中へ進む前ロンが注意喚起した。
ガレイアは緊張してくる。祐子はレッタが心配でついてきたものの唾を飲み込んだ。当のレッタはそんなもの元より覚悟の上だ、建物の先を睨んでいた。
「おいあれ、ロン皇女様じゃねえか?」
「皇女様がなんの用だよー」
「出してくれよー!」
中へ入ると罪人達がロンを見つけガシャガシャと格子を揺らして威嚇する。
「ひえっ。レッタ、ほんとにここ進むの?」
祐子は怯えレッタの背に隠れる。後ろからは丸見えだがそれでも前からの視線を遮たかった。
「行く、死なすにしてももう少し話してからだ」
レッタの決意はこれでも揺るがない。
「皇女と一緒にいるのは誰だあ?」
「知ってるぜぇ、一人はガレイアっつうトップ級だ」
「トップ級?あの超強いってやつらか?」
「いいよなぁ、あいつらは群れなくていいし一々偉いやつの言う事聞かなくていいんだぜ?」
罪人達の注目はいつしかガレイアに移動する。
「ああ、もうっ。なんなのよこいつら…………!」
祐子の恐怖のボルテージはさらに上がる。
「恐いなら外で待っててもいいんだけど?」
「はあ!?あたしにこんな恐い中帰れって言うの!?殺す気!?殺す気なの!?」
レッタが眉を潜めるとパニックになりその肩を揺らした。その目は今にも泣き出しそうだ。
「うるせぇ!遊びに来たんなら追い出すぞ!」
「ごめんなさい…………」
ガレイアに恫喝され大人しくなる。
「おいおい、カップルまでいるぜ?」
「ここはお前らみてえなお上りが来るとこじゃねえぜー」
「おっちんじまう前に帰んなー」
さらに注目はレッタと祐子まで移動する。
ギン!そこで連中にレッタが凄まじい目つきで睨みつけた。すると罪人達の騒ぎが止まる。レッタ達から離れている罪人も何事かと黙ってしまう。
「なんだあいつ、ほんとにただのお上りさんか?」
「俺たちを処刑しに来たのか?」
彼らに表れたのは圧倒的な死の恐怖だ。直接手を加えられたわけでもないのに殺されたような感覚を覚えた。




