第八百八十話 刀葉、一人だけの王女との特訓②
「ふむ、それで我々を特訓の相手と呼んだいうことか」
「あ、すいません…………」
刀葉は思わず謝った。
「気にするな、我々はそのために来たんだ。いないやつらの代わりにみっちり鍛えてやる」
ハーメイが怒りを内包した声で言う。
「お手柔らかにお願いしますよ。この子は特訓には初参加ですから」
雷葉が念を押した。
「大丈夫よ、わたしもやるからほどほどになるわ」
そう言うトリマリィも怒りが垣間見えた。
「大丈夫、ですかね?」
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「きゃー!」
特訓を始めると刀葉はトリマリィに吹き飛ばされた。
「ふふ、あなたの力はそんなものかしら。隆くんの仲間ならもう少しやれるわよねぇ?」
「おい、あいつ完全にキレてないか?やはり恋人がいなかったのがショックなのか?!」
その声はヨーマが戦慄するほど静かな怒りを持っていた。さらにその姿は基本形態の踊り子のような姿ではなく羽毛をまとい翼を生やした強化態だ。
彼女は強い、だがレッタ達の代わりに来てくれてるのだ。無駄にしてはならないと刀葉は自覚する。しかしすぐさま彼らがいないのはと雑念が入ってしまう。いやいや、集中せねばと首を振り意識を振り切る。




